表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/286

ROOK(ルーク)

「ふぁ~。」

勇太は大きなあくびをしながらエバポレーターの前に立っていた。

フラスコがクルクルと回転しているのを眺めていると眠くなってきた。

『エバポ回してる間に実験ノート書いとこ。』

そう思って勇太は自分のデスクに戻ろうとした。

「昨日は遅かったのか?」

海斗が勇太に近づいてきて言った。

「あっ、あぁ…」

本当はただ夜眠るのが遅かったから寝不足になったのではなかった。

昨日、帰宅後もずっとジルコニアと式神の視線を感じていて、なかなか眠れなかったのだ。

『そんなこと話したら海斗に心配かけるだろうな…』

勇太はあえて海斗には黙っておこうと思ったが、

「なぁ、人間界にはこれがあるんだ。」

海斗は勇太に小声で言い、携帯電話を見せた。

「何かあったらすぐ電話してこいよ。」

海斗はニヤッと笑った。海斗にはお見通しのようだった。

「ありがとう。」

海斗の言葉に勇太は少し気分が楽になった。

「中島君、松下君。」

貴司が勇太と海斗を呼んで時計を指差した。

時計は10時28分を示していた。

『後2分弱か…』

勇太はデスクに座って今日の研究の経緯をメモをした。

『戻ってきたらちゃんとノートに書こう。』

ちょうどその時、目の前の景色が変わった。

勇太たち5人の前にルビー、クォーツ、アメジスト、エメラルド、アクアマリン、パール、オパールが並んで立っていた。

「久しぶりだな、“元”バカ弟子。」

オパールは海斗に向かっていった。

海斗は半笑いだった。

「昨日は大変だったけど、みんな無事でよかったわ。」

ルビーが言った。

「昨日みたいに敵の奇襲が今後もないとは言い切れないから、今日は急遽あなたたちに闇属性魔術に対抗するための術を教えることにしたわ。まず、闇属性魔術に一番効果が高いのは光属性なんだけど、光属性以外の魔術師も対抗できるために開発した複数の魔法陣を組み合わせた術、何度か見てるわよね。」

ルビーが勇太たちを見回して言った。

「『対闇属性魔術無属性攻撃魔法陣・ROOK(ルーク)』ちなみに、名前は私を含めた開発した魔術師の名前の頭文字からとっているのだけど、

Ruby(ルビー)

Onyx(オニキス)

Opal(オパール)

Kyanite(カイヤナイト)

この4人よ。」

オパールの名前が出て海斗と樹理奈は意外そうな顔でオパールを見た。

「こらっ!“元”バカ弟子に…樹理奈ちゃんまで!」

そんなこと言いながらもオパールは得意気だった。

勇太はペリドットが以前言っていたことが本当だったんだなと思っていた。

『ああ見えてオパールはかなり賢いし、魔術師としてもかなりの実力の持ち主なんだぞ。』

「光属性でもちゃんとROOK(ルーク)を習得しろ。昨日みたいな防御じゃ全然ダメだそれに…」

クォーツが勇太に説教をし始めたが、

「さっさと始めるわよ。ここにいれるのも1日90分までなんでしょ?」

とアクアマリンが遮った。

「そうなんだ~。今日中に全員のROOK(ルーク)習得が目標じゃなかったっけ?大丈夫なの?」

アメジストが他人事のように言った。

「フラーレンにそう言われてるんだ。やるか。あき、お前も教える側についてくれ。」

樹理奈にはルビーとアクアマリン、貴司にはエメラルドとオパール、海斗にはクォーツとあき、勇太にはパールとアメジストがついてROOK(ルーク)の修行が始まった。

「まず、ROOK(ルーク)の仕組みについて話するわ。」

オニキスが闇属性魔術に効果的な『呪い』を開発し、『攻撃』が得意なルビーと術を組み合わせて作った魔法陣の術式を、オパールが『略式』でより簡単に早く発動できるようにして、カイヤナイトが複数の魔法陣の組み合わせ方、重ね方を調節してできた術だとパールは丁寧に教えてくれた。

アメジストはその様子を腕をくんで見ているだけだった。

「かなり年月をかけて開発したのよね。擬似・闇魔力核(ダークコア)で何万回と試行錯誤を繰り返して完成したの。じゃあやってみましょうか。」

『攻撃』と『呪い』の魔法陣を何度も層のように重ねるから発動させる時に複数の魔法陣が見えたことは分かったが、

「コツを掴むのは難しいのよね。ROOK(ルーク)を1日で習得させるなんて無茶苦茶よ。今まで1日で習得できた人、ほとんどいなかったのに。焦らせる方がかえって良くないわ。」

そう言ってパールはチラッとアメジストを見た。

アメジストは知らんぷりをしていた。

結局、海斗が後一歩のところでROOK(ルーク)を完全に習得できるところまでできただけで、勇太、樹理奈、貴司は発動さえしなかった。

「真剣にしたのか?」

クォーツは勇太を睨んで言った。

『何か今日は俺への当たりがキツいな…』

勇太は明日はクォーツと1対1の修行だと思うと気が重かった。

「まともに教えてくれる師匠でもこんな感じなんだ。実力だけの誰かさんが師匠だと全然だっただろうな。師匠が違えば“元”バカ弟子は完全にROOK(ルーク)を習得できただろうに。」

オパールはクォーツを見ながら嫌味っぽく言った。

クォーツはオパールをにら見返した。

『この2人…仲悪いのか…?確かに相性良くは見えないけど。』

いずれにしろ、オパールが助け船を出してくれて勇太はホッとした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ