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まほろく短編集  作者:
20/23

書いてみた 現代パロ①


 暖かいこたつに籠りながら、キサラは天板に顎を乗せてうとうととしたまま周囲をを見回した。

「もーすぐ終わるねぇ」

「んぁー?んだよぉ。今紅白の結果見てんだよ。…………………今年は赤組かぁ。堺●人いい間違えてんじゃん。」

「あー、やめてぇ蛍の光とか、泣けてくるんだからぁ…………」

 ミカンを食べているアイリが涙ぐむ。あれだけ寿司と年越しそばを食べた上に、唐揚げも堪能して、お前はまだ食うのか。

「ちょ、ジャスラ、足邪魔だどけ、」

「うっうるさいな!お前延ばしすぎなんだよ!そもそもなんで日本人ってのはこんなせまいとこが好きなんだ!」

「てめぇ、帰国子女ってだけで日本人だろうが。ってか文句があんなら出てけよ」

 ユーリとジャスラが言いあいをはじめている。そんな二人を同じく手持ちぶさたにミカンを剥いているラディオとレオ。

 ラディオはまぁ自分が食べるためだが、レオはわざわざ膝の上でゴロゴロまとわりつくアイリのために剥いて、食べさせている。そんな甲斐甲斐しいレオの様子を目を細めながら眺める。

「キサラ?食べたいのか?」

 レオがミカンを一粒、こちらに向ける。

「んー………………」

 こたつに籠っているからか、喉は渇いているので食べたいと言えば食べたい。だけど腕を出すのが面倒だ。思わず、あ、と口を開く。

「……………………悪いけど、それ、俺には出来ないから。そこの暇人に食べさせてもらえ。」

「んだよ、それ……………ジャスラ、剥いて」

「………………。」

 向かい合ったキサラがとろんとした目でこちらを見てくる。口に放り込んでほしいから、唇を薄く開けて。

 ちくしょお、そんな無防備な顔しやがって。だから、学校でも無駄にてめぇはイケメンホイホイなんだよ。小さく呟いた言葉は彼女には聞こえない。

 スマホを覗いたユーリが一言。

「あとにふーん」

「ジャンプでもしたらぁ?」

「おまえがしろ」

「あと一分だ」

 ラディオがユーリにミカンを手渡しながら腕時計を覗く。

「へぇ、多分ちょうどになったらアイツ、ラムセスとかケイン辺りからLINE来るじゃない?」

「ケインからは多分ないな。学年末赤点取りすぎて課題めっちゃ出てるから紅白もカウントダウンも見れてない。クロードが見張ってるって話だぜ」

「あ、なったよ」

 アイリが寝転んで、レオの腕をあらぬ方向に曲げながら文字盤見ていった。

「あ、ラムセスからきた。はや。」

 ユーリがiPhoneをいじっている。そのカバーが地味にラディオと一緒なのが気になる。アイリがラディオを薄くにらんだが、当のかれはどこ吹く風だ。

「ほいキサラ。ミカン。」

「あー…………うん。」

 一粒、ちゃんと白いもやもやもとってくれたそれをジャスラの指から受け取った。掠めた唇の柔らかさに、ジャスラなぼっと赤くなる。

「あんたさぁ」

「なんだよ。」

「直接言いなよ、こういうことは」

 白いスマホの画面をふる。手を出せるならミカンぐらい自分で剥けよ、と突っ込みたいが、彼女が示した画面。そこは恐らくメールBOXだろうか。やけ長い文章が綴られていた。

「……………………………」

 メールの送信時間の設定通りだ。でも、まさかこんなにはやく彼女がスマホを見るとは思わなかったから、焦ってしまう。

「気持ちは伝わったから、まぁよしとするけど。」

「………………………で、返事は?」

「これからもどうか、よろしくお願いいたします、だ。ミカンおかわり。」

 その答えに、顔を真っ赤にしてジャスラは手元の皮をいじり回した。

 キサラはそれを視界に入れながらスマホの画面を返信にして、手早くメールを打ち始めた。また、その内容を見て真っ赤になるジャスラと、にやにやが止まらないキサラ。

 そんな大体のメールの内容が顔に出ている二人を見て、ラディオがごろんとユーリの隣に寝転ぶ。

「……………………なんだよ」

 うつ伏せになって、来るメールやLINEに返信していた彼女はぶっきらぼうに言った。それをじっと見つめながら一言。

「これからも、よろしく。」

 ゆっくりと手をあげて、その髪をさらっと撫でた。彼女は少しだけ頬を赤らめると、その手を優しく払いのけ、ぼそっとよろしくと呟く。

 そんな様子に微笑みを隠せない。押し付けたiPhoneカバーはなんだかんだ言いながらも使ってくれているし、最近はさりげないボディタッチも許してくれるようになった。生徒指導室で出会った時はなんて不良な女だと思ったのだが、ジャスラとキサラを通して感じたこのユーリと言う女はただ、口が悪いだけの少女だったのだと気がつく。

「てめぇのそぉいう上から目線がムカつくんだよ」

「あぁ、知っててやってる」

「…………………………潰す」

「やれるのか?」

「やってやるよ………って言いたいけど、そこ!あたしの反対側!いちゃつくならこたつから出ろよ!さっきからあたしの足に当たってんだよ」

 ユーリがこたつの向こう側に声を張り上げる。そして、誰だかわからんが、足を蹴ってやる。

「ぁきゃん?!ひどい!ユーリのバカ!おバカ」

 声色が若干甘いから何をしていたか嫌でもよくわかる。

「ったく…………。」

「レオー、ユーリがいじめたぁ!なでなでして?」

「んー?よしよし」

「そ、こ、じゃ、な、い。…………もっとした」

「だぁ!もうー!あたしらの前でいちゃつくな!」

「仕方ねぇから煩悩払いに初詣行くぞ」

 ジャスラが立ち上がって伸びをする、こたつの隙間からのすきま風が凄まじく寒い。

「えー、やだ。ジャスラ一人で行けよ」

「皆で行くもんだろぉが。」

 ハンガーからコートを外し、羽織る。そして嫌がるユーリとキサラに投げて寄越した。

「やだー。ジャーちゃんさみしぃのぉ?」

「アイリ、うるせぇ。」

「せっかく思いが通じたんだから、二人で行きなよ」

 アイリが体を起こす。乱れたセーターを元に戻しながらレオにもたれた。

「っば、何で知ってんだよ?!」

「逆に聞くけど、バレてないと思ってたのか?顔に丸出しだぞ」

 レオが炬燵の下からアイリのスカートを引っ張り出しながら言った。まて、いつの間にそこまで脱がしていたんだ、この変態エロ魔神め。そんな視線は何のその、レオはそれをアイリの足にはかせていく。

「そうそう、『まずは、明けましておめでとうだよな。お前と出会ってもう1年だ。最初あった頃お前は……………』」

「だまれ!!!なんで内容まで知ってるんだ?!」

「……………………?思いって?なに?」

 キサラがしぶしぶコートを着ながらきょとんとする。しばらくの沈黙のあと、口を開いたのはジャスラとアイリだ。

「「は?」」

「やぁ、やっぱりキサラちゃんは最高だよねぇ」

「「「「ウラル先輩?!」」」」

 こたつの中から現れた、2つ上のこの先輩は、にやにやとしたまま這い出てくるとふふふふ、と笑う。

「ど、ど、どっかか?!」

「四次元ポケットなのか、このこたつは?!」

 ジャスラとユーリが、がばっとこたつ布団をめくるが、そこは赤外線の赤い光が溢れているだけで、なにもない。

「あははは、気にしない気にしない!」

「いやいやいやいや!」

「さ、いこうか!外でラスダムも待ってるよー」

 ふふふふ、と笑いながらウラルが出ていくその背中を釈然としない気持ちで追いかける6人だった。

 こたつの電源を切り、電気を消してぞろぞろと6人は新しい年が始まった町に出ていった。


あけまして、おめでとうございます。

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