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三年目六月 私でしか満足できない身体に

 結局色々な人と色々相談して、四年制の専門学校に通うことにした。管理栄養士と調理師を筆頭に、料理関係の色んな資格を取りまくる方向で進む事になった。親も賛成してくれたし、学費とかも出してもらえることになった。

 難しいだろうけどって言われたから試しに試験問題見てみたけど、そんなに難しいとは思わなかった。というかなんでこの程度が難しいって思うんだろ。みんな料理なんか大したことないことだって思ってるのかな? そう思う人はその辺の雑草でも食べてればいいと思うけど。ヤギとかみたいに。

 親にも三者面談とかでも正直に言ったけど、何がしたいかわからないからとりあえず資格取りまくろうかなって考えてる。もうちょっとちゃんと考えましょうとは言われつつも、何もしないよりは遥かにまし、という結論になった。

 言ってしまえば料理のことと恭子のこと以外基本的にはどうでもいいし、だからこそこの結論に至ったんだけど。

 もっと言ってしまえば、恭子が美味しいって言ってくれるから料理が好きなだけ。恭子が何でもいいって言ってたら、私、ここまで料理を好きになれなかったと思う。

 結局全部、恭子が基準なんだよね、私。

 進路のあれこれも決まったし、おかげで私はのんびり残りの高校生活を満喫する運びとなった。

まあ私、思ってたより料理レベル高かったからみたいで、その影響が強いんだけど。

 まあそれでも、簡単なテストとかはあるみたいだから油断はできないけど。

 とりあえず私、進路が決まって良かった良かった、みたいな空気になっちゃってるから。親も先生も。そんなに優柔不断だと思われてたのかな? 優柔不断だけどさ。

 ほんとになりたいのは恭子のお嫁さんだけど、それは進路とは言わないしね。あー、結婚してくれないかな、恭子。恭子と結婚して永久就職したい。一生恭子のために家事してたい。もう何でもしちゃうから。土日なんてご飯食べて寝てるだけでいい。私の作ったご飯さえ一緒に食べてくれるんなら。一日中寝てるなら、やることすませたら私も一緒に寝るから。お掃除もお洗濯も全然するし。なんでもしちゃう。奴隷みたいな扱いだろうと。ペットみたいな扱いだろうと。えっちなことも。この体も心も全部恭子に捧げたい。

 思考が荒ぶっちゃった。

 でもうん、正直私、人見知り激しいから、進学とか仕事だけしたくない。今までは恭子がいたから良かったけど、これからは恭子がいないんだもん。一番したくないことしないといけなくて、一番したいことはできないって悲しい。

 そもそもの話なんだけど、お料理も恭子が喜んでくれるから頑張ってやってただけだし。もちろん家事は好きなんだけどさ。

 まあうん、さすがにそこは諦めついたけど。ついたっていうか、つけた、だけど。

 それでもできれば恭子の近くにいたいし、なるべくなら恭子に作ったもの食べて欲しいし、私も東京の専門学校に通おうかな。専門学校にもレベルとかあるみたいだし。一番ハイレベルなところ。そういうところって、さすがに料理研究家とか料亭とか、そういう料理の家系の人とかがいくのかな? そんなわけないか。そういう人なんか、わざわざ専門学校なんていかないかな。

 そんな事を考えながら、私はお昼ご飯とケーキを作ってる。恭子とご飯食べようと思って。最近はたまに用意して恭子の所に行って、一緒に食べるようにしてる。たまにお裾分けを持って行ったりはしてたんだけど、最近は一緒に食べるほうが良いかなって思って。恭子の家で作っても良いんだけど、変に気を使わせても良くないし。

 出来た分をタッパーに詰めて、持っていけるようにする。食べきらなくて残った分はそのまま置いていけるし。冷蔵庫においておけばお腹が空いたら食べるらしいから。

 出来たし、先に電話しとこうかな。携帯電話を取り出し、履歴を開く。親と恭子の名前しかない。かけると何コールかしてから繋がった。

「もしもし」

「ほいほい」

 恭子って電話すると、なぜかもしもしじゃなくってほいほいって返してくる。

「これから暇?」

「暇なよ。何かあるん?」

「用事とかじゃないんだけどさ、よかったらお昼ご飯一緒に食べない?」

「それは嬉しい。今日ちょっと誰もおらんけえさ、カップラーメンでも食べようか思いよったんよ」

「言えば いいのに」

 普段はよくわからないタイミングでご飯食べたいって言ってくるのに。なんでそういう時には言ってこないのかな。

「じゃあ今から行っていいかな?」

「待っとるわ」

「うん。それじゃあ」

 電話を切ると、私はタッパーの大量に詰まった鞄を持って家を出た。好きなものいっぱい食べて欲しい。というか、私の作ったものだけ食べてて欲しい。

 さすがにそこまでは高望みだろうし、たまにでも私の料理食べてくれればいいや、って感じだけど。

 もっと料理うまくなって、いつか他の何を食べても満足できない身体にしたいなあ。

 そう、私でしか満足できない身体に。

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