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要らないっていうなら、譲ってよ!  作者: 月白ヤトヒコ


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3/3

俺は、なにも悪くないはずなんだよっ!?!?

 視点変更。


 なん、でっ……


 なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでっ!?!?


 なんでこんなことになったんだよっ!?


 俺はただ、自分の顔やルックスがいいって……ガキの頃から知ってたからっ!


 ガキの頃から、ちょっと適当に優しいこと言ってれば、周りにいた女共が群れてキャーキャー喜んで、こぞって俺になんでもしてくれたし。なんでもくれたからっ……


 それに、女の方から俺にアイドルになれるって言ったんだよっ! 俺の顔は、そこらのアイドルよりいいビジュしてるって誉めそやしたからっ!


 女達が、勝手にアイドル事務所に俺の履歴書送ったから……俺は、仕方なくオーディション受けてやったのにっ!?


 なのにあの事務所、なにが俺は絶対アイドルに向いてないだよっ!? 最終選考まで残して落とすとか性格悪すぎだろっ!?


 絶対事務所受かると思ってたのに……って、女共が言って……


 そしたらいつの間にか、今の事務所に入ることになっていた。俺のファンだとか言う女の知り合いの知り合いがどうこうで、なぜか俺はメンズ地下アイドルグループに所属させられていた。


 まあ、某事務所のオーディションに比べたらぬるいダンスと歌のレッスン。適当にやっても、誰も文句を言わない。


 そして――――どこでも、俺は女共に群がられる。浴びる称賛と黄色い声。


 少し優しい言葉を言えば、女は俺になんでもしてくれる。他のメンバーだって、似たようなものだ。俺の方が顔はいいけどな? そもそも、本気でメジャーデビューを目指してる奴なんていない。ビジュのいいクズ野郎ばかり。


 適当なこと言って、ぬるいパフォーマンスして、女達にキャーキャー言われて、金を落とさせる。ついでに、寄って来るいい女をつまみ食い。


 人生ぬるくてチョロい。俺のこのルックスのお陰でイージーモード。最高かよっ!


 配信でうだうだ言ってるメンヘラ女共に適当なアドバイスして、俺の顔見て俺に貢ぐ女に、適当なリップサービスしてやって――――


 それで上手く行ってた。全部、全部上手く行ってたんだよっ!!


 でも、知ってたんだ。俺に貢ぐ女の中には、社会人だけじゃないことを。バイト代貯めてチケット買ったとか、グッズ買いに来ましたとか言う高校生や、中には……


 お年玉全部注ぎ込んだとか言ってるバカな中学生もいたことを。お金が無いと言って、しばらく来なくなったかと思ったら……いきなり羽振りがよくなったことを。


 ああ、このガキきっとパパ活でもしてんだろうな? 必死かよ? って。心底馬鹿にしつつも、ガキ共にそれだけのことをさせる自分に、このルックスに価値があるのだと、優越感に浸った。


 金が無いとぼやく中学生のガキに、パパ活してるガキを紹介してやった。


 俺は、ちゃんと言った。無理はするな、自分のできる範囲で応援しろ、と。それを聞かなかったのは、ガキ共の方だろ?


 俺の優しい言葉に感動して? 別にする予定も無いメジャーデビューの夢のため? ハッ、勝手に俺に金を落としていたのは、ガキ共の方だ。


 俺や他のメンバーを推してくれている社会人の女共に嫉妬して? 大人だから働けて自由になる金があるのはズルいとか抜かして? 勝手に身売りしてたのは、ガキ共の方だ。事務所が、社会人の女に風俗紹介してやってるのより、俺の方がマシだろ?


 俺は、騒ぐお前らのために俺の時間を譲ってやっただけ。


 女共が群がるから、女共が俺の容姿を食い物にしてるから、それを利用してやっただけ。女共だって気持ちよくなってただろ?


 それだけ、だった、のに……?


 なのに、なのに、なのに……っ!?


 ライブ会場に来て、ふらふらで酷い顔して……グッズを買うためにお金節約してるんです! って、頬の痩けたギラギラした目で笑っていたガキ。


 毎度熱心に俺のグッズを買い漁って、俺の顔を見て、俺の言葉にうっとりしてたガキ。


 それが、いつの頃からか姿を見なくなった。


 別に、数いるファンの中でガキ一人がいなくなったところでどうとも思わなかった。


 そう……そのガキが、どこぞの公園で野垂れ死んだと知るまでは。


 死因は熱中症なんだと。ガリガリで、発見されたときには既に手遅れ。金は持っていたのに、あまり飲み食いしたような形跡はなかったとか。中高生にありがちな過度なダイエットと、暑さとが重なった事故……ということになっているらしい。


 俺は悪くない。俺は、なにも悪くない。俺は、無理に買わなくていいと言った。それを聞かないで、勝手に金を俺に使っていたのはあのガキだ。


 俺はなにも悪くない。俺は、パパ活して稼げなんて一言も言ってない。


 あのガキにパパ活させたガキが、泣きながら俺に報告しやがった……「あの子、あなたの夢を叶えるためにって……最近じゃ、ごはんもお菓子も、飲み物も買うのもったいないって……全然ごはん食べなかったの……あたしがっ! あの子にあんなこと言ったからっ……」グッズ販売中に他の客共もいる中で号泣しやがって、宥めるのに苦労させられた。


 俺、は……


 俺は、なにも悪くないはずなんだよっ!?!?


 なのに、なのに、なのに、なんでだよっ!?


 なんで、なんで、なんで、なんでっ!?


 なんで、死んだはずのあのガキがっ、鏡に映ってるんだよっ!?


 最初は見間違いかと思った。最近見なかったけど、また顔出すように……と、そこまで思い到って。あのガキが死んでいたことを思い出して、ゾッとした。


 別になにも思ってなかったが、あのガキが死んだことに対しての罪悪感かと思ったんだ。ああ、俺にも一丁前にそんな感情があったのか? と……


 けど、見間違いじゃなかったんだよっ!?


 気付けば何度も、鏡や、視界の端にあのガキが、何度も何度も何度も映る。俺の背後で笑って、やがるんだよっ……


 公園で死んだというガキがっ!?


 気味が悪くて気味が悪くてしょうがない……やめろ、俺を見るなっ!?


 俺に笑い掛けるなっ!?


 手を振るなっ!?


 家の中にまで入って来るなっ!?


 俺は、あのガキの気配に怯えるようになって――――


 ある日。ふと、気付いた。


 警官が近くにいるときや、交番、警察署の前を通るときにはあのガキの姿が見えなくなることにっ!?


 ああ、ああっ! そうかっ!? そういうことかっ!? そういうことだったんだなっ!?


 わかったよっ! お前は、自分にパパ活をさせた俺を恨んでるんだなっ!?


 お前にパパ活させたガキと仲良くしてたもんなっ! あのガキのことが心配だったんだよなっ!? アイツ泣いてたもんなっ? あのガキを、自分みたいにさせるなって俺に言いたいんだろっ!?


 だから、警察へ行けって? お前は、俺にそう言ってるんだなっ!?


 悪かったよ、悪かった……俺が悪かった。


 お前達を食い物にしてた俺が、悪かった……


 警察に全部話す。事務所が風俗と提携して、女共を嵌めてることも、ガキ共にパパ活斡旋してることも全部話すからっ……


 そうすれば、お前は満足するんだろっ!?


 ああ、警察行かないと――――


 そう決意して警察署へ向かうと、あのガキがふっと消えた。


 全部話します! どうか聞いてください! 俺の所属してる地下アイドルグループは……


 ああ、どうか、どうか、これであのガキが成仏してくれますようにっ!!


 読んでくださり、ありがとうございました。


 クズがアイドル事務所のオーディション落ちたのは、多分性格の傲慢さとクズさを見抜かれたから。容姿よくても、コイツきっといつかなにかやらかす的な? 問題行動しそうとか人舐め腐った感で落とされた感じです。(((*≧艸≦)ププッ


 推し狂娘、成仏……するかな?(੭ ᐕ))?


 刑務所から出たら……『お帰りなさい♪』って、笑顔でお出迎えするような気が……:( ;´꒳`;):


 まあ、推し活は命や財産、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)削ってまですることじゃないよねー? 的なやつです。そこまでやると、生活の潤いどころか本末転倒的な……( ̄~ ̄;)


 ちなみに、お察しの方もいるとは思いますが。口の悪い猫耳フードちゃんは『要らないって言うから、捨てただけ。でも……』と同じ猫耳ちゃんだったりします。あちこちふらふらしてる子なので。(*ノω・*)テヘ

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