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74.錬金術士キキョウの想い


キキョウさんは六魔のキキョウとしてダークエルフだけでなく、魔族たちに一目置かれる存在だった。4百年も前のことらしいが。

当時は腕試しだといって毎日挑戦しにきていた魔族を悉く打ち負かしていたそうだ。

そんな毎日に嫌気がさして、自分のことをしらない人族の国へ行こうと思い立ったのが200年前。

すでに魔族の国と人族の国の交流はなかったが、なんとかこちらの大陸に渡ることができた。

しかし人族の国へ来てみるとダークエルフというだけで白い目で見られ、助けるつもりで魔法を使おうものなら怯えられ散々な毎日だった。

誰も六魔のキキョウを知らないが、キキョウさんは隠れるように日々生きていくだけだった。

そんなとき、今の孤児院の創始者であるマッターの富豪と知り合った。

その富豪はダークエルフであるというだけでキキョウさんを差別することはなく、孤児院の院長という仕事まで与えてくれた。

キキョウさんは富豪にできる限り迷惑をかけないよう、その時から魔法は使わなくなった。

富豪の娘の代まではそのまま安泰に生活していたのだが、富豪の娘婿が商売で失敗し落ちぶれたうえに富豪が亡くなってしまう。そうなると孤児院の運営などできるはずもなく、富豪の孫の代になると完全に見放され、孤児院の経営費はもちろん、キキョウさんの給料も払われなくなった。

その後は成人して孤児院を巣立った人たちの寄付で今までなんとかやりくりをしてきたそうだ。

「そんな思い出の孤児院を離れてしまってもいいんですか」

「そこに留まっていたら思い出じゃなかろう。いい思い出にするために旅立つんじゃよ」

「そんなもんですかね」

「そんなもんじゃな。ところで私のからだは本当にいいのんか」

お前ほんとは抱かれたいのか!


さて、孤児院ではマナルスからの迎えがくるまで六魔のキキョウによる修練が続く。

ユンは俺たちと一緒にエルフの郷を目指す。

と、ここで大変なことに気づいた。

緊急会議招集だ。

議題は

「寝るときユンはどうする」


「さすがのご主人様もその程度の分別はあるんだにゃ」

「はいです。ちょっと安心しました」

「冗談いってる場合じゃないだろう。お前たちがずっと我慢するならそれでいいがな」

「あれー、うちたちが我慢するのかなあ」

「あの、あたしは我慢できますです」

「ん、ザクロが一番怪しい」

「はうう、そんなことないですー」

まずユンの寝床は別にする。

これは決定だ。

ただ一人になったユンに対して、いつも俺たちが3人で寝ていたら必ずこちらにやってくることが考えられる。

それは避けなければならない。

「ザクロが我慢するというなら、ザクロとユンが一緒に寝ればいいにゃ」

「あの、あの、ずっとですか?ずっとですか?ユンが寝たらいいですよね?」

「ほら、ザクロ1人は無理だって」

まあ部屋を4つとればいいんだが、いつの間にか集まっておっぱじまりそうだからな。

ここは事前にルールを決めといた方がいいだろう。

「やっぱり交代でユンと寝るっていうのが落としどころかな」

「ん、それでいい」

「ご主人様も順番に入るにゃ?」

「え?」

「そこは鬼畜じゃないことを証明してもらわないとにゃー」

「べ、別にいいけど。あんな子供に手を出すわけないだろ!」

「はうぅ、ちょっと心配です」

「おい、ザクロ」

「ん、貞操帯つければいい」

どっちに?まさか俺に?

「ま、まあユンが嫌がるかもしれないしな。ほら16歳とかってなんかそういう年齢じゃん」

「どういう年齢か知らないけど、ユンが嫌がるなら無しだにゃ」

ということで俺たちはエルフの郷に旅立つのであった。


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