シナリオ考察⑨ 現代知識チートを阻む壁
現代知識チートですが、それをやろうとするときに問題となるのはどういった点でしょうか。
簡単に思いつくことを挙げてみます。
・ 代替品が他にある、もしくはそれ以上の何かがある
・ 材料が揃わない、人手や資本が無い
・ 知識がうろ覚え
・ 必要な道具が無い
・ 法律・宗教上の問題が生じる
・ 販路、伝手が無い
・ 物理法則が違う
・ 生活に余裕が無い
5分で思いつくのはこれぐらいでした。
もっと時間をかけて考えれば他にもあるでしょうが、とりあえずこれで話を進めます。
・ 代替品が他にある、もしくはそれ以上の何かがある
ダメな理由はシンプルですね。需要が無いからです。
同じような物を作ったところで物珍しさで買ってもらえるかもしれませんが、基本的に必要とされません。
強いて言うなら、低価格や入手難易度の関係で重宝される可能性がありますが。
必要とされないものを作ったところでしょうがないです。
・ 材料が揃わない、人手や資本が無い
黒色火薬を作る話などはよく見かけますが、黒色火薬の材料である硫黄・硝石・木炭のうち、一般人が簡単に入手できるのは木炭ぐらいでしょう。「硫黄を探してきて」と言われて対応できる一般人はまずいません。
現地の人に探してもらうにしても、その人に自分が見たことも無いものをどうやって説明するのかという問題が付きまといます。硫黄や硝石を人に説明できる人はどれぐらいいるのでしょうかね。
ゲーム的なファンタジー世界であれば鑑定スキルなどがあるので、それで対応できればいいのですが。そういったフォローでもない限り難しいと言わざる得ません。
また、それを説明できたところで探してくれる人がいるでしょうか? また、それを購入する資金はありますかね?
説明するのは難しいですが、説明できる物であっても入手するのだって難しいのですよ。
・ 知識がうろ覚え
卵黄とバニラエッセンスを混ぜ、そのあと更にメレンゲを空気を混入するように混ぜてから、20分ほど焼くとスフレになります。
さて問題。その配合比率はどれぐらいでしょうか?
お菓子作りが趣味の人であればパっと返答できる質問ですが、知らない人は知りません。当たり前ですね。
主人公が現代知識チートをするときは、何らかの説明があった方がベターでしょう。
そしてこれも当たり前の話ですけど「机上の空論を実践するのは難しい」のです。道具以前に能力が足りないという可能性も考慮したほうがいいのではないかと思います。
・ 必要な道具が無い
現代で釣りのやり方を知っていても、その為の道具は現代でしか手に入りませんよね、たぶん。
では、現代知識で釣りをしようと思った時、釣竿を作るところからスタートとなるわけでして。
作れますか? 釣竿。私は無理です。
まあ、「知識と技術があっても、道具が無ければ実力を十全に発揮できない」という事ですね。
・ 法律・宗教上の問題が生じる
中世ヨーロッパにおいて、切開手術は禁忌とされていました。細かい話はwikiでも見てください。
このように、周囲から禁止されていることをやれば捕まって牢屋行き。下手すると縛り首などになります。
「~~をしてはいけない」という事でしたら、それをするために権力者でもうまく籠絡すべきでしょう。王様とか、教祖様とか。
話は変わりますが、「砂漠の町で水瓶を持った人にぶつかったら相手が水をこぼしてしまい、縛り首になった」という話も世の中にはあります。
法律で規制する、厳しく罰するのでしたら、その裏付けも考えないと説得力がありません。
もう一つ余談ですが、民主主義と言う考え方は「国民に教育がなされていなくても実現する」という事も付け加えておきます。
具体的には江戸時代後期から明治時代の日本ですね。民主主義になってから国民に教育がなされるのです。順番をお間違えなきよう、よろしくお願いします。
・ 販路、伝手が無い
どんないいものを作ったとしても、それを購入する人がいなければ意味がありません。商売ネタであれば、商人のフォローは必須でしょう。
また、その商人の持つ販路が販売可能人数を決めてしまいます。転売などもあるでしょうが、主人公サイドに正統な利益が無いのでそこは無視します。
また、売る苦労も考えるべきでしょう。
例えば食料品。飢餓状態でもなければ新しいものに手を出す人がどれぐらいいるでしょうか? タイ米が輸入された時の日本人の反応でも見て頂ければ言いたいことは分かってもらえると思います。
これを売るには商人の持つ「説得力・安心感」が大事です。知らない人が露店で売っている者より、大手スーパーの量販品の方が安心感がある。同じ馴染みの無い米と言うカテゴリでも、海外の米は嫌だけど日本人の誰かが作った新種の米であれば安心できる。そういう事ですね。
・ 物理法則が違う
魔法がある世界ですし、物理法則の一つや二つ、違っていてもおかしくありません。
地球上であればできたはずの事も、異世界ではできないかもしれない。そういう事ですね。
・ 生活に余裕が無い
ある意味、これが一番問題ですか。
生活に余裕が無ければ、現代知識で儲けようとするのは難しいのです。
貧乏暇なし。日々の仕事に追われ、疲れ切った頭ではできる事もできません。現代知識チートは生活に余裕を作れる環境が大事と。
……その日のご飯も確保できずに、儲かる「かもしれない」事に労力を割くのは自殺行為です。現実を、見ましょう。
これはごくごく当たり前の話でしかありません。
珍しいことを言っているわけではありませんが、こういった事を考えず書いている話もたまにあります。
自分の書いている話は大丈夫か。
そんな疑問を持った時にでも思い出していただければと思います。




