あきvsマーキュリー
「ゴメンなさい。こっちも色々あったのよ。」
ルビーは水銀蟲が氷漬けになっている氷の壁に手を置くと、氷の壁が炎に包まれて跡形なく消えた。
「この子たちは私が守るから、あきはマーキュリーの相手して。」
「分かったわ。」
あきはマーキュリーに向けて手を出した。
すると、マーキュリーめがけて何十もの氷の槍が降ってきた。
マーキュリーは浮き上がりながら氷の槍をかわした。
地面に氷の槍が何十も突き刺さっているので肌寒くなってきた。
「石ころごときがッ!」
マーキュリーが地面に着地して反撃しようと構えたとき、地面からの冷気でマーキュリーの両足が氷始めた。
「しまった…」
隙をついてあきがマーキュリーを指さした。
「ROOK!」
マーキュリーの足元にいくつもの魔法陣が現れて、強い光を放つとともに爆発した。
『あれは学園祭のとき見た術だ…』
勇太たちはあきの戦いを見ているだけだった。
「うぅ…」
マーキュリーにかなり効いたようだった。マーキュリーは倒れそうになったが、ヨロヨロと歩き出した。
しかし、マーキュリーの足元からまた魔法陣が現れて光出した。
「罠ね。あきの十八番よ。」
ルビーが言い終わらないうちに魔法陣がまた爆発した。
マーキュリーが1歩歩き出すごとに足元に魔法陣が現れて爆発した。そして合計7発の魔法陣の攻撃を受けたマーキュリーはバタリと倒れた。
「やったの…?」
「スゴい…」
貴司と樹理奈が小声で言った。
あきがとどめとばかりに大きな氷の槍をマーキュリーに向けて放った。
しかし、マーキュリーの前に赤みがかった銀色の金属の壁が現れて、あきの攻撃を阻んだ。
あきの氷の槍は金属の壁を貫通せずにスライムのようにベットリ貼りついていた。
「また派手にやられたな。」
黒の革のジャケットに黒の革のズボンを履いたパンクバンド風のガタイの良い男が現れた。
「誰か隠れてると思ってたけど。マンガニーズ、あなただったのね。」
ルビーが言った。
マンガニーズはマーキュリーをひょいと肩に担ぎ上げた。
「マンガニーズ…」
「意識はまだあるか。引き上げるぞ。」
勇太は金属の壁の氷が貼りついていた辺りだけ黒くなっているのに気づいた。
よく見ると黒い部分の周りは霧がかっていて、表面から小さな泡が出ていた。
「逃がさないわ!」
ルビーが手から炎を出してマンガニーズたちに向けた。
炎は金属の壁に近づくと大きく燃え上がり、マンガニーズたちに襲いかかった。
「ちっ。」
マンガニーズはルビーとあきを見て舌打ちして、体から黒い霧を吹き出した。
「逃げられたわね。」
あきが言った。炎が消え、金属の壁もマンガニーズたちも姿を消していた。
「無事で良かったわ。」
ルビーが言った。
「貴司、術はもう解いて良いわよ。」
貴司はかなり体力も消耗していたのでへなへなと座りこんだ。
「緊急事態だったとはいえ、jewelsになっていない者が人間界で魔術を使うとはな。」
クォーツが現れて言った。クォーツはあからさまに勇太を睨んでいた。
「それを言うなら、見張りが消えたからでしょ?『ジルコニア』の気配がなくなった直後にマーキュリーがつけてきた。それに気づかなかったの?」
あきがクォーツに言った。
「私も今回のことは仕方なかったと思うわ。でなきゃ誰か殺されていたわ。」
ルビーが勇太をチラリと見て言った。
「『ジルコニア』がまたやられたの。恐らく、ジルコニウムの仕業ね。あの子なら『ジルコニア』を破壊できるもの。『今度はかなり改良したから大丈夫だ』ってジルコンも言ってたのに。ジルコン、またキレるわね。」
ジルコニウムとはジルコンの双子の妹だが、金属中毒の魔術師だと教えてもらった。
「フラーレンからの伝言。『ダイヤは今回、上級魔術師4人が無断で人間界で魔術を使用したことは不可抗力だったと判断した』って。」
アメジストが突然現れて言った。
「お咎めなしってことよ。」
クォーツは苦々しい顔をしてアメジストとともに姿を消した。
ルビーもくるりと背を向けて消えようとした。
「ルビー、今回は中島君目当ての襲撃だったのは明白よ。そろそろちゃんと説明して欲しいんだけど。あの五芒星の意味も。」
あきがルビーに言った。勇太たちもルビーを見つめた。
ルビーはしばらく黙っていたが、
「あなたたちは気にしなくて良いわ。」
と言って姿を消した。




