表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Vogelscheuche  作者: 月乃宮 夜見
『自身』の在り処

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/39

第13話

「あ、そろそろ行かなきゃ」


 少し針の歪んだ掛け時計を見(掛け時計は家具では無いらしい)、アンジェラは立ち上がる。アンジェラがこの廃墟(ここ)まで来た理由は、ただの時間潰しだった。曰く、「そこら辺の店より良い()()を出してくれるから」。


「あれ、もう行くの?」


思ったより早い退出にジャックは思わず声を掛けた。


「引き留めてくれるの?珍しいわね」


赤い目を細めてアンジェラは笑う。


「でもごめんなさいね。どんなに素敵な(クソッタレな)ダーリン(案山子くん)の誘いでも、面白いネタ(私への注目度)と比べればゴミ同然よ」


「……うん、そうだねぇ」


彼女の中では承認欲求を満たす事が、何より最優先のようだ(勿論ジャックは知っているけれど)。


「色々取材の準備をしなきゃいけないの」


 だってそろそろスクープの宝庫(エルシャ祭り)の時期じゃないの、とアンジェラはまだ見ぬ視聴率の取れるネタ(注目度の糧)に想いを馳せる。


 それもそうか、とジャックは納得する。大量殺戮イベント(エルシャ祭り)は、マホドーラにあるイベントの中で特に盛り上がるネタだ。実のところ、エルシャ祭り以外にマホドーラで何か他のイベントがあるのかどうか、ジャックは知らない。


 さっと荷物をまとめ、「何かまた面白いことあったら聞かせてね」と、アンジェラは廃墟から去っていった。



×



「……『身体が腐り始めている』、ねぇ」


 ジャックは客人の居なくなったソファに座り、先程自身で吐いた言葉を呟く。


 ジャックは意識があった頃からずっと、クソッタレな案山子(この姿)だった。そして、独りだった。『両親』らしき存在は居なかったし、気が付いた時には、既に青年の大きさだった。


 何処からか転生させられたのかはもう覚えていなかったが、己の醜さに酷く狼狽えた記憶はあった。


「……(きっと、自分の容姿に大変自信があ(ナルシスト)ったか何かだったんだろうな)」


 ジャックは身体の向きを変え、ソファに横たわる。作り物の目蓋を閉じて『自身』について思考を巡らせることにした。しばらくは仕事も無いし、何もせずにただ考えるだけの時間があっても良い筈だ。


「……」


 ……そういえば、仕留め損ねた獲物の兎人(アバズレ女)が居た事を思い出した。まあ、どうせ何時でも殺れるので放置しよう。


 部屋が随分と静かになった。いつのまにか、(レイヴン)も廃墟から居なくなっていたようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ