第三百九話「古いお菓子缶と、姫殿下の『心の宝箱』」
その日の午後、シャルロッテは、自室のクローゼットの奥で、古びた、色褪せたお菓子缶を見つけた。缶には、かつて描かれていたはずの、可愛らしい動物の絵が、ほとんど剥がれ落ちていた。
その缶は、誰もが「価値のないガラクタ」として捨ててしまうものだったが、シャルロッテは、その缶から「誰にも気づかれない、静かなる悲しみ」の魔力を感じ取った。
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「ねえ、モフモフ。この缶さん、自分の顔が汚れて、悲しいんだって」
シャルロッテ姫殿下は、その缶に、新しい「可愛い」を与えようと考えた。
そこに、イザベラ王女が、新しいファッションの相談にやってきた。
「シャル。このドレスのフリル、どれくらいの幅がいいかしら?」
シャルロッテ姫殿下は、イザベラ王女の「表面的な美の追求」を否定しなかったが、「内面の美」の大切さを教えることを決意した。
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シャルロッテは、その缶に、光属性と時間魔法を融合させた。
彼女の魔法は、缶の剥がれた表面に、「新しい絵」を描くのではない。彼女の魔法は、「この缶が、長年、誰かの大切な宝物を守ってきたという、過去のお仕事」を、光の映像として、缶の周りに映し出した。
映像の中には、幼い子供たちが、この缶に、拾った石ころや、秘密の手紙を、大切にしまう光景が、次々と映し出された。
「ね、お姉様。この缶はね、みんなの、秘密の愛を、優しく守ってきた、最高の宝箱なんだよ!」
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イザベラ王女は、その光景を見て、ハッとした。彼女の華やかなドレスも、アクセサリーも、「愛という宝物を守る」という、この缶の功績の前では、色褪せて見えた。
「ああ、シャル。わたくしが求めていたのは、外側の輝きではなく、内側の、誰かの愛を守り抜く強さだったのね」
イザベラ王女は、自分の美しい宝石箱を空にし、その缶を、「愛の記録を収める箱」として、最も大切な場所に置くことを決意した。
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シャルロッテは、缶の蓋に、風属性魔法を応用した。彼女の魔法は、缶の蓋を開けるたびに、「誰かに愛を届けたい」という、優しい風が、部屋全体に広がるように設定した。
「ね、お姉様。これで、お姉様は、誰かを愛したいって思った時に、いつでも、その気持ちを、この箱から取り出せるよ!」
シャルロッテの純粋な愛は、「古びた道具」に、「永遠の愛の記録」という、新しい生命と価値を与えたのだった。




