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【TS幼女転生王族スローライフ】姫殿下(三女)は今日も幸せ♪ ~ふわふわドレスと優しい家族に囲まれて★~  作者: 霧崎薫


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第三百二十五話「古びたレースと、姫殿下が解く『過ぎ去った美しさの行方』」

 その日の午後、王城のイザベラ王女の私室は、優雅な感傷に包まれていた。イザベラ王女は、過去の舞踏会で着用した、最も美しい純白のレースのドレスを前に、静かに涙ぐんでいた。


 そのレースは、太陽の光を浴びると、まるで雪の結晶のようにきらめく、比類ない美しさを持っていたが、長年の時を経て、ごく微細な黄ばみと、修復不能な綻びが生じていた。


「ああ、シャル。この美しさは、二度と戻らないわ。去年の雪がどこへ消えたように、最も愛しい美しさは、常に時間と共に失われるのね」


 イザベラ王女にとって、このドレスの劣化は、「美しさの儚さ」という、女性にとって最も避けがたい悲劇を象徴していた。



 シャルロッテは、モフモフを抱き、そのレースのドレスに、そっと触れた。彼女の目には、ドレスが「失われた美」を嘆いているのではなく、「新しい愛の物語」を求めているのが見えていた。


「ねえ、お姉様。雪はね、消えてないよ。雪はね、お花になって、また戻ってくるんだよ」


 イザベラ王女は、妹の純粋な言葉に、顔を上げた。


「シャル。優雅で詩的な慰めは確かに嬉しいわ。でも、このレースの黄ばみは、物理的な事実よ。過去の美は、時間という名の残酷な現実によって、打ち破られたのよ」


 シャルロッテは、イザベラの「物理的な儚さ」という論理を、「愛の永続性」という新しい美学で打ち破ることで姉の傷心を癒そうと試みた。



 まずシャルロッテは、古びたレースのドレスに、光属性と時間魔法を融合させた。


 彼女の魔法は、レースの黄ばみや綻びを消すのではない。その代わりに、ドレスの最も愛された部分、例えば、イザベラ王女が初めて手を差し伸べた時の袖口や、優雅に回転した時のスカートの裾に、「愛の記憶」という、銀色の微細な光の粒子を定着させた。


 そして、シャルロッテは、その光の粒子を、時間魔法で、「このドレスが最も美しく輝いていた、過去の舞踏会の夜の熱狂」と、常に共鳴するように設定した。


 イザベラ王女がドレスに触れると、その指先に、「失われた美しさ」ではなく、「愛された記憶」という、温かい光が伝わってきた。



 シャルロッテ姫殿下は、イザベラ王女に、そっと囁いた。


「ね、お姉様。去年の雪は、もう戻らないけど、愛された記憶は、時間という名の美術館に、永遠に飾られるのよ。このドレスはね、失われた美しさじゃなくて、『お姉様が、どれだけ愛されていたか』の、証明書なんだよ」


 イザベラ王女は、その愛の哲学に、深く心を打たれた。彼女が失われたと信じていた美しさは、時間という名の残酷な現実によって破壊されたのではなく、「愛の記憶」という、誰にも奪えない形で、永遠に保存されていたのだ。


 イザベラ王女は、妹を抱きしめ、涙ぐんだ。


「シャル。あなたの愛は、時間という名の、最も残酷な詩を、永遠の愛の賛歌へと書き換えてくれたわ」



 シャルロッテ姫殿下は、モフモフを抱き、にっこり微笑んだ。


「えへへ。だって、儚い美しさよりも、永遠の愛の記憶のほうが、絶対可愛いもん!」


 イザベラ王女は、そのドレスを修理するのではなく、「愛の記憶の標本」として大切に保管することを決めた。その日の午後、イザベラ王女の私室は、シャルロッテ姫殿下の愛の哲学によって、「失われた美しさの永続性」という、温かい真理に満たされたのだった。

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