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低能な料理番  作者: ミツル
第五章 帝国の奇人

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 俺達は今、シャーマ国王城の最上部にある、国王の間にいる。

 床に両手、両膝をついて全面的謝罪ポーズのシャーマ三世を取り囲んで。


「本当に申し訳ございません。こんな強引な手段をとってしまい…」


 あの傲慢なMCぶりから打って変わって、シャーマ三世は、ごりごりと音がするほど額を床に擦り付けながら、ひたすらに謝っている。


 その前で腰に手を当てて立っているのは、ヒシャ、アルページュ、そして最大威圧モードを立ち上げ中の紗由理の三人だ。


 他の二人はともかく、紗由理からの圧は(多分)この世界でも上位レベルだな。


「…まさかヒシャ様まで出張って来られるとは…」


 思わず漏れたのは本音だろう。


 渚の女王決定戦は、予想を超えた大騒ぎが起こり、シャーマ三世の判断で、止むなく途中中止となった。


 大騒ぎの原因は主に二つ。


 一つは言わずと知れたヒシャの登場&乱入である。

 稀代の大魔女が現れたとなって、最終的にはその時会場に降りていた観客だけでなく、観客席までもがざわつき始め、全く収集のつかない状況になり始めた。


 そしてその時、二つ目の原因が会場を襲った。


 感情の嵐、いや、もう台風と言っても良かった。


「んんんんんんんん〜!!!!」


 俺の渾身のフィッシュバーガーを一口食べた途端に、ノーマは言葉になっていない雄叫びをあげた。

 そして少し仰け反り気味に天を仰いだノーマの身体全体から、それは舞い上がった。


 た?竜巻?


 最初そう見えたそれは、さっきのヒシャの光と同じくらいの速度でその規模を増大させ、瞬時に会場全体に吹き荒れる暴風雨となった。

 

 しかもそれはいつもの曖昧な感情ではなかった。


「う、美味!」


 身体が風に打たれた瞬間、バーガーの味とそれを食べた感動がごちゃ混ぜになって打ちつけられた。


 そして、それがヒシャの件で興奮状態になっていた観客のタガを外した。


「おおお、なんだこれは!」

「あれか?帝国チームのメニュー!」

「お母さん!私あれ食べたい!

「しまった。さっきの順番で食えばよかった!」

「おいそこの係員!俺を会場にいれろ!


 とまあそんな具合で、観客席から飛び降りる者、やっと座れたエニグマ店の席から椅子を弾き飛ばして立ち上がる者、とにかくしっちゃかめっちゃになった観客群が、一気に俺達の店に向かって押し寄せてきた。


 もはや収集がつく有様ではなくなった。


 観客を止めようとしていたマイドの姿はどこにも見えなかった。いや、弾かれるように飛び上がっているところは最後に見たが…


 そして…


「お前ら静かにしろお!」


 という激ギレのシャーマ三世の叫びで、今年のシャーマ渚の女王決定戦は幕を閉じたのだった。


 勝負の行方は不問。

 とは言え、エニグマ側は完全に意気消沈していた。

 無理もない。訳がわからないうちに自分の所の女王候補があっという間に敵側に寝返って、幸せの絶頂みたいな顔をして敵側の料理にかぶりついているのだ。


 まあ俺達のコールド勝ち、みたいなものだ。


 そして勢いそのままシャーマ三世に詰め寄った俺達は、半べそをかいた国王に案内されて、今この部屋で謝る国王の後頭部を足げにしている、という…


 紗由理、気持ちはわかるがそれは一国の王ぞ!


 

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