第20話
「……全く、こんなに手間かけさせるなんてね」
ジャックはナイフを使って、女の身体を解体し始める。女の変色した柔らかい肌に研いだナイフを充てると、つぷ、と容易に刃先が食い込み、肌から溢れる血液が剥き出しの石の床に新しい赤色を拡げ、鉄の臭いが周囲に充満する。
鳩尾に差し込んだナイフを下腹部まで下げ、内臓を引き摺り出す。
「ええと、……ちょっと破裂しちゃってるなぁ……」
肝臓はもう駄目そうだった。半分程潰れて使い物にはならなかった。いや、まだ一応売れるので丁寧に剥がしておこう。胃は辛うじて大丈夫。先程中身はたっぷりと吐き出して貰ったので、胃液で傷む前に少し洗うだけだ。腸も少し傷んでいるが問題は無い。臭いの処理が面倒なので、洗浄は外で行おう。
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「……少し傷んじゃってるけど、まあまあ売れそうかな」
保存用の液体を入れた袋に、臓器ごと分けた内臓を詰めて端を結ぶ。それらを特殊な氷の入ったクーラーボックスに全て詰める。ついでで死んだ、名も知らぬ男も解体して、同様に詰め、蓋をした。
「……もう少し丁寧に扱ってたら、こっちも高く売れたか」
呟きながら、抜け殻になった女の両腕を外す。肉が傷んでいない男の方は、一先ず血抜きの為に両足を縛って逆さに吊っておいた。
筋繊維の流れに沿って、骨に刃を充てながら素早く肉を剥がし、剥がした肉は小分けにする。この肉達は、きっと何処かの店で調理されるか、野良犬の餌になる。
四肢が無くなり達磨になった女に、ジャックは薄い緑の薬品の入った試験管を見せる。
「これ、ちょっと高いからちゃんと元は取ってよね」
呟きつつ、ジャックは女の顔に丁寧に薬品を掛ける。それは、女の崩れた顔を綺麗に修復していく。薬品瓶全てを掛けた頃には、ふっくらした白い肌の、元のような幼さの残る可愛らしい顔に戻っていた。
「首は丁寧に扱わなきゃねぇ……。ん、あった」
道具を入れていた箱の中から、メスと糸鋸を取り出す。
女の顔はそこそこに顔が整っている方だったので、そういう愛好家が高く買ってくれると踏み、女の顔には敢えて薬品で治せる程度にしか手を加えなかった。メスで首の根本に切り込みを入れ、糸鋸で背骨を切り落とす。
「——うん。そのつもりで、よろしくね」
買い取り業者に連絡を入れ、通話を切る。今日の夕方には回収に来てくれるらしいので、門扉にまとめて置くために荷台に乗せ玄関を出た。




