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第三十九話「遺跡到達」

 スヴェン達一行は時折空を飛ぶドラゴンを警戒しながら慎重に海岸線近くのジャングルを進んだ。

 そして太陽が沈み、辺りが暗闇に包まれる頃、ピッテナー島の南部にある火山の海沿い、アモイの持つ地図に示された位置に辿り着いた。

 そこには複雑な彫刻のある巨石を積んで作られた、地下迷宮へと続く入り口があった。

 入り口の左右には3つずつ、石の燭台が置かれ、火が灯っている。

 スヴェン達は近くの繁みに身を隠して様子を伺う。


「明かりが灯っているわ。確実に中に誰かいるわよ」

「状況的に……100%邪教徒だね。アモイさん、目的の遺跡ってここなの?」


 アモイは望遠鏡で入り口の上に積まれた黒い巨石、そこに掘られた彫刻を観察していた。


「あそこに掘られた模様、左右にドクロが縦に3個ずつ並び、中央にフルプレートメイルの兜のようなものが見えるよね」

「趣味の悪い紋章だなぁ」

「……6つのドクロ……、死霊の災厄の紋章……」


「イヴァリスちゃん、よく知ってるね。その通り。エキドナ・キューブの神話に出てくる人類を追い詰めた死霊の旗印だよ。

 ゴルガン・スペラはピッテナー島に到着した際、島の住民に様々な絵や資料を見せていたところ、ある少年がその死霊の旗印と似たものを見たことがあると言い始めたんだ。

 探検隊の半分を引き連れて少年が見たという場所に行くと、溶岩が固まって出来た岩からその紋章部分がはみ出した状態だった。

 探検隊はつるはしを何本も駄目にしながら周囲を覆う冷えて固まった溶岩を取り除いた。

 するとそこは遺跡の入り口だったのさ」

「一体何の遺跡なの?」


 アモイは目を閉じ、昔読んだ探検隊の物語を思い出しながら語る。


「そこは何かを祀る神殿では無かった。合理的に整備された軍隊の駐屯地に見えた。

 何千年、何万年も前に作られたはずなのに、きっちりと平らに削られた石を積み、直線的で歪み一つない廊下や壁があり、いくつもの部屋や牢獄のような痕跡があった。

 構造は敵の進入を阻む意図としか考えられない入り組んだ作りになっており、魔法を使用した現存するトラップまであり、隊員が不意打ちのトラップで一人足をくじいた。

 遺跡を構成する床や壁や天井の作りは現在の最新技術でも再現出来ない精巧な物だった。

 最深部は王座の間に見える部屋があり、壁全体を精巧な彫刻が覆っていた。

 そこで彼らは壁にはめ込まれたとある石板を解読し、確信した」

「何を確信したの?」


「エキドナ・キューブの神話に登場する死霊の実在。そしてそれを率いる死霊の王の存在。そして遺跡が死霊の軍隊の駐屯地であること、人類との壮絶な戦いの末、死霊の軍団は次々と本拠地を移転しながら敗走を続ける人類を追い詰めた事。当時の人類の姿は動物の毛皮を身にまとい、木を削った槍や石斧が武器だった事」

「そりゃ勝てるわけが無いわね」


「おそらく、邪教徒達はその遺跡をそのまま住処に変えたんだろう。使い心地はいいだろうからね」

「元々が軍の駐屯地か。厄介だな。忍び込むなんて不可能じゃないのか?」

「ここは忍び込みの大先輩のご意見を伺おうか? ねぇ、リン」

「はぁ……仕方が無いわねぇ」




 深夜、遺跡の入り口から怪しげな悪魔の紋章の付いたローブに身を包んだ一人の邪教徒が現れた。

 夜風にでも当たりに来たのか、ゆっくりと海岸線に歩み出るとしばらく海を眺め、両手を上げてあくびをしている。


「フゴッ!」


 忍び寄ったマーチンが邪教徒に後ろから組みかかってすかさず猿ぐつわを噛ませる。

 スヴェンやアモイも走り寄り、邪教徒の手足を縛った。

 そのまま邪教徒を数人がかりで少し離れた場所の岩陰に運び込む。

 スヴェンやマーチンに仰向けに取り押さえられたまま必死であがこうとする邪教徒の顔の前にリンが飛んで近づいた。


「おとなしく答えなさい? あの遺跡の中に当然番兵とかが居るわよね? 何か合言葉とかあるの?」


 邪教徒は顔を横に向けて無視する。

 リンはスヴェンに合図した。


「フッ! フゴッ!」


 スヴェンは邪教徒の顔を再び空に向けさせ、少し頭を後ろに倒して鼻の穴を空に向ける。

 リンはポケットから丸まったダンゴムシを摘まんで取り出し、邪教徒の鼻先に突き出した。


「答えなさい? 貴方の鼻の穴にダンゴムシを入れるわよ?」

「…………」


「さぁて、何匹まで耐えられるかしらね?」


 リンが摘まんでいたダンゴムシは少し体を開き、大量の足をワサワサ動かして逃れようとする。


「フ、フゴォ――!」

「答える気になった?」


 邪教徒は頷いた。

 リンが尋問をする間、男を押さえつける役をイヴァリスとマーチンにバトンタッチしたスヴェンとアモイは少し離れ、邪教徒の体をしばし観察してから呪文を詠唱した。

 変化の魔法である。

 二人の姿は同じローブで身を包んだ二人の邪教徒となった。


「よし、魔法が使えるのは僕とアモイさん、そしてリンだけ。マーチンさん、イヴァリス、ラナはその邪教徒が逃げないように監禁したままこの辺りに隠れておいてくれ」

「出来るだけ早く終わらせろよ?」

「……オーケー……」

「が、頑張ります」


 邪教徒から大体のことを聞き終わったリンがスヴェンとアモイに飛んで近寄る。


「侵入者なんて迷い込む動物以外には殆ど想定してないそうよ。ただし番犬が居るわ」

「犬か……オイラ苦手だな」

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