↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【TS幼女転生王族スローライフ】姫殿下(三女)は今日も幸せ♪ ~ふわふわドレスと優しい家族に囲まれて★~  作者: 霧崎薫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

156/724

第百五十六話「舞踏会の不協和音と、王女の『真実の布批評』」

 その日の夜、王城の舞踏会は、きらびやかな衣装で溢れていた。しかし、その華やかさの裏で、イザベラ王女と、社交界のファッション評論家として名高い双子の貴族(ベール子爵とルージュ子爵)の間には、冷たい緊張が走っていた。


 双子の貴族は、公の場では優雅だが、裏では、他人のファッションの欠点を鋭く指摘し、優雅な毒舌で知られていた。彼らは、舞踏会の衣装に、「本人の個性に合わない、借り物のエレガンス」が混じっていることに、強い不満を抱いていた。



「見て、ベール。あの侯爵夫人のドレス、レースが過剰だわ。本人の魂が、レースの陰に隠れて、息苦しそうよ」


「ルージュ。まったくよ。まるで、予算を自慢するための広告塔だわ。ああ、真のエレガンスは、どこへ消えてしまったのかしら」


 彼らの鋭い批評は、周囲の貴族たちを、不安と自己嫌悪に陥らせていた。



 シャルロッテは、モフモフを抱き、その批評の渦の中に飛び込んだ。彼女の目には、双子の貴族の「毒舌」の裏にある、「真実の美しさへの切実な憧れ」という、純粋な感情が見えていた。


「ねえ、お兄様たち。みんな、可哀想だよ」


「可哀想? 姫殿下。彼らは、自分の趣味で着ているのよ」と、ルージュ子爵が皮肉を込めて言った。


「ううん、違うよ!」



 シャルロッテは、光属性と変化魔法を応用した。彼女は、舞踏会の参加者の一人一人に、「その人の最も個性的で、内面が輝く色」を、ごく微細な光の輪郭として纏わせた。


 そして、シャルロッテは、双子の貴族の前に、一人の地味なドレスの令嬢を連れてきた。その令嬢は、流行とは無縁だが、彼女の個性は、深みのある、優雅なインディゴブルーの光を放っていた。


「ね、お兄様たち。このお姉さんにはね、インディゴブルーが、一番可愛い色なの。でもね、誰も、その色に気づいてあげることができてないの」



 双子の貴族は、妹の魔法によって、その令嬢の「個性の真実の色」を視覚的に見て、驚愕した。


 「な、なんて美しいインディゴブルーだ! まるで、夜の湖の静寂だわ!」


 「そして、このドレス! この地味なドレスこそ、この色の最高の額縁だわ!」


 彼らは、批判の言葉を忘れ、令嬢のファッションを、心から褒めた。令嬢は、自分の個性を肯定され、自信に満ちた笑顔を浮かべた。



 シャルロッテは、双子の貴族に、にっこり微笑んだ。


「ね、お兄様たち。『毒舌』はね、誰かを傷つけるためにあるんじゃなくて、一番可愛い真実を見つけるための、魔法の針なのよ。その針で、真実の布だけを選び出して縫ってあげるの!」


 双子の貴族は、妹の純粋な愛と、その鋭い知恵に、心を打たれた。


「私たちは、愛の針の使い道を、間違えていたわ」と、ルージュ子爵は涙ぐんだ。


 その日の舞踏会は、シャルロッテの「真実の批評」によって、優雅な毒舌が、温かい愛の批評へと変わる、愛に満ちた場所となったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。