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39.錬金術師隣国へ潜入


翌早朝。

グリフォンにのってマカルーへ向かう。

「兄貴」

「どうした」

「大変言いずらいんですが」

また厄介ごとか。

「王宮からの言付で」

聞きたくない聞きたくない。今回は調査だ。

「できればでいいらしいんですが、マカルーの王様に親書を渡してくれと」

確か今まで使者を送っても受け取ってもらえず、3人目の使者は帰ってきてないんだよね。それってきっと殺されたってことだよね?

「それもあってグリフォンを貸して貰えたというか」

「なあ、俺たち隠密行動だよな」

「はい」

「一介の冒険者が王様に会わせろっていって会わせてくれるか?」

「まあ、無理でしょうね。ただ、兄貴ならなんとかなるかなあ、なんて」

なんでそうなるんだよ!


マカルーの王都から少し離れたところでグリフォンを降りて徒歩で王都に向かう。

勇者だけあってブッシュはここら辺の地理にも詳しいらしい。

「正面から行って王都に入れるのか」

「ローツェから来たって言わなければ大丈夫だと思います。戦争中の街に腕利きの冒険者が集まるのはよくあることなので」

ブッシュの助言通り、特級冒険者証をみせるとすんなりと街に入ることができた。

街はアルカサルと比べると随分沈んだ感じがする。活気がない。一番驚いたのは街に魔素が多いということだ。

アルカサルもマルボルクもローツェの王都も街の中に魔素はほとんどない。

だがマカルーの王都は、魔素が入り込んでいた。

魔素の多さは気がかりだったが、俺たちはまず冒険者組合に向かった。

情報収集しないことには何も始められない。


マカルーの冒険者組合は、作りはアルカサルのそれと変わらないが随分と疲れた感じがして、やさぐれている。

まず、そこに集まる冒険者たちの人相が悪い。受付もアルカサルは女性だったが、ここはオッサンだ。

「組合長に会いたい」

受付にそういうとオッサンは半ギレで

「ああ!あんた誰だ」

スッと特級冒険者証を出して

「俺たちはそこの掲示板に貼られてるような、ショボい仕事をしに来たわけじゃないんだ。あんたらに損はさせないから、話しを通してくれないか」

「はん!特級冒険者だからって粋がってるんじゃねえよ。お前らには兎の狩猟位がお似合いだぜ」

どうやらハッタリ作戦はうまくいかなかったようだ。


「おい!」

と思っていたら階上から声がした。

「俺に用か」

チェダーさんの人相を悪くして老けさせたような髭面が声をかけてきた。

「まあいい、上がってきな」


「お前たち、ローツェのへんたいしんしって知ってるか」

ゼンマイと名乗った組合長はいきなり危険な質問をしてきた。

「噂は聞いたことがあるが、直接あったことはないな」

「そうか。王宮のエライさんが情報を欲しがってるみたいでな。お前ら外から来たみたいだから何か知ってればと思ったんだがな」

「こっちでもへんたいしんしは有名なのか」

「まあ、眉唾もんの噂ばかりだが、人を魔物にしちまうだとか、女を弄ぶのがなにより好きだとかな」

「それよりこの街はだいぶ雰囲気が暗いな」

ひどい言われようだな。とりぜず話を逸らす。

「ああ、先王が亡くなってからな」

「戦争なんて始めるからだろ。まあ、俺たちはそれで儲けさせてもらうがな」

「新しい王様は宰相のいいなりらしくてな。その宰相もだいぶ怪しいんだが、宰相を探った奴は確実に無残に殺されるんで、もう誰も逆らうやつはいないらしい」

「親衛隊はどうしてるんですか」

ブッシュが横から口を出す。

「ああ、シダー様のこといってるのか。先王が亡くなってすぐ引退したらしいが、宰相に弱みを握られて無理やり隠居させられたって噂もあるな。」

「王宮はだいぶおどろおどろしくなってるみたいだな」

「ああ、宰相に逆らうやつは片っ端から地下の牢獄に入れられたらしいが、牢獄が一杯になっちまったから、そこでどんどん処刑してるって話しだ。先王の后様も一向に表に出てこないんで、宰相に殺されたんじゃねえかって噂まで立ってるわ」

牢獄がいっぱいになったから処刑ってのもすごいな。

「ところでお前たち、本当に腕は立つのか」

「そこら辺は任せてくれ。見ての通り特級冒険者2人に戦闘奴隷1人そこらの魔溜まり掃除なら余裕でこなすぜ」

ジーッとこっちを見ているミケは取り合えず無視しておこう。

「実は王宮から内密に依頼があってな。正直俺は今の王宮には関わりたくないし、この街の冒険者を危険な目にあわせたくねえんだ。どんな目に合うかわからねえが、受けてみるか」


渡りに船の依頼なので2つ返事で受けた。

その後は酒場などで街の人の話しを聞いたが、誰もが昔のローツェとの友好関係に戻りたがっていて、宰相が悪いとは思っているようだが、庶民がそれをどうこうできるはずもなく、悶々と暮らしているようだった。

「兄貴、実は俺親衛隊のシダーのこと知ってて、ちょっと会いに行ってもいいですか」

ここにきて勇者らしいことをいうブッシュ。王様の親衛隊と知り合いとは。

「そうだな、もし味方になってくれるなら頼もしい」


シダーの家は城からほど近い高級住宅地にあったらしいが、親衛隊を引退したので、すでにそこにはいないらしい。

近所でシダーの引越し先を聞いたが、誰も知らないようで、それどころかシダーの名前を出すと誰もがそれ以上なにも話してくれなくなった。


そんな俺たちに少年が話しかけてきた。

「シダー様のお知合いですか」

「ん?ああ」

しばらくじっと俺たちを見つめる少年。

「シダー様のところにご案内します。少し離れてついてきてください」

レジスタンス的なやつだろうか。

特に宛もなかったのでその少年を信じてついていくことにした。

高級住宅街を後にして下町の中を進んでいく。

そして古ぼけた一軒家にたどり着いた。


「兄貴、ここは俺一人で行きます」

さすが勇者。危険な任務は率先して任せよう。そもそもこいつ俺の護衛だしな。

少年の後に続いてブッシュが一人で家に入る。

一応何かあったら飛び込める準備だけはしておこう。


しばらくして怒りに顔を歪めたブッシュが出てきた。

ブッシュが聞いてきた話はこうだ。

まずシダーさんは元親衛隊の隊長らしい。

先王が亡くなってしばらくすると、当時の親衛隊は全員クビになった。先王の病気を見抜けなかったとか直せなかったとか無茶苦茶な理由だった。

当然シダー隊長は宰相に反抗したが、シダー隊長の母親が城の塔に幽閉され、シダーも従わざる得なくなった。シダーの部下である元親衛隊のメンバーが何度か救出を試みたが、全員帰ることはなかった。

シダーいわく、宰相がおかしくなったのは先王がなくなるしばらく前に宰相がダークエルフをこっそり捕まえてきてからだそうだ。

この国ではダークエルフは厄災をもたらす種族とされ忌み嫌われている。

そのためシダーはそのダークエルフこそ今回の黒幕ではないかと睨んでいるそうだ。

ダークエルフが城に連れてこられたことを知っている者もごく限られた者だけのようで、城内の人目につかないところに匿ってるらしい。


「そうするとそのダークエルフを見つけないとな」

「はい、兄貴」

「しかし、見つけられるのか?」

「ええ、まず城に入るのも一苦労ですが、そこの中を動き回れるわけじゃありませんからね」

「ところでダークエルフってなんで嫌われてるんだ」

「エルフはポーションを作ることでも知られてるように、人々を助ける存在と見られています。ダークエルフは毒を作り出すといわれていてそこから病気を作り出す元凶みたいに昔から言われてるんです」

「実際に毒を作るのか?」

「ダークエルフが毒を作れるのは確かなようです。古来からダークエルフの毒を利用して人間が陰謀を達成してきたという記録があります」

「それって悪いの人間だよね?」

「はい、確かにそうなんですけど、人間が人間を恨むより、ダークエルフを悪者にした方がその後の治政もやりやすいみたいで。最終的にはダークエルフに騙されたってことで落ち着くんです」

「それでみんな納得するの?」

「昔からそんなことが繰り返されてたんで、いずれダークエルフに人間が復讐されるんじゃないかっていう疑心暗鬼がダークエルフ厄災説に拍車をかけてるみたいです」

「ブッシュは勇者だけあって、冷静な判断ができてるんだな」

「ありがとうございます。でもほとんどの人間ははダークエルフ厄災説を信じてるのが現状なんです」

「今回は宰相を利用して人間に復讐してるっていう線もあるな。いやこれまでの歴史から考えて宰相がダークエルフを利用している線の方が濃いか」

いずれにしろ俺の「ダークエルフもハーレムに入れちゃう作戦」を本気で立案しなければ。

でも見た目が怖かったら諦めよう。毒盛られても困るしな。


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