第二十一話
「それでは最初の依頼になりますが、本来はそれを達成するまではこちらでの受付になりますけど、紹介状がありましたので、初期依頼は省略されてランク2からの冒険者生活になります。東口のセンターでの受付になりますので、ご案内しますね。ご一緒にどうぞ」
これについては、事前にドルスからも伝えられていたこともあり、特に驚くこともなくポートは言われたとおりハンナの後についていく。
南口と東口はカウンター内でしかつながっていないため、二人は一度ギルドオフィスを出て外を歩いて東口へと向かった。
このとき、ポートはまだ渡していなかったものがあったことを思い出し、それを取り出すと、ハンナに話しかけた。
「あ、すみません、忘れてました。こちらの手紙をセフィリア・カーマインさんに渡して頂きたいのですが」
「え?ギルドマスター宛の手紙ですか?魔封付きの手紙でないとお受けできませんが…………魔封ありますね。お預かりして検査してからのお渡しになりますので数日かかりますが」
「あ、それで結構です」
ポートが渡した手紙がギルドマスターのセフィリアに届くには三日ほどかかることが予想された。
魔封とは、その名のとおり、魔法による封印のことである。
重要な手紙を届ける際に印璽の代わりに使用するが、その大きな特徴は、魔封が封じた本人を保証する点にある。
魔封は送り元の非公開魔式で封印を施す。
受け取った者は送り元の公開魔式で解呪することができれば、その送り先が保証される。
この原理からもわかるとおり、魔封は送り先が送り元の公開魔式を知っている必要があるため、お互いが公開魔式を知っている程度の知り合いであることが条件となる。
ギルドマスター宛の手紙は、この魔封が必須であった。
冒険者ギルドをよく思わない者が手紙に細工をしてギルドマスターの暗殺を企むことを防ぐためである。
もちろん、このような企みを行った組織はほとんどがギルドによって壊滅させられているのだが、たとえば罪を犯したために資格をはく奪された、成績が悪くて受付を解雇されたといった理由で個人が逆恨みして自暴自棄になって行動するケースはゼロではない。
そういったわけで、ギルドマスター宛の手紙というのは何種類かの検知魔法によって安全性を確認した上で魔封のチェックがなされるためどうしても時間がかかる。
このような状況では緊急時の対応ができないように見えるが、それはよくしたもので、国難のような大きな問題は専用の伝達士か使い魔によって連絡がなされ、優先的に処理される仕組みになっていた。
「それでは、たしかにお預かりしました。預かり証は出しましょうか」
「いいえ、大丈夫です」
「他になにかありますか。大丈夫ですね。では何かありましたらわたし、ハンナをお呼びくださいね。それでは良い冒険を!」
にっこりと笑って深々とお辞儀をすると、ハンナはギルドマスターの手紙を受付リーダーへと持って行った。




