次は
『へへ良くわかってるじゃねーか! 金緑!』
お馴染みの男らしい心の声を聴きつつ俺は彼女の咥えたお菓子を齧る。
相変わらずだなこいつは、普段のたどたどしい姿を知る人間なら予想すらしないだろう。
まぁ可愛いし胸も大きいし資金力もある奴なので、そんな彼女に好意を持たれるのは悪い気はしないけど。
実を言うとこいつの優先順位は豊穣の次に高い。
こいつはこいつで放っておくとカオスな状態をあえて傍観し始めるからな。
分かっていて放っておくから始末が悪い。
そんなことを考えそいつの顔を覗く。
前髪で両目はく隠れて見えないが、目が合ったと何故かわかった。
そのまま俺は彼女の咥えたお菓子を食べ進めると。
僅かに見えた右目の瞳がきらりと光った。
なんだと思う間もなく。
『やべもう我慢が』
そのまま彼女は俺の口に自分から口づけをした。
唇の伝わる柔らかい感触。
伝わる振動どうやら口に中のお菓子を咀嚼しているらしい。
一方の俺の口にはお菓子はほとんどない。
少しづつ齧ると同時に飲み込んで胃に収めたからだ。
次に彼女の暖かい舌が俺の口に侵入する。
花さんとのキスでも思ったが女性の柔らかい唇と舌で触れているだけでも気持ちいい。
仄かに鼻から甘い香りが抜ける。
花さんのような香水の大人の香りとは違い優しくて甘い香りだ。
そのまま彼女は俺の舌に自身の舌を絡める。
俺より背の低い彼女は、俺から見上げる形になるため自然と口内の唾液が重力に従い彼女の口内へ。
少し心配になって彼女を見ると頬を染め恍惚とした声にならない心の声を送ってくる。
そういえば花さんは俺の唾液がやたら甘いといっていたが本当なのだろうか。
そんなことが頭に廻ったが今はいいだろうと目を静かに閉じた。
彼女はそのまま俺の舌に柔らかくて暖かい自信の舌を貪欲にからめた。
俺の口内からはどんどん唾液が溢れ彼女の小さな口へ流れ落ちる。
彼女の唾液自体は無味だがぬるぬるして舌の動きが合わさり気持ちいい。
花さんの情熱的な物とは違って、まるで俺を自分の物であると示すように逃さない様に、香りでもつけているようなキスだ。
花さんの舌さばきには劣ってぎこちないが、俺の為に必死にやっているのが感じられる。
思わず彼女の背に手を伸ばしたが。
「こら! 二人ともこの場で本番しない!」
その屏風の言葉で我に返り唇を離す。
俺と彼女の口は唾液の細い糸の姿。
「思わず見とれちゃったけど、流石木下さんね! 絵になっていたわ。でどうだった金緑の味は?」
「凄く……金緑君……の……唾液……が……甘くて……つい……唾液……を……飲む……のに……夢中……に……なって……しまい……ました」
『さすが金緑俺たち糖分に囲まれてることあるぜ! くせになるぐらい唾液が甘ぇ!』
「ほんと? 文字道理甘いキスができるのね!」
「ゲロ……」
『失敗しちゃった……浅井君の唾液味わえばよかった』
「豊穣さん大丈夫ですよ。また機会がすぐきます。甘い口づけですか! 私憧れてたんです! 最初金緑とキスした時は親族からのプレシャーなどでじっくり味わえませんでしたから……」
『この前金緑さんとキスした時、甘い感じがして気のせいかと思っていましたが嬉しい誤算です』
「そうだよ! 君たち僕や木下さんみたいにじっくり金緑君の唾液を楽しんだ方がいいよ! 甘くてくせになるから!」
『むふふふ、金緑君の唾液は凄い癖になるからね! これだけの人数で味合わばハレーム展開は必須さ!』
と野望に熱意を向ける花さん。
ハーレムかそんなことをすればこいつらが
世間にどんな目で見られら分からないので、今のところは考えていない。
すると屏風が声を張り上げ。
「じゃぁ次よ! 次は私って決定ね! さあカモーン! 金緑熱いキッスと噂の甘ーい唾液をよこしなさい!」




