高校1年生編 5章 第2話 人材不足
次は4月24日に投稿予定です
サイボーグが東京で暴動をおこした次の日。
「奴ら何も知らんだって?」
紅鏡家にある銀河連邦警察の施設で、月影から報告を受けたロカはほんの少しだけ驚きの声をあげた。
机を挟んでロカは椅子に座り月影は立っている。
「ええ、アルゴルから雇われて暴れただけだと」
月影は持っている書類に目を通しながら話を続けた。
「ちっ、またアルゴルか。しかし、雇われて暴れたところを警察に捕まってたら世話ないぜ」
ロカはそう言うとフーッとため息をついた。
「彼ら地球が、銀河連邦政府の加盟星とは知らなかった様です。知らせられなかったと言うべきでしょうか?」
「全く脳筋な連中だ。普通、少しは調べるものだがな……。しかし、アルゴルの連中も何が目的なんだ? 最終的に地球を支配したいなら、やっていることの規模が小さい」
「私も検討はつきませんが……。今、アルゴルの地球方面の責任者はサエウムとハロスの二人だそうです」
「人体実験好きなマッドサイエンティストと戦士を殺すのが趣味のイカレ野郎か……。なるほど、人選としては、よくねえな。侵略より自分の欲を優先する連中だ」
「おかげで地球侵略が遅れてますがね。今のところは……」
「奴らが遊んでいるおかげで地球はそれなりに平和ってことか。宇宙の犯罪組織にたまにある現象だな」
「それもいつまでもつか……」
「この二人のうちどちらかが、本気を出したら地球は危ないか……。銀河連邦警察の本部から増援は?」
ロカの問いに月影は首を左右に振った。
「地球は辺境ゆえ……」
「田舎に左遷されたって思う警官がほとんどか……」
ロカはそう言うと再度ハアとため息をついた。
「地球が銀河連邦政府の加盟星なのが、せめてもの救いかも知れません」
月影もそう言って顔を少し落とした。
「そうなるとベロニカやニーナの存在がありがたいな。二人とも優秀だしな」
「ええ」
「しかし、当分は現地の地球人をスカウトするしかないか……」
そう言うとロカは立ち上がり部屋の出入り口である扉へと歩き始めた。
「どちらへ?」
「トレーニングルームだよ。銀河連邦警察の中央から増援が望めないなら、今いる若いのを鍛えるしかねえだろ?」
ロカは立ち止まると顔を月影に向けて少し微笑んだ。
「そうですね。承知しました。ちなみに貴方から見て、相良大地君と花里一君の戦士としてのスジはどうですか?」
「悪くない。特に大地は俺と同じミュータントだが、俺以上の戦士になるかも知れんぞ」
「それほどの戦士に……」
ロカの評価に月影は少し驚いた様だ。
「一君はサイキッカーだが、反射神経が良い。肉弾戦もそれなりになりそうだ。だが、やっぱり彼はサイキックの力を伸ばすべきだろう。その方面はお前に任せるよ」
「承知です」
月影はそう言うと頭を少しだけ下げた。顔をあげるとロカと目があい二人とも少し微笑んだ。
「じゃあな」
ロカはそう言うと扉に再度歩き始めた。
「あまり無理をしない様に」
月影の言葉を後ろから投げかけられたロカは右手を軽く上げるとそれを振って月影に答えると扉から部屋を出ていった。




