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プライベートカウンセラー  作者: Ohtori
第8章「プロスポーツ選手(元サッカー日本代表)・村上隼人(35歳)」
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第4話「アスリート支援の道」

都心のホテルラウンジ。夕暮れが近づき、窓の外にはオレンジ色の光が広がっていた。香坂美月は、向かいに座る村上隼人の表情をじっと観察していた。


前回のカウンセリングでは、自身の経験を活かし、メンタルトレーニングと教育の分野を組み合わせたキャリアを模索するという方向性が固まった。今日は、その次のステップについて話し合う予定だった。


「こんにちは、村上さん。前回の宿題として、講演の依頼ができそうな関係者のリストアップと、メンタルトレーニングの資格取得について調べるという課題を出しましたね。進捗はいかがですか?」


美月が問いかけると、村上は持ってきたメモを開きながら答えた。


「はい。いくつかの関係者と連絡を取りました。まず、以前所属していたJリーグのクラブのスタッフに話をしたら、『育成年代の選手向けに話をしてほしい』と言われました。」


「それは良いですね。具体的には、どのような内容を求められていますか?」


「主に、プレッシャーの乗り越え方や、試合でのメンタルコントロールについてですね。特に、プロを目指す選手たちが、プレッシャーとどう向き合うかを知りたいらしくて。」


美月は頷きながらメモを取った。


「村上さんが話す内容は、まさに彼らにとって価値のあるものですね。講演の形式や時間は決まりましたか?」


「まだ詳細は決まっていませんが、60分ほどの講演が良いのではないかと話しています。スタッフの方からは、ワークショップ形式にするのも面白いかもしれないと言われました。」


「なるほど。それは良いアイデアですね。講演だけでなく、実際に体験できる形式にすると、より実践的な学びになります。」


村上は頷いた後、もう一つのメモを取り出した。


「それから、資格についても調べてみました。スポーツメンタルコーチの資格はいくつかあって、国内のものと、海外のものがあるみたいですね。」


「どれが村上さんにとって魅力的に感じましたか?」


「日本の資格は取得しやすそうですが、海外のプログラムのほうが内容が体系的で、実践的に感じました。特に、アメリカのスポーツ心理学のプログラムは、選手向けの実践的なトレーニングが含まれていて興味があります。」


「いいですね。海外の資格は、日本のマーケットでも差別化になりますし、国際的な視点を持つことでより広い活動が可能になります。」


「そうですね。少しハードルは高いですが、挑戦する価値はあると思っています。」


美月は微笑みながら、次の質問を投げかけた。


「では、今後のステップとして、どのように進めていくかを整理しましょう。」


「はい。まずは、講演の準備を進めます。そのために、プレゼンの内容を作り込むことと、ワークショップの形式を考えることが必要ですね。」


「その通りですね。では、資格取得のほうはどうしますか?」


「まずは、海外のプログラムについて詳細を調べ、受講可能なものを選びます。ただ、すぐに取得するのは難しいので、講演活動と並行しながら準備していく形にしたいです。」


「良い計画ですね。講演を通じて実際のニーズを確認しながら、専門的な知識を補強していくことで、より実践的な活動ができます。」


村上は深く頷いた。


「自分の進む道が、ようやく見えてきた気がします。最初は、引退後のキャリアがまったく想像できませんでしたが、こうして整理すると、やるべきことが明確になりますね。」


「それは、村上さんがしっかりと自分自身を見つめ直した結果ですね。」


村上は少し笑いながら、美月を見つめた。


「美月さんのおかげですよ。カウンセリングを受ける前は、どこに向かえばいいのか分からなかった。でも、こうして整理すると、自分が次の世代のためにできることがたくさんあることに気づきました。」


「そう言っていただけると嬉しいです。でも、村上さんが動かなければ、何も変わらなかったはずです。すべてはご自身の行動の結果ですよ。」


村上は少し照れくさそうに笑いながら、カップを置いた。


「そうですね。では、次回のセッションでは、講演の具体的な構成について話し合いましょう。それまでに、話す内容を整理しておきます。」


「楽しみにしています。」


美月は微笑みながら、ノートを閉じた。


「村上さんの新しいキャリアが、いよいよ動き出しますね。」


村上は、力強く頷いた。


「はい。ようやく、次のステージに進めそうです。」


こうして、村上は講演活動を軸にした新たなキャリアを築くため、具体的な準備を始めることになった。

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