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06 足音

 次の朝、俺は窓から入ってくる朝日で目が覚めた。

 外から足音が聞こえてきた。


 恐らく俺の牢屋の見張りをしていた綾さんだろう。

「綾さんですか?」

 扉の向こうにいるであろう綾に声をかけた。


 だが、返事が返って来ない。


「綾さん?」


 するとしばらくして声が聞こえてきた。

 だが、その声は俺が想像していた人物のものではなかった。


「こんにちは、古都くん。」


 どこかで見たことがあると思っていたら、裁判の時にいた銀髪の髪の人だった。

 最後に目が合ったように感じた人だ。


 歳は二代前半ぐらいだろうか?

 そんなことを考えていると、牢屋の鍵が開いて彼が中に入ってきていた。


「綾さんはどこへ行ったんですか?」


「ああ、綾は会議に参加していて、今はここにいないよ。それが終わったら、すぐに連れてくるから。」

「ありがとうございます。」

 彼は牢屋の扉にもたれかかって微笑んだ後、俺を見た。


「気分はどうだい?」

「はい、大丈夫です。ありがとうございます。」


「そうか、心配だったんだよ。君の意識がないときに、私がずっと世話をしてきたからね。」


 なんと。俺のお世話をしてくれていたらしい。とはいっても、俺は寝ている間は生命活動が止まっていたため、食事や排泄はおろか、呼吸までしていなかったらしい。


 そして、呼吸をしていなくても生きていられたのは優秀な異能者達のお陰らしい。一応、肉体が腐らないように、彼が何度か様子を見に来てくれていたそうだ。


「そうだったんですか。なんで、俺にそこまでしてくれるんですか?」


 犯罪者に対して、そのような対応を取ったのはなぜか。

 すると、彼は見透かすようにクスリと笑った。


「古都君……なんでそんなことを聞くのかな?」

 俺はその言葉に少し違和感を覚えた。


 綾さんは俺の身元は警察が総出で探しても見つからなかったと言っていた。

 それなのに……


「なんで……俺の名前を知っているんですか。」

 ずっと気になっていた。

 裁判の時もだ。


 彼らは、なぜ自分の名前を知っているのだろうか。

 俺の質問に対し、彼は何も言わない。


「なんで……」

 何も答えてくれないことに苛立ちを覚えた俺は、彼を睨みつける。


 その瞬間、彼は薄っすらと微笑みを浮かべた。


「古都君……この世界では、何も知らず笑っているほうが幸せなんだよ。」


「俺……怖いんです。何も覚えていないんです。俺が何をしたんですか。教えてくださいよ。これからどこに連れていかれるんですか。」


「……君にチャンスをあげようと思う。裏社会のトップにいる悪江家を滅ぼしてきてくれ。そうすれば、すべて教えてあげる。君の過去もすべて。悪い取引じゃないだろう?」


 彼は小さく微笑んだ。


「自己紹介がまだだったね。ぼくは『蒼 羅紗』。そしてこっちは菊で、ぼくのドレイだ。どうぞよろしく。」

 彼は一礼した後、俺にゆっくりと近づいてきた。

 そして、彼は俺の髪に優しく触れた。


「そういえば言い忘れていたけれど、俺の異能は電気だ。うまく使えば、人体に電気ショックを与えて気絶されることもできるんだよ。ほら、……こんなふうに」


 彼は俺の手首をつかんだ。


 あまりに無理やりつかまれたせいか、俺の手首に鈍い痛みが走った。

「い……痛っ」


 俺の指先から電気が流れてくるのが分かった。体に激痛が走る。

 少しずつ、意識が薄れていく。


「全部終わったら、もう一度会おう。……雅、古都君。」


 頭がズキズキする。

 まるで、闇に飲み込まれていくような気分だった。


 俺はいったい、誰なんだ。


 心に浮かんだ疑問を最後に、俺は意識を失った。

主人公、意識を失いすぎじゃないだろうか……

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