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4人の攻防

「じゃあ、いくわ。」

あきがそう言って晴明に向かって走り出した。

晴明の手前まで走って消えたかと思いきや、晴明の後ろに現れ、

ROOK(ルーク)!」

と叫び、晴明の周りに魔法陣を発生させて、ROOK(ルーク)を5発も晴明に浴びせた。

「野上、勇太の体なんだから…」

海斗は容赦ない攻撃をしたあきにそう言いかけた。

「大丈夫。ほら。」

晴明は全くの無傷だった。

「この程度の攻撃ではわしを倒せんぞ。」

晴明はニヤリと笑った。

「くそっ…勇太!」

海斗は晴明に向かって叫んだ。

「松下君、中島君の精神に入り込んで、中から中島君を起こそう。」

貴司が海斗に言った。

「中から?できるのか…?」

「うん。松下君の精神を中島君の精神に入り込ませるから。これ、相手を洗脳する術だけど僕にできるのはこの術ぐらいかな。モリオンが急に教えてくれたのはこのためだったのかも…」

貴司は海斗の足元に魔法陣を出現させた。

「松下君は中島君のこと考えて。まともに発動させるの初めてだから僕も成功するか自信ないけど…よし、いくよ!」

海斗は目をつぶった。

貴司も目をつぶり、術を発動させた。

海斗と貴司の足元に大きな魔法陣が現れた。

「ほう…術は成功だな。」

晴明が余裕の顔で言った。

「じゃあ、なおさら攻撃あるのみ。」

そう言ってあきは今度は魔力を球にして直接晴明にぶつけた。

「ほう…」

晴明は無傷だったが、あきが後ろに飛んで晴明から離れた。

晴明の頭上には大きな魔法陣が現れていた。

魔法陣は光を放ち、晴明に向かって無数の魔力の球で攻撃した。

「…すごい。」

樹理奈は感心していた。

「やるな。」

攻撃が止んで、晴明の姿が見えるようになった。晴明の装束がボロボロになっていたがすぐ元通りになった。

晴明は手を出し、海斗たちに向かって魔力を放った。

「危ない!」

樹理奈は自分と海斗と貴司の前に魔法陣の盾を出現させた。

あきは自分で防御し、4人は攻撃を受けずに済んだ

「その調子。攻撃が火属性以外なら木属性の『魔力(つる)』でも良いかも。」

あきが樹理奈に言った。

「うっ、うん!」

樹理奈はまだ少し緊張していた。

「では、火で攻撃するぞ。」

晴明は大きな火の玉をあきと樹理奈に向かって放った。

樹理奈は魔法陣の盾で防御した。

しかし、あきに向かってきた火の玉は突然消えたかと思うと、あきの腕が炎に包まれた。

「野上さん!」

樹理奈は悲鳴をあげたが、あきは表情を変えなかった。

「大丈夫。」

炎が消え、あきの肩から袖口までが燃えただけで、腕は無傷だった。

「…よかった。」

樹理奈は半泣きだった。

「どうした?!」

海斗は目をつぶったまま聞いた。

「問題ないから。そっちに集中して。」

あきが言った。

「この辺に中島君の気配は感じない…松下君、もっと深く入り込んでみようか。」

貴司も目をつぶったまま海斗に言った。

「そうだな。頼む。」

海斗が言った。

「…やはり、あの女だけ別格だな。」

晴明はあきを見てニヤリと笑った。


「…勇太!…勇太!」

『あれ…海斗…?』

勇太が目を覚ますと暗い場所に1人でポツンと立っていた。

「気がついたか。早かったな。」

周りが白く明るくなり、勇太の目の前に平安貴族の装束を着た、勇太よりも少し背が高く、目が細い男が立っていた。

「あの…えーっと…ここはどこか分かりますか?」

勇太は辺りや天井を見回した。自分が立っているのは白いドームのような場所の真ん中にいるのが分かった。

男は目を丸くした。

「ほぉ…案外冷静であるな。ここはお前の精神の中のわしの支配している部分、とでも言っておこうか。」

勇太は理解できずにキョトンとしていた。

「今、わしがお前の体を乗っ取っているのだ。ほれ。」

男は後ろを振り向くと、映画のスクリーンのようなものが浮かび上がり、あきや海斗たちが映し出された。

「海斗…?これは一体…?」

「わしが今見ている光景じゃよ。あの者たちはわしからお前の体を取り戻すために戦いを挑んできよったわ。」

男はニヤリと笑った。

「あのー…どなたですか?」

勇太は男に聞いた。

「わしの名は安倍晴明。そなたの魔力を媒介に憑依している。」

勇太は何となく自分は今、この安倍晴明に体を乗っ取られているということを理解した。

「俺は…このまま体を乗っ取られたままになるのですか?」

勇太が聞いた。

「わしはどちらでも構わんがな。あの女の力がいかほどかによる。」

「あの女?」

勇太は晴明の視線の先を見た。

「野上さん…!」

「あの女、生意気にまだわしの力を探っておる。全然本気出しておらんな。」

晴明がニヤリと笑った。

「さて、また試してやろうか。」


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