魔術界創設
『晴明…みんな晴明に聞きたいことあるって…』
「呼んだか、主よ。」
勇太たちが研究室の横の準備室でお昼ご飯を食べていた。
午前中にみなそれぞれ『扉の空間』に呼び出され、それぞれの師匠と教授と話したそうだった。
勇太はその時に晴明が『扉の空間』を作ったということを言っていたとみなに話したので、みな晴明に詳しい話を聞きたいとなって晴明を呼んだのだった。
「いかにも、わしと大也で作った。」
晴明が得意気に言った。
「じゃあ、魔術界を作ったのも晴明さんも関わってるの?」
貴司が聞いた。
「晴明で良い。そうだ。わしと大也で千年ほど前に人間界とは違う空間に作ったものだ。大也は話してくれなかったのか?」
貴司は首を横に振った。
「わしの弟子と大也の弟子も少しは手伝ったかの。人間界で色々あってな。人々には『金剛式魔術』は受け入れられなんだのでな。」
「『金剛式魔術』?!」
「受け入れられなかったって?!」
あきと貴司が同時に晴明に聞いた。
「大也はその事も話していなかったのか。そなたたちは何も知らずに修行してたのか?」
晴明は半ば呆れた顔で言った。
「『金剛式魔術』ってのが俺たちが修行している魔術のことだよな?」
海斗が言った。
「左様。正式名称と言って良い。」
晴明が言った。
「陰陽道の『陰陽五行説』から大也が発展させた術で、陰は闇、陽は光、五行の火、水、木、土、金それぞれの特性をより生かして…」
晴明がそう言いかけていると準備室のドアが開いた。
「中島君…晴明様、いらしてたのですね。すぐに来て頂けませんか?」
助手が準備室に入ってきた。
「主の命があればな。」
晴明は勇太をチラッと見てニヤリと笑って言った。
「中島君、良いでしょ?」
助手は少し焦っているようだった。
「あの…何かあったのですか?」
勇太が助手に聞いた。
しかし、助手は黙っていた。
「…何か嫌な感じがする。」
樹理奈があきにボソッと言った。
「私も。この感じ、マーキュリー…?でも何か違う…」
あきも言った。そして助手に、
「先生、私たちはもう魔術界と関わっていくことを決めたんです。そちらが変な隠し事をするのは卑怯だと思うのですが。」
と睨んで言った。
助手はため息をついた。
「中島君を連れてくるなって言われてるんだけどね。」
「えっ?!」
勇太は少し驚いた。何故自分の名前が出てきたのだろう。
「あなたたちの感じたもの、正解よ。『扉の空間』からのものよ。それを感じ取れるなんてあなたもなかなかね。」
助手は樹理奈を見て言った。
「『扉の空間』にマーキュリーが?!」
貴司が聞いた。
「マーキュリーじゃないんだけど…マーキュリーにとりつかれているの…」
助手が一呼吸置いた。
「Jewelsでtwelvesの1人、魔術師 ペリドットが。」