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40.錬金術師王宮に潜入


翌日

ゼンマイさんの紹介状をもって王宮に赴いた。

本当にここが王宮かというくらい城内には柄の悪い連中がうようよいた。

まともな人間はすでに宰相のもとを離れているんだろう。

あとは牢獄か。


しばらく待たされた後、謁見の間(?)に通された。

ブッシュいわく、普段は王が謁見するために使われるところで一国の大臣風情が使っていいところではないらしい。


「ふむ、苦しゅうない、面をあげよ」

みるとちっちゃい爺さんが椅子に座っている。

宰相というよりこなき爺だ。

「ところでお前たち、ローツェのへんたいしんしのことは知っているか」

ここでも危険な質問からきた。

「は、噂程度ですが」

「そうか、儂のきいてる風貌とおぬしが似ているようでな。へんたいしんしはドワーフと猫人を従えてるとも聞いておる」

「は、私の聞いたところによりますと、噂のへんたいしんしは日によって従える女を変えていると聞いております。ある時はドワーフ、あるときは兎人、あるときはエルフと。何でも次はダークエルフを囲いたいと探しているとかいないとか」

ダークエルフと聞いて宰相はピクッと右の眉を動かした。


「ふむ、女好きであるというのは本当のようだな」

「は、私のように男を従えることはないと。それにへんたいしんしは変わった武器を使うそうで、なんでも伸び縮みする剣を使うとか」

「おう、そうじゃ、儂もそれを聞いておる」

「私の武器をご覧ください」

そういってビッグマグナムをみせると周りの衛兵が一瞬緊張した。

「これは空気砲といいまして、空気を撃つものでございます」

「ほう空気を。それは弱そうな武器じゃな」

少しがっかりしたようなので空気砲の実力をみせてやろう。

「衛兵をお一人お借りしても」

「うむ、構わんぞ」

俺は少し離れたところにいる、力だけはありそうな衛兵に

「全力で俺に切りかかってください」

と声をかけた。

一瞬ためらって宰相をチラとみたが、宰相が頷くと持っていた武器を構えて突っ込んできた。


「空気砲」

ぼわんっ


「のわっ」


衛兵の突進が止まる。

「どうぞ遠慮せず」

衛兵がまた突っ込む


「空気砲」

ぼわんっ、ぼわんっ


もの凄い形相で突っ込んでくるも空気に勝てず尻餅をついた。


「よし、そこまでじゃ。面白い武器よの」

「は、他にもここに控えますドワーフのモーニングスターはスケルトンの骨を砕き、猫人の白金の短剣は目にもとまらぬ速さで万物を切り裂き、奴隷剣士の剣はどんな攻撃もかわしながら反撃いたします」

「うむ、わかった。そなたたちの腕を信じよう」

「は、ありがとうございます。今回はどのようなご依頼でしょうか」

「よいか、今回の依頼はくれぐれも内密に頼むぞ」

「は、もちろんでございます」


俺たちは衛兵に地下の牢獄に案内された。

そこの入口から禍々しいものが漏れているのを感じる。

この感じは。

「これは」

「わかるか、魔溜まりだ」

「まさか、街中それも城内に魔溜まりなんて」

「だから内密の依頼なんだ」

「詳しい話しを聞かせてもらえますか」


牢獄にスケルトンが現れたのは1週間ほど前。

そもそもここはただの牢屋だったのだが、収納しきれないと宰相に上申したところ、だったらどんどん処刑しろ。ただし外には出すなという命令がかえってきた。

仕方なく牢屋の最奥を処刑場として使っていた。そしてそこにできた血溜まりから最初は小さな魔物がでてきたらしい。

3人いた処刑人たちは最初こそ驚いたが、自分たちで対処できるレベルだったのと、魔核の欠片で小遣い稼ぎができると思ってしばらく黙っていたらしい。

最初に魔物が湧いて3日後、その血溜まりからスケルトンファイターが現れて、処刑人2人をあっという間に殺した。1人はなんとか牢獄から逃げてすぐに外から鍵をかけた。中にいた牢番の断末魔がすぐに聞こえたということから、出口近くまで迫ってきたようだ。

それから今日まで扉が開けられることはなかった。

「牢屋の中にいた人は」

「知らん。牢屋の中までは入れんだろうが、どうだかな」

「大物はスケルトンファイターだけですか」

「それが処刑人が逃げるとき、もう1体湧くのが見えたとかいっていた。頭だけ見えたとかな。本当のところはわからん」

「城の兵士が総出でかかれば、なんとかなるんじゃないですか」

「もちろんそうだが、来月には魔が月がくる。おまけに今は戦争中だ。ここは扉さえ開けなければとりあえず抑え込めるだろう」

「でも、このまま魔が月を迎えたらどうなるかわかりませんよ」

「だからお前たちに頼んでるんだろう。わかってると思うが、お前たちが中に入ったら、討伐が確認されるまで扉は閉めるからな」

なるほど、使い捨ての冒険者にしか頼めない仕事か。


内密にっていうくらいだからあの宰相、依頼が成功しても俺たちを消す気だろうな。

「わかりました。それなりの報酬はいただきますよ」

「お、おう、それは補償する」

とりあえずバカのフリをしておいた。こいつも宰相の考えはわかってるんだろう。

「では一旦戻って準備させてください。明日また来ます」

「いや、討伐が済むまで城から出すなと宰相から言われている。準備は城の中でやってくれ」

「わかりました。では城の中を案内してもらえますか。間違って王様の寝室とかにいかないように」


その後客間のようなところへ案内された。

一応ベッドなどは揃っている。4部屋宛がわれたがブッシュはボッチだから2部屋でいいのに。

城の中に閉じ込められた形になったが、逆にこれは魔溜まりさえ攻略しなければ、城を探検し放題ということではないだろうか。

部屋に案内される前に、行ってはいけないところ、王の居室、宰相の執務室、離れの塔など怪しいところは教えてもらった。そこらを中心に探せばいい。


「ブッシュ、王の居室まで行けると思うか」

「宰相がそこは一番固く守っているので難しいと思います」

そうか、さっさと親書だけ渡して逃げようかと思ったんだがそうはいかないか。

「離れの塔はどうだろう」

「行って捕虜を解放するだけなら可能でしょう。ただ捕虜の数にもよりますがすぐに捕まると思います」

まあ、捕虜を解放してもシダーさんがすぐに駆けつけてくれるわけでもないしな。連絡もとれない。

「ならやはりダークエルフ捜索だな」

「はい、それとできる限り城内に味方を増やしておきましょう。いざという時のために」


それは簡単そうだな。衛兵が嘆いていたが俺たち以外も魔溜まりが見つかってから家に帰れていないそうだ。あと1か月もたったら流石に反乱とか起きるのではないだろうか。


「よし、ブッシュ。お前は城内の女性給仕を口説いて情報を集めろ」

「え?口説くって」

「お前ならできる、こういう時のためのイケメンだ」

「いけめん?」

「フェイスマンだ。ピピはコングでミケはモンキー。俺はハンニバルってわけだな。ここにAチーム結成だ」

「またご主人様がおかしなこと言ってるにゃ」


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