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君はラストヒーロー  作者: 月 影丸
3章 シイナと耀
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1話 手を貸して

わからない。


アーリートワイライトマンがいきなり叫んで倒れた。

白い強烈な光を発して。



倒れたと同時に仮面が外れて変身が解けた。


私の足元に転がるベネチアンマスク。


それを回収してダークムーン様に捧げれば、私の、私達の長年の任務が終了する。



それなのに。


私の体は言うことを聞いてくれない。


私の瞳は、うつ伏せに倒れた青年、碓氷耀を捕らえて離せない。



「106号(トオル)」

彼が呟いたその名前が耳から離れない。



そこから導き出される答えは一つ。



「私は、貴方に会ったことがある?」



ドールの再生についてはダークムーン様から聞いていた。ドールの体を構成している物質は使い回されていると。だから、私の体の一部が106号の物だった可能性が高い。しかし、頭の中のデータベースを参照しても、106号についての情報は得られなかった。ドールの一覧に名前はある。しかし、名前と型(タイプ)以外の情報は空欄になっているのだ。人-男型ということしかわからない。



そもそも、記憶に関しては引き継がれるなど聞いていない。



それに何だろうか。

この、胸がチクチクする感じは。


ダークムーン様に頼ろうとするも、叶わなかった。

通信機能も転送機能もダメになったらしい。おそらく、さっきの強い光のせいだろう。

常夜(むこう)に戻れたらダークムーン様に聞いてみよう。106号とは何者なのかを。

どうしてこんなにも仮面を奪うことを躊躇ってしまうのかを。


仮面をダークムーン様に捧げたい。

いや、だめだ。

私の中の誰かが阻止してくる。

これは一体どういうエラーなのだろうか。




『ここまでか』



足元の仮面が喋った。正確に言うと、機械的で無機質な聲(こえ)が聞こえた。


「貴方、喋れるの?」

私は目を見開いた。

仮面は鼻で笑ってきた。

何だろう、胸がひどくもやもやする。


『ふっ、そんなことも忘れてるとは。こんなやつにやられるなんて、私は何とツイていないのか』


「私のこと、知ってるの?」

『お前のことなど知らない。知りたくもない、クソドールのことなど』

やたら口が悪い仮面。もやもやが一層強くなった。

そうか、これが"ムカつく"という感情か。


「貴方、この人を転移させられる?」

『できるに決まっているでしょう?ふん、情けをかけるつもりですか。ドールのくせに』

「いちいちムカつく。手を貸して。手当てしないと。さっき倒れた時に頭を打ってた」


『はぁ。こういう因果なんですかね。わかりましたよ、あんたも来るんですよね?』

「当たり前でしょう。貴方、手当てできないでしょ?」

『条件があります。ダークムーンとの通信機能は切ってください』

「安心して、さっきの光のせいか使えなくなったの」

『はぁ。では、耀の体を支えてください』





こうして私は転移した。

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