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プライベートカウンセラー  作者: Ohtori
第6章「ベテラン医師・佐伯和彦(50歳)」
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第5話「新しいキャリアの形」

都心のホテルラウンジ。夜景が美しく広がる窓際の席で、香坂美月は静かにコーヒーカップを手に取った。向かいに座る佐伯和彦は、どこか穏やかな表情を浮かべながら、コーヒーを一口飲んだ。


「さて、佐伯さん。今回でカウンセリングも一区切りですね。」


「そうですね。こうして美月さんとお話しするのも、今回が最後かと思うと少し寂しい気もします。」


「でも、佐伯さんはもうご自身の道をしっかりと見つけられています。今回のカウンセリングを通して、どんな変化を感じましたか?」


佐伯はカップを置き、少し考えるように視線を落とした。


「最初は、自分が何をすべきか分からず、ただ漠然と迷っていました。でも、話していくうちに、教育という新しいステージが見えてきた。そして、それは決して『医師としての終わり』ではなく、『新たなキャリアの始まり』なのだと気づきました。」


「それは素晴らしい変化ですね。」


「ええ。実際、病院での勉強会を重ねることで、自分が若手医師たちに何を伝えられるのかが少しずつ分かってきました。さらに、大学病院の非常勤講師の話も具体的に進み、来年度から正式に講義を担当することになりました。」


「おめでとうございます!それは大きな一歩ですね。」


「ありがとうございます。こうして話してきたおかげで、自分の経験がまだ十分に活かせることを実感できました。」


美月は静かに頷いた後、テーブルの上に封筒を差し出した。


「では、最後にカウンセリングの領収書です。今回のセッションの総額をご確認ください。」


佐伯は封筒を開き、中の明細を確認した。


カウンセリング料金明細

・第1回(3時間):30,000円

・第2回(3時間):30,000円

・第3回(4時間):40,000円

・第4回(4時間):40,000円

・第5回(3時間):30,000円

合計:170,000円


佐伯は封筒をしまいながら、少し苦笑した。


「正直、最初は『若いカウンセラーに悩みを打ち明けるのは少し恥ずかしいな』と思っていたんです。」


美月は驚いたように目を丸くした。


「えっ、それは意外ですね。」


「でも、話しているうちに、そんなことは関係ないと分かりました。むしろ、年齢に関係なく、しっかりとした視点で導いてくれることに感謝しています。」


「そう言っていただけるのは嬉しいですね。」


佐伯は少し照れくさそうに笑いながら、冗談めかして言った。


「もし私が15歳若ければ、美月さんを口説いていたかもしれませんよ。」


美月は一瞬驚いたような表情を浮かべたが、すぐに微笑んだ。


「それ、セクハラですよ?」


佐伯は一瞬戸惑ったが、美月の軽やかな笑顔を見て、肩をすくめた。


「いやいや、これは最大級のリスペクトを込めた言葉ですよ。」


「ふふっ、まあ、そういうことにしておきますね。」


美月は楽しげに笑いながら、カップを置いた。


「でも、男性から若く見られるのは、やっぱり嬉しいものですね。せっかくなので、お鮨でもご馳走になっちゃいましょうかねー。」


佐伯は大きく笑いながら頷いた。


「それくらいなら、ぜひお付き合いしますよ。今度、美味しいお店にご案内します。」


「楽しみにしています。」


二人は微笑みを交わしながら、カウンセリングの締めくくりとして、互いの新たな道を祝福するように、静かにグラスを傾けた。


こうして、佐伯のカウンセリングは終わりを迎えたが、彼の新しいキャリアの道はこれから始まるのだった。

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