表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔石使いのS.Q.L.~Javaで学ぶ魔法入門外伝~  作者: つむらてんほ
飛翔の章
22/37

第二十二話

 本来、ギルドマスター宛の手紙――――しかも魔封付き――――など、数か月に一通あるかというレアな事態であり、大騒ぎになってもおかしくない。

 現にハンナから手紙を見せられた受付リーダーは驚愕の表情を浮かべていた。

 ただ、ハンナは新人であり、研修で優先度高の事項として習ったものの、どれだけ珍しいことなのか知らなかったため、むしろ周りの過剰な反応に逆に驚いたのだが、幸いなことにポートを「当たり」と思うほどに擦れてはいなかったため、そのままギルド業務へと入り、ポートを呼び戻すような真似はしなかった。


 若葉亭は百人以上を接客できる巨大な酒場だが、ドルスの巨体はその中でも目立つため、ポートはすぐに見つけることができた。

 喧騒の中を縫うようにして近づいたポートはドルスに促されてテーブルへ席をついた。


 「お疲れー」


 三人はまずエールで乾杯するとそれを飲む。

 ドルスはごくごく、ミーシャは一口だけ、ポートはちびちびと、飲み方は三種三様である。

 若葉亭は特に何も言わない限り、席に着いた途端に最初の一杯目のエールが置かれる。

 太っ腹なことに、この一杯目のエールは無料である。

 二杯目からはテーブルの上にエールの代金、小金貨を一枚置けば、それと交換でエールが運ばれる。

 では何度も酒場に入り直せば無料で幾らでも飲めるのかというと、そこはよくしたもので、最初の一杯は身に着けたギルドカードに記録されるため、不正はできないし、ギルドカードを持たない者は入り口で摘み出される。

 ギルドカードを作ってから待ち合わせたのはそういう理由もあった。


「さて、これからの予定だが、まずは宿を取らないといかんな」

「うちらが普段使ってる宿屋と同じでよければ紹介するけど」

「ドルスさんとミーシャさんは一緒に泊まっているんですか」

「まさか、そんな恐ろしいことできるかっ」

「どういう意味よ!」

「そのまんまの意味だ!」


 二人が言い争うのをおろおろと見ているポート。

 と、通りがかった冒険者が二人に声をかけた。


「また夫婦漫才やってんのか」

「誰が夫婦」「だ!「よ!」」


 見事にハモる二人であった。


「とにかく、狭いけど一人部屋で安心できる宿屋の中では最安値なのよ、三日月亭は」

「メシマズだから外で飯食ったほうがいいが」

「そうなのよね、あそこ、メシマズじゃなければ最高なのに」

「じゃあ、そこに泊まることにします」

「部屋は空いてると思うけど、空いてなかったらお姉さんと一緒に寝る?」


 ミーシャはそういうとわざと胸元をポートに見せてからかったのだが


「あ、そうさせてもらえるなら、宿代は半分出します」


 と、頭を下げられてしまい、あーこの子には常識通用しないんだったと激しく後悔するのだった。


 幸いなことに三日月亭に空き部屋はあった。

 しかも、ミーシャの隣である。

 ポートは一週間分の宿賃を前払いし、そこに居を構えることとなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ