バニー
「よく来てくれたね! 僕のダーリンと妻達! ようこそ我が家にだピョン♪」
そういって花さんは頭に手を当てて耳の形を取る。
手を合わせると花さんの頭に耳は四つ。
「花さん……」
「ピョンピョン♪」
満面の笑みで返す花さん。
「なんだいつれないな! バニーだよ! 兎さんだよ! 美人教師のバニー姿に不満がるのかね?」
「何言ってんですか! 可愛いバニー姿でもこのゴミの山の中で見せられれば、幻滅ですよ!」
そういってゴミの山に視線を飛ばす。
こ入り口から続いたゴミの山を抜けると、奥のリビングに空間があり今そこにいる。
ゴミは入り口に集中していたが、リビングには空間があるのはいいが5人も入るとギチギチで話しづらい。
「満開先生凄い駄目女ね。ちょっと皆きついわよ!」
「私だってきついです!」
「そう……です」
「ゲロ! そういうわけだから糞虫なんとかしなさい!」
「俺にどうしろと」
問題の花さんは何故かニコニコ。
ゴミ部屋じゃなければこれはご褒美イベントなんだが、ゴミ袋にまみれたバニーさんとの遭遇をご褒美と感じられるほど俺は上級者ではない。
少し考えて。
「九条院さん人呼んでもらえる? 花さんこれは全て捨ていいんですよね」
「もちろんさ! 例の如く生ごみお菓子の食べ残しはちゃんと捨てているからね! 臭いはつかないはずさ! しかし、同胞たちも来るとも思わなかったよ!」
「満開先生が金緑を誘惑しようというのはあってたけど。取り越し苦労だったわね。このゴミ部屋で誘惑って流石に乗る男の子なんていないもの……」
「想像と違いましたが、これが普通の女教師の部屋なんでしょうか?」
「普通……に……違う……と……思い……ます……満開……先生……は……特別……です」
「ゲロ! 花さん……これはちょっと」
『さすがに私でもこれは……』
「もうみんな僕の華麗なバニー姿の感想は無しかい! 全くもう! そんなわけで子孫繁栄だ金緑君! 兎は年中バッチこいなんだよ!」
何ツ―こと言い出すんだよ!
ムードもへったくれもないこの部屋で!
ないわーマジでないわー女教師のゴミ部屋でアバンチュールってないない。
エロ漫画でもこんなネタはやらねーよ。
後こいつらの前でそんなこと言うと。
「駄目よ! 金緑の初めてをゲットするのはこの屏風ちゃんなんだから!」
「ずるいです! 金緑さんの子供を産むのは運命に導かれた私です!」
「違い……ます……私……です……もう……夫婦……生活……の……予定表……は……ノート……三冊……目……です」
「僕は二号でも三号でもバッチこいさ! 結果的に金緑君と結ばれればそれでオッケーさ!」
「ゲロ! でもこの部屋でする会話じゃないわね……」
「「「「……豊穣が普通の事を」」」」
「ゲロ! 何か文句ある?」
「いやねえけどさちょっと意外でな」
「確かにそうね。糞虫のなんたらかんたら言い出して遠回しに私の物アピールしてくると思ったけど」
「確かにそうですね中々の動揺ぐわいのようです」
「それ……だけ……この……部屋……が……汚い……という……のも……あるの……でしょう……が……」
「まあまあ豊穣ちゃんが意地っ張りなのはみんな知ってるでしょ! ここは親睦をかねて5――」
「それ今言ったら俺速帰りますからね」
「むう、金緑君身が固すぎ!」
「それより渡したい物ってなんです?」
「ああそういえばそうだったね」




