表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/286

フラーレン

「おはよう。昨日はごめんなさいね。」

翌朝、いつも通り助手が研究室に入ってきた。

「おはようございます…」

みな研究しながら助手の動向を気にしていた。

『そろそろ時間だ…』

1限目の終わりのチャイムが鳴ったが、今日も『扉の空間』に召喚されなかった。

勇太はチラッと海斗を見た。

『今日もだ…取り合えず様子見かな。』

海斗と目が合ってそう考えていたときだった。

「中島君、ちょっと良い?」

助手は勇太に手招きして研究室を出た。

勇太はみなの視線を感じていた。

勇太はみなの方を振り向いて頷いた。

『なんだろう…さすがにまた気絶させられるとかないよな…』

研究室を出てすぐ廊下に助手が立っていた。

「安倍晴明様、今あなたのもとにいるのよね?」

勇太は驚いたが、黙っていた。

「晴明様を呼んで欲しいの。大丈夫、もうあなたには何もしないわ。」

信じても良いのだろうか…勇太は悩んでいた。

『主よ、わしは今日も現代の様子を見てくるが、もしわしに用事があるなら…』

勇太は今朝、自宅を出る前の晴明の言葉を思い出した。

『五芒星のペンダントに意識を集中させて、晴明に呼びかける…晴明、文子先生…魔術師のフラーレンって人なんだけど、晴明を呼んでる。』

「呼んだか、主よ。」

勇太の後ろから晴明の声がした。

「晴明!いつの間に。」

勇太は驚いて後ろを振り向いた。いつの間にか晴明が立っていた。

「お待ちしておりました、晴明様。お初にお目にかかります。金剛文子と申します。」

助手は晴明に一礼した。

「ほぅ、金剛…と申したか。」

晴明はニヤリと笑った。

「あやつがわしを呼んでいるのだな。」

晴明が言った。

『あやつって、まさかダイヤ?!』

勇太は晴明を瞬きせずじっと見ていた。

「はい、ご案内します。」

助手が歩き出そうとした。

「あいにく、まだ主の許可が下りておらぬ。」

助手が振り向いて勇太を見た。

勇太はどうすれば良いか分からず晴明の顔を見た。

晴明は勇太にニヤリと笑いかけた。

「主に同行しようとするかの。」

晴明は涼しげな顔をした。

助手はため息をついて、

「中島君も一緒に来て。」

と言った。

勇太は助手について歩き出そうとしたが、助手は研究室のすぐ隣の教授室の前で足を止めた。

助手は教授室をノックした。

「文子です。お連れしました。」

助手は教授室のドアを開けて勇太と晴明に入るよう促した。

『何で教授室?』

勇太は疑問に思いながら教授室に入った。

部屋の奥のデスクに教授が座っていた。

「えっ?!」

勇太は驚いた。

教授の後ろにアメジスト、クォーツ、ルビー、サファイア、エメラルド、ジルコンが立っていた。

アメジストはいつものゴスロリファッションで、クォーツは黒のスーツ、サファイアは紺のスーツ、ルビーは赤のポロシャツにデニム姿、エメラルドは緑のワンピース姿、ジルコンはランジェリーのような露出の高い白いワンピース姿だった。

「なっ、何で?」

勇太は混乱していた。

「こっちが聞きたいわよ。何であんたまで来てんのよ?」

アメジストが呆れた顔で勇太に言った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ