35.錬金術士恐怖の進撃
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次の日の夜。
ローツェの砦。見張り台。
「なあ、人が魔物になるって話し、本当だと思うか」
「馬鹿いうなよ、捕虜になったやつらのいうことなんか信じられるかよ」
「捕虜っていっても、あの人たちは本国の工作員だぜ、俺たちより階級だって上だ。そんな簡単にだまされるかな」
「お前、青い炎なんて見たことあるか」
「ないな」
「だろ、おまけにそれを消すのがポーションっていうのもおかしいじゃねえか。ポーションを無駄使いさせる作戦じゃねえか」
「そうだよなあ、でももし青い炎に焼かれたら、お前どうする」
「そりゃあ、消すさ。魔物になんかなりたくねえ」
「それって、信じてるってことじゃないか」
「馬鹿いうなって、俺は青い炎なんて・・・」
「おい、あれ、見ろよ!」
敵陣から青い炎がこちらに近づいてくる。
近づくにつれてそれが人間であることがわかる。
禍々しい装備を全身につけ、大きな大剣を担いだ兵士が鎖につながれてこちらに向かってくる。
その後ろには何本もの松明に照らされて、真っ赤に染まった妖艶な女性を乗せた輿が続いている。
「て、敵襲!」
この世界では夜に戦うことはほとんどない。
夜襲は卑怯な手といわれ、滅多なことでは使われない。
ただ今回は正々堂々正面から向かっているので夜襲かというとそうではない、かもしれない。
いずれにしろ敵の砦は大わらわだ。
青い炎に包まれ、禍々しい装備を身に着けた巨大な兵士とそれを操っているようにもみえる、妖艶な女性が砦に向かってきている。
「青い炎の魔物がきた」
「魔物だ。あの話は本当だったんだ」
「皆、落ち着け!敵を迎え撃て!」
そこに矢が撃ち込まれた。
青い炎の火矢だ。
「気を付けろ!触るなよ」
「消せ!はやく消すんだ!」
「消えません、水をかけても消えません!」
「消えたぞ!、ポーションで消えたぞ!」
「馬鹿野郎!なんてもったいないことするんだ」
そうこうするうちに青い炎の兵士が砦の門までたどり着く。
「うおおおおおお」
青い炎の兵士が雄たけびをあげながらその大剣で門を叩く。
「来た!」
「逃げろー」
「魔物にはなりたくない」
「燃えてる。だれか俺にポーションかけてくれ」
「まて、逃げるな!」
「撤退だー」
しばらくすると砦のなかは静かになった。
敵は砦を捨て撤退したようだ。
ジョボジョボとオーキストさんにポーションをかける。
「本当に魔物になりませんよね」
「大丈夫ですよ、あれはお芝居ですから」
「かっこよかったわよ、オーちゃん」
「なんでローザンヌさんまで来たんですか」
「だって、オーちゃんの晴れ舞台じゃない。兜も鎧もあたしのコレクションを貸してあげたんだから特等席でみてもいいでしょ」
大剣は俺が売ったスケルトンナイトの大剣、兜と鎧はローザンヌさんのコレクションから借りたスケルトンバーバリアンの兜とスケルトンガーディアンの鎧だ。
「でも、こんなにうまくいくとは思いませんでしたよ」
「へんたいしんしの悪評が隣国にまで広まったわね」
「錬金術士ですってば」
いつのまにかへんたいしんしが定着してる気がする。
敵の砦にもポーションをかけて回る。
マルボルクの兵士は信じられないという顔でそれを見ている。
「おい、ミケ。ポーション舐めるな。ちゃんと消せよ」
「な、舐めてないにゃ。本当にポーションか確かめながら撒いてるだけにゃ!」
「この砦はどうしますか」
「ここはすでに隣国なので砦だけ壊して戻ります」
「ここまで侵出してしまってもいんじゃないですか」
「いえ、それは王が望んでいませんので」
そうですか。
オーキストさんは使えそうなものは持ち帰り、砦に普通の火を放つとマルボルクに戻った。
最初にマルボルクに行ったときにカリバーに食わせて剣と鎧100個づつはすでに運んでいた。無理かなと思ったが時間はかかったがカリバーは全部飲み込むことができた。
そこで終わらせてもよかったんだが、放っておくと被害が広がりそうなので敵を罠にかけて捕らえることにしたのだ。
最初の襲撃を考えると、内通者がいるのは間違いがない。モスキンたちに情報を流したものがいるのはわかっていたからだ。
そこでローザンヌさんと寝室で話し合い今回の計画を立てた。
誰が内通者かわからないので苦労したが最後の仕上げは俺が一人でやるのでなんとか悟られずに事を運ぶことができた。
個人的にはトネリコさんが怪しいと思っていたのだが、ローザンヌさんがそれは絶対にないというので最終的には信用した。
まだ、内通者はわからないが、これだけ失敗したのでもうこれ以上は何もしないだろう、あるいは自ら出ていくんじゃないかな。
マルボクル防衛戦はこうして幕を閉じた。
次から3章です。




