09 剣術と魔力の強化
今日は剣術の稽古にディルクが付き合ってくれている
午前中は基本剣術の型の素振りをしている
ディルクが午前中空いている日は一緒に稽古している
ディルクは剣術だけでなく格闘術も達者で最近は組手なんかもやっている
といっても対格差がありすぎるためディルクはしゃがんで俺の攻撃を防御しているだけだ
たまに反撃されるが・・・
「いだぁーー!」
「ほらほら隙だらけだぞ」
「う~・・・」
俺の打ち込みを軽くいなされ、よろけたところにコツンと頭を叩かれる
コツンと可愛く表現してはいるが持っているのは木刀だ
結構痛い・・・
(なんか最近厳しくないか?)
魔法の技術が上がる度に剣の稽古がハードになっている気がする
(そういや昨日俺が無詠唱魔法使えるようになったことを嬉しそうにアリシアが話してたな・・・)
もちろん剣術も上達はしたい、だが五歳の子供なんだ
体ができてない現状どうしてもできる稽古に限度がある
その後もディルクに打ち込んでは時々反撃されるを繰り返した
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(やっぱ治癒魔法を早く覚えたい・・・)
頭にできたたんこぶをさすりながらアリシアのそばに避難する
「もう!こんなたんこぶができるほど叩いて!ルシオがおバカになったらどうするの!?」
「大丈夫だって、たんこぶくらい。な?ルシオ?」
「・・・・・」
「け、剣の稽古なんだから攻撃を受けることも覚えないと・・・ほら!最後の方はルシオだってちゃんと防御できてたじゃないか!な?ちゃんと上達してるってことだぞ?うん!」
「・・・・・」
「大丈夫?ルシオ、痛いの痛いの飛んでいけ~」
お?自分でさするよりアリシアにさすってもらった方が痛みが和らぐ気がする
母親って凄い!
「お母さんって治癒魔法使えるの?」
「母さん治癒魔法は使えないのごめんね~」
「そっか~・・・」
「治癒魔法なら自警団のグレースさんが使えるわよ」
「グレースさん・・・」
近いうちに教えてもらえるか頼んでみようかな
話している間もずっとアリシアが頭をさすってくれてかなり痛みがひいた
実質治癒魔法みたいなものだ
「ありがとう!もう痛くないよ」
「そう?ルシオは強い子ね!母さん嬉しい!」
そういって抱きしめられる
アリシアの肩越しにディルクを見るとへこんでいた
(ちょっと意地悪しすぎたかな?)
「ふふっ、別に怒ってないよお父さん」
「本当かっ!?ルシオ!」
「うん、剣の稽古だもん。怪我して強くなっていくんでしょ?剣ももっと強くなりたいし」
「ルシオ~~」
そう言ってディルクまで抱き着いてくる
実際ディルクに対して怒りなど全くない
稽古の時も的確に俺の弱点を攻めて知らせてくれる
考えるより実際に体験した方が上達も早い
非常に効率のいい稽古の仕方だと俺は思う
そして午後は魔法の稽古、いつもの稽古場にやってきた
今日からちょっと試してみたいことがあった
それは魔力総量を増やすという実験
今の俺はすぐ魔力切れになる
といっても五歳の子供にしては多い方かもしれない
すぐに魔力が切れるのは実験で魔法を連発しているからだ
現状は、バスケットボールくらいの大きさまで魔力を籠めたウォーターボールを13発打つと魔力切れでフラフラしてくる
魔力切れは貧血の感覚に少し似ているかな
肝心のどうやれば魔力総量が増えるのかだが
自分の体を風船に見立てて、内側から魔力で膨らますイメージだ
前に一度魔力が全快の状態で一度の魔法にどれだけ魔力を籠められるか実験したことがある
その準備運動の為に体内の魔力を振り絞ろうと踏ん張ってみたら自分の体を内側から押し広げるような感覚があった
それでこの方法を思いついた
もし風船のように、魔力を溜める器を大きくできるとしたら
アリシアの話だと魔力は食事や休息で回復できるらしい
空気中にも微量の魔力は漂っていて呼吸をするだけで魔力は徐々に回復していくそうだ
しかし人は自分に見合った魔力を超えると魔力過多になり体を壊す
なら器を大きくすればいい
この方法と別にもう一つ
他の人に魔力をもらって無理やり魔力過多の状態にするという荒療治も考えた
だがこちらは器が大きくなる前に体を壊すだろうしアリシアあたりが絶対反対するだろう
「さて、やってみるかな」
思いっきり魔力を振り絞り内側から圧をかけるイメージ
(お・・・前と同じ感覚・・・結構しんどいなこれ)
とりあえずできるだけ続けてみた
「ぶはっ、はぁ~・・・はあはあ」
全身がピリピリ?チリチリ?するような感覚がある
「これうまくいくのかな?まあいいや、とりあえず一か月くらい続けてみよう」
成長とともに魔力総量はあがるらしいができればさらに伸ばしたい
「ん!まあ何事もチャレンジだな、あくまで実験なわけだし」
とりあえずこれから一か月は魔法の稽古の最初にこの鍛錬をすることにしてみた