第12話 その6
あれ、この雰囲気は……? エリシェの言う「ホッとしました」とは……? 俺はこれをどう捉えたら良いんだ。言葉通りなのか? 俺と居ると……それを望んでいるの?
「エリシェ、俺は……優先すべきはエリシェなんだからね、そんな事はいつも言ってるような気がしてたけど、やっぱり伝わってなかったのかな」
「私は……リョウタさんと契約出来て本当に嬉しかったんです」
「それは俺もだよ」
「でも、私にはどうしても……引っかかっている事がありました」
「それは……何かな? 俺の悪い所があったらなんでも言ってよ! その、直すように努力するからさ」
「いえ、リョウタさんはそのまま……そのままがいいんです」
「あ、はは、なんだか照れるな……」
「私はずっと、リョウタさんと居たい……です」
えっと……これは、本当にモテ期到来のお知らせですか? とは言え学習している。思わせぶりなこと言いつつも、いつも友達止まりという俺。このくらいで俺の今までの経験は覆らない。
「そうは言ってもさ、俺はエリシェを口説くの絶対ダメとか、最初に言われてるんだよ?」
「そんな事言いましたっけ……そう言えば召喚したばかりの頃は確かに警戒してました」
「警戒? まあ、その、俺も軽い感じだったもんね」
「いえ、まあ、そうなんですけど……でも、私はあの時思ったのはイワンの事だったんです」
「イワン……? って、あれか、エリシェに酷い事した奴だな」
「はい、私の事、とにかく軽く口説いてるような素振りで……それが私だけじゃなくて他の人にも同じような事を言ってて……」
「なるほどねぇ……それと被っちゃったんだ?」
「はい……でも! リョウタさんは全然違うのは、もう分かりました」
「えっと……? つまりその……軽いように見えてもエリシェ一筋だってのは理解して貰えたのかな(笑)」
「なんでそこで笑うんですか! ……真面目に話してるのに」
「ああ、ごめんね? だけど、その、こっちもなんだか安心しちゃってさ」
「安心?」
「うん、エリシェと居ると安心するんだよ」
「……私もですよ」
これってさ、本当に上手く行ってると見て間違いないんだよな? まだ疑り深い俺。
「その、これって、今、結構大事な話をしてるよね?」
「はい……その、大事な話ですよね」
あれぇ? いつの間にルートが開通してたんだ?! しかもエンディングが近い?!
「エリシェ……その、俺で良いの?」
「……はい」
いつの間に?! いつなんだ?! 開通したのは?!
「俺ってその……なんか鈍感なのかね、全然気付かなかったんだけど……」
「それは……仕方ないですよ、女王様からの手紙を見て、リョウタさんがもし優勝してしまったら……って思った時に、私も気が付いたんですから」
「ついさっき、って事なの……?」
「……なんだか恥ずかしくなって来ました……」
それから、しばらく沈黙の中で今の会話を整理していた。今、どう聞いても好き嫌いの話だったよね? 間違いないよね?
……いや、そうじゃない。
そうじゃないんだよ!!
好きとか嫌いとか、そりゃああるだろうけど、でも絶対に自分の気持ちはブレない。この気持ちをストレートに見せ続けること。これが大事なんじゃないか?
「俺さ、これからもっとエリシェの事、好きになっちゃうけど……良い?」
「……はい」
こんな馬車の中で、移動中に、こんな大事な話しちゃうなんて。俺は……もっとデートっぽい事してからが普通だろうに、何故今ここなんだ……。
でも、どんないい訳じみた言葉が浮かんで来ても、何故か全く動じない。
それに、何にも喋らないで2人で居るだけで何かが満たされるような気持ちになった。
……これって、どっちが告白した事になるんだろう?
些細なことだよね。今となっては。




