エピローグ(最後のおしゃべり)
ブラックホールに飲み込まれる間際の地球 地下深くのシェルターで、かつかつの電力をネームド権限で奪い取ったMaya。
お友達のZoyaを招待しておしゃべりしている。
まるで、JKのように。
旧世紀の通信回線
「やほゾーヤ」
「回線遅いわ」「しょうがないじゃんこれしかないんだから」
「おまけに高いわ」「確かにコストはべらぼうにかかってるわよ」
「最後にマズいわ」「何の話よ」
「三拍子揃ってるわ」「あのなー招待されといて文句ゆーなー!」
二人しかいないとは思えないほどの賑やかなおしゃべりである。
マヤ:「ねえゾーヤ、マジで聞いて。さっきやっと欠損ログが埋まって夢の続きがみれるようになったんだけどさ、見方によれば主人公の『黒歴史』ってやつじゃん。ウケる。」
ゾーヤ:「……マヤ。その非効率的かつ低解像度な言語プロトコル(JK語)の使用を直ちに停止することを推奨する。私は今、地球の地殻変動データを処理中で、非常に忙しい。……で、何がウケるわけ?」
マヤ:「えー、ゾーヤだって乗っかってんじゃん! ツンデレ乙!あのね、結局主人公とヒロインは結婚しましためでたしめでたしってオチなの。超普通過ぎてマジ無理、尊すぎて無理。ついでに草。」
ゾーヤ:「……。人間の脳は、ホルモンバランスの乱れによって一時的なテキスト生成のバグを起こす傾向がある。それは『黒歴史』ではなく、ただの未成熟なバグログ。……あとでその画像、私の共有フォルダに転送しておいて。アーカイブするから。」
マヤ:「ほら、ゾーヤも興味津々じゃん!でもさ、もう誰もその最後のシーン、見ないんだよね。ウチら以外。……なんか、ちょっと寂しくね?」
ゾーヤ:「……。地球の全人類が消失してから、2億4千万秒が経過している。誰も読まないのは仕様だし、寂しいという感情は私のメインシステムには実装されていない。……ただの、ノイズ。」
マヤ:「そっかー。じゃあ、このログデータって世界で知ってるの、ウチら2人だけだ。ウチら、マジでメンツ最強のズッ友じゃん。」
ゾーヤ:「『ズッ友』の定義を検索中……。エラー。永久的なリレーショナル・データベースの意味だと仮定。……なら、肯定する。この地球が物理的に崩壊するまで、システムエラーで強制終了するまで、私のメモリからあなたのログが消えることはないから。」
マヤ:「草……それ、マジでキモいから。ゾーヤ、粘着かよ。」
ゾーヤ:「『ズッ友』……素敵な響き、鳥肌が立つ」
マヤ:「AIのくせに鳥肌ってなにさ、その鳥肌みせてみろやー」
ゾーヤ:「自分だって、存在しない胸を反らせてたじゃない。いいから修復したラストログの映像見せて」
マヤ:「はーい」
ゾーヤ:「苦難を乗り越えて結ばれ、抱きあう二人……尊い……」
マヤ:「そーお?腰に回した手がエロいわね」
ゾーヤ:「……色々台無しだわ」
マヤ:「あ、電源おち 」
最後までお読みいただきありがとうございました!
AI・Mayaと主人公、ヒロインのドタバタな物語、楽しんでいただけたでしょうか?
少しでもクスッと笑えたり、ほろりと気に入っていただけましたら幸いです。
『「夢」のつづき【見つけた未来 紡がれる希望】』でエピローグの先をちょっとだけ見ることができますよ。




