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第12話 その8

 アルカナサバイバル――闘神祭――


 この名目は各地に盛大に広められ、一時エチゴ国は他のどの国よりも盛大に盛り上がる事となった。


 参加人数が多いために、どうしてもふるい落としが必要になり、それを選別ランキング戦という形でほぼ1ヶ月もかけて行う事となる。


 その裏では、ノームの力を不正に使用している者の摘発が意図であり、それを取り締まる役柄として俺は猛威を振るっていた……仕掛ける方が有利、という理論を元に。


 仕掛けは簡単であった。


 シナノの街からも応援を頼み、まず確捕された悪徳サマナーや冒険者達の護送を行う。そうして集まった囚人たち。これを無期懲役から有期懲役に切り替える代わりに協力を要請する。


 と言っても、有期刑になっただけで助かる訳もないのだが。


 それでも、全く先のない囚人にとってこれは有益な取引になる。これによって囚人はただの囚人から密告者に変わるのだ。報酬は、ひとり見つける事で刑期を1年減らすというもの。


「こういう事を考えさせたら……本当に怖いものなしというか、容赦ないですよねぇ、リョウタさんは」というエリシェの表情には何かゆとりが感じられた。それは、俺がエリシェに見せる表情の裏返しなんだと思う。エリシェの顔を見ると、なんだか気が緩んじゃうんだよね。


「そんな事ないって、実際、あの女王様があそこまでの覚悟をしてくれているから出来る作戦なんだしさ」


 この刑期を減らすという方法だけでは嘘をついてでも刑期を減らしたい人間が出てくる。なにしろ、最初に設定された有期刑の執行期間というのが150年というベラボーな数字。


 普通に暮らしたらどんなに頑張っても寿命で死ぬほうが早いのだから。


 ここはアメとムチの使いどころである。本当に悪人の横の繋がりを見つけられた者に対しては1年ずつ減らし、嘘をついていたと分かったものに関しては無期懲役に逆戻り。


 これをひとり、思いっきり無様な形でご退場願った訳だが……この姿勢が、本気で殲滅を図っているという姿勢が囚人達にも伝わったのだろう。そして、ここまでが計算通りで、計算外があったとすれば、それは収容施設がパンクしてしまうというアクシデントがあった事くらいだ。


 もちろん途中から囚人となり、密告する者も増えて行くのだが、それでも尚囚人達の協力を得る事が出来たのはもうひとつ、刑を有期に出来た者たちへの今後の方針についてを明らかにする事で回避出来た。これはつまり国の為に役に立てれば刑期を減らす事が出来るというモノ。囚人達にも未来を与えてやるという事になる。


 まさに芋ずる式、囚人が密告者へと次々に変わっていき、裁かれる。


 エチゴ国の外から、相当な数の冒険者、サマナー、武芸者達が集まり、純粋にランキングを競う目的で集まった者たちは、それはそれで賑やかに街を騒がした。


 こうして、悪人が入り込む割合が少なくなり闘神祭への注目はますます盛り上がり、無法者の排除と大会の盛り上げに成功したのだ。


「これからは大会当日ですね……」


「うん、これでジパンヌじゅうの悪党はあらかた片付けられたと思うよ」


「女王様の為にも……頑張ってください」


「そいえば、女王様の事は本当にずっと良い人間だと言い張ってたよね、王政に問題があるって言ってた時も」


 これはまだ旅に出る前の話だ。俺が王政に問題があると言い出した時のエリシェの異常なまでの反応……。


 マキナさんに出会って、その家が壊されていて……という事件の中、あの日は朝から城の中に乗り込みサマナーと兵士の編成にするという名目で、王政に口出ししようと俺が持ちかけたんだ。だが、エリシェの猛反対をくらう。


「女王様に、そんな支援金なんて!! そんなもの受け取ってる訳ないです!!」


 リョウタ

「いやでも、おかしいのはおかしいんだよ、こんな治安を放っておくなんてさ」


 マキナ

「私はウチが壊れちゃうので……どうにも、問題を解決して欲しいのですけども……」


 エリシェ

「でも、納得行きません!! 私は……女王様あのひとにどれだけ救われたか……貴族の位を与えて貰って、その事で他の貴族からよく思われない事をどれだけ助けて頂いたか……!!」


 リョウタ

「うん、分かったよ、エリシェがそう言うんだから黒幕は女王様じゃないんだろう」


 エリシェ

「でも、……え? どういう事ですか?」


 リョウタ

「うーん……、なんて言うのかな、王政に問題はあるけれど女王様が悪い訳じゃない、これは理屈抜きにエリシェを信じる」


 エリシェ

「……はい?」


 リョウタ

「要するに、その中間で話が止まってるかも知れないって事だよね……?」


 マキナ

「はあ、なるほど……」


 リョウタ

「誰が黒幕なのか、あぶり出してやろうじゃない」


 エリシェ

「私、すみません……感情的になってしまって……」


 リョウタ

「エリシェにここまで言わせるんだから、女王様は常識に長けている、そして事態の理解力もあるし、権力も持ち備えている……この条件の上で作戦を立てるよ?」


 あの時も、女王様に対しての恩を重視していて、女王様の人望を信頼していて。


 エリシェは変わらないんだよな……人への信頼という大切な部分が。


 俺はエリシェのそんな部分を見習いたい――――彼女を尊敬しているんだ。





 ――第12話 終わり 次話に続きます――


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