表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹と翼と  作者: 零式章
2-2 緑龍 リョク 銀龍 シロガネ
22/52

魔王参上 諍いと紹介とブラコン

「なんだこのガキどもは、ここはガキの場所じゃねぇんだよ!目障りだ、さっさと帰れ!!」

「ん…どこの馬鹿だ?」


怒声の方に振り向くとゴリラのような風貌の傭兵がいた。この間はいなかった輩か、前回は比較的好感の持てる傭兵がいたのだが……。


「ここは、遊び場じゃねぇ、俺達が命を懸ける場所だ。ガキがそんな場所で遊んでやがるたぁ、馬鹿にしてんのか!?」

「……」

「おい!なんか言ったらどうだ!このガキ!」


傭兵がぐっとツバサの襟首を掴みあげる。一瞬ツバサと目が合ったコウは背中に氷を詰め込まれたような感覚に震え上がった。

コウが捉えたのはあぁ、僕達に言ってたのか、とツバサの唇が動いたこととその冷めた目。

まわりの傭兵たちも概ねゴリラに賛成みたいだが、ツバサの氷のような目に気づいた奴はいない。

中には「そうだ、帰れ」と野次を飛ばしてる馬鹿もいる。……あぁ、ツバサが完全にキレませんように、祈るだけで止めようとは思わないコウであった。


「受付のぬし、あやつらのランクは?」

「Bランクですね。貴方達ならギルドカードを見せるだけで黙らせる事が出来ると思いますよ」

「ツバサがそれで納得するわけねーよなぁ……」

「大きい声ではいえませんが魔界では今回のように上位に喧嘩を売った場合、切り捨て御免となりますのでご注意くださいね」

「「……南無」」


といったやり取りがなされてる間にも傭兵達は『かーえーれ!!かーえーれ!!』と子供のように声を合わせてツバサとリョクを取り囲んでいた。

リョクが震えて泣き出した辺りでクロガネが「あ、死んだのじゃ」と呟く。

直後、傭兵の壁の一部が吹き飛んだ。隙間から見えたのは腕を伸ばしたツバサと傭兵達の驚愕した顔。


「黙ってればピーチクパーチクと煩わしい。命を賭ける?ならくだらない事してないで腕を磨け」

「こんのガキっなめやがってぇえ!!」

「大口なんて彼我の実力差ぐらい見抜けるようになってからにしなよ、くだらない」

「Bランク舐めんなよこの野郎!ガキだからって容赦しねぇぞ!!」


宣言どおり微塵も容赦なくハンマーをツバサに振り下ろすゴリラ。激昂した傭兵達以外は次の光景から顔を背ける…がその予想は裏切られた、ツバサは溜息をつきハンマーを指一本で押し止めていた。

あっけに取られる傭兵達をよそにいきなりギルドの扉が開かれる。


「コウ、クロガネ、ツバサはいるか、っていうかどいつだ!」


入ってきたのは何の特徴も無い男、その後ろに控えるは銀髪ショートの小柄な少女。

お嬢様と執事のような二人だが、ギルド内にいた全員が一斉に男の顔を認識すると、いきなり表情が凍りついた。


「ま、魔王っ!?」

「よくわからんが喧嘩は相手を選ばないと死ぬぞ?おっさん」


ツバサ達の騒ぎを見て、苦笑しながらいうアリアをよそに、ツバサが呆然としていたゴリラの脚を払い、軽く足を(・・・・)下ろした(・・・・)

床板が嫌な音を立ててへし折れる。足をあげたツバサが『加減しすぎたか、もう一発』と呟いたのをその場の全員が聞き逃さなかった。

リョクが慌てて止めに入り、傭兵達を『急いで逃げろ』と散らせる。


「加減、正解。あいつ等、殺す、ギルド、使えなくなる!」

「そうそう意味のない人殺しは使用権剥奪だからな。

その怪力……お前がツバサか。俺は魔王、魔王アリア。他の二人は?」

「受付嬢と一緒にいる二人組だよ。報酬なら僕だけでも問題ないと思うんだけど」

「何、お祭の誘いだ。せっかくあの陰気臭い城から出かけてきたんだからパーっと遊びたくてな」

「それでちょうどいいから僕達を連れて行こうと?」


魔王が忌み子だという情報は知っていたからこちらが言い当てられても何も驚く事は無い。

なんか気さくな魔王だ、と考えつつ後方にいた二人を呼んでアリアに紹介する。


「虹龍のコウだ、ツバサが虹の忌み子」

「黒龍のクロガネじゃ、ぬしは銀の忌み子じゃの?」

「コレは丁寧にどうも。俺は魔王アリア、銀の忌み子でパートナーはこっちの…あれ?」


アリアも自分のパートナーを紹介しようとしたがシロガネがいない。

コウ達もリョクがいなくなってることに気づく。


「…リョクー?」

「シロガネー!」

「あ、あのー……」


4人がキョロキョロといなくなった二人を探していると受付嬢から声をかけられた。

何かと思って聞いてみると、先ほどツバサがコウとクロガネを呼んでいた辺りで銀髪の少女(シロガネ)緑の少年(リョク)の手を引いて外にでていったらしい。



一方その頃街道にて


「リョク 久しぶり お姉ちゃん、嬉しい♪」

「僕も、嬉しい、でも待って、コウ達、パートナー、おいてきた」

「お祭 先にいくだけ 姉弟 水入らず お姉ちゃん 奢る♪」

「皆、心配性。後で、怒られる」

「大丈夫 アリア 私より弱い♪」


普段の人形のような印象からは打って変わって楽しそうに弟の手を引くシロガネと

『問題なのはコウのパートナーだけど…』と思いつつ引きずられていくリョクの姿があった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ