戦闘なのじゃ! 「鏡の中、その先は再びの我が世界、またもやの死地なり! そこに現れしは蒼紅の刺客――!」
「何ですか、結局ガッツリとバトル回やるんですか」
「いやあ《ピーッ》無双5が面白うてのう! すっかり感化されてしもうた!」
「あれ。そのゲームって確か令和3年6月の発売では」
「――それがどうしたと言うのじゃ」
「あなたやっぱり、もうとっくに帰」
「さあ今回も始まるのじゃ! 読者各位よ、わらわの活躍をとくと御覧じよ!」
『いたぞ、メルクリスティアだ!』
『今ほど川へと落ちたのに、一瞬で舞い戻っただと!?』
『まあよい、今度こそ討ち取れ!』
さあて、思うた通り帰って来れたはよいが、見立て通り無数の鬨の声轟く戦場に逆戻りとな。数は、およそ300といったところか。
帝国め、相も変わらずわらわひとりにこれほどの兵力とは御苦労なことよ。兎角、今はこの手負いの身でどれだけ捌ききれるかの。
「ぐわあっ!!」「どおごっ!!」「ぐわほうごっ!!」
ともあれ開幕よ。まずは縮地法からの一閃にて、先鋒一列をまとめて屠り去るッ!
「あがあっ!!」「ごぼぶう!!」「ひぎゃああっ!!」
続けて第二、第三第四、五ォ連斬! 我が剣速の軌道が縦横無尽に雑兵どもを次々剣の錆とし、同時に後列よりの弓の掃射を弾き返す烈風の障壁となる!
「どわああああああっ!!」「ぎぃええええええっ!!」
そしてこの神速により、さながら砂嵐のごとく粉塵舞い上がる視界の中、長剣と短剣二刀を交差させ散らした火花でもって大誘爆!
一網打尽にしつつ爆裂の勢いにこの身を乗せ超跳躍、敵兵師団長まで一気に飛空し着地と同時にその首級を頂戴する。これぞ我が奥義“包囲焼滅陣”じゃ!
「うぐ、ッッ!!」
しかし――クッ。未だ傷の癒えきらぬ身でちと動き過ぎたか。痛みに怯んだ一瞬の隙が生じてしもうたところへいざ好機、と周囲の兵が一斉に襲い来る。
「ハア、ッッ!!」
されどまだ、わらわの方が断然速し。剣を地に突き刺し、体勢の崩れるを防ぎつつも握る柄を軸に全身の俊回転、引き起こせし竜巻にて残兵を一掃じゃ!
『ウオオオオオオ』
撃退の余韻に浸る間もなく、新たな叫びの聞こゆる方を、木々を越えし丘の向こうを見やる。すると早くもこの首を獲らんと猛進する、第二波が現れた。
「あそこにおわすぞっ!! いざお助けするのだッ!!」
「姫様だけを置いて、おめおめと逃げ帰れるものか!!」
「この身、この命この刃は未来永劫、忠節がために!!」
しかし、ここでなんと、背後より我が軍の増援も参じてくれた。さっさと撤退すればよかろうに。全軍であやつめを、我が弟を守れと命じたであろうに。
フッ、なんとまあ愚図にして聞き分けなき臣下らか。視界はにわかに水気を含み出したゆえよく見えぬが、闘志は再び熱く燃え盛らんとするのを感じる。
さて、先刻より敵の数は少ないものの、対するこちらもかの者らを合わせてもその半数にも満たぬ。なれどあとひと息、あとひと踏ん張りさえできれば!
「皆の者、必ずやともに帰郷――」
“ドゴオオオオオオオオオッ――”
それはまこと刹那のことであった。希望の灯火だったはずのモノが瞬く間に絶望の炎海と化した。先刻のわらわの技とはもはや、比較にもならぬほどに。
断末魔も、身を灼き焦がす死臭すらも残らなかった。ただただ紅く白い光がこの眼をこの心を、同じ色に染め上げたのみであった。
熱気が鼻先を撫でるこの感覚。今少し位置が離れておらなんだら、わらわもまた紅き死神の腕に引き込まれておったであろう――。
「あらいけない。失敗ですわねぇ」
「……\(゜Д゜ )」
「心配はご無用。次は仕留めます」
そして地の底の業火の釜を開けるように。吹き荒れる濃煙の中より女が――と呼ぶにはまだ年端もゆかぬ娘子がふたり出で、こちらへ歩みを進めてくる。
「はじめまして。マーシブル王国王女、メルクリスティア様とお見受け致しますわ」
「貴様は……!!」
「人呼んで傭兵の【緋花】と申します。帝国に雇われ助力させて頂いておりますの」
「……( ・ω・)ノ」
「こちらは、我が妹の【鉄碧】です。無口、無表情ですけれども感情はありますわ」
「このような、しりあす展開にも確たる理由があるのじゃ!」
「はあ」
「何せこの後、師匠が颯爽とお助け下さるのじゃからのう!」
「堂々とネタバレしてくスタイルなんですね」
「あらすじに明記してあるゆえ、まあよかろ」




