284 タイムリミット
ぼーっとしたような無表情の男と不敵に笑う老人の異様な戦いは続いていた
もうどれくらい戦ってきたのかわからない
だがグラシエールからの直接的な攻撃はまだ一度もない
魔法を反射してきたり等の間接的な攻撃は何度もあるが
グラシエール自身が俺に直接手を下すようなことはただの一度もない
直接俺を襲ってきたのは過去リアンの指輪を外した時のあの一度だけ
リアンの指輪を装備した状態ではただの一度もなかった
リアンの指輪を装備している者には触れられないのか
何か他に俺を攻撃できない条件があるのか
考えることを放棄した俺にはもうどうでもいいことだったし
グラシエールに触れることもできないのだからやはりそれを確かめる手段は無い
「本当に君には驚かされる、ここまで早く私の魔力を使いこなせるようになるとは」
(・・・・・・)
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Loadしますか?
►はい/いいえ
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「ほう、魔法も無意識下で使えるようになったのか。素晴らしい」
(・・・・・・)
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Loadしますか?
►はい/いいえ
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「見たまえ、君が少し手を振るうだけでこの塔が耐え切れない。軽く拳を振るだけでだ」
(・・・・・・)
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Loadしますか?
►はい/いいえ
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「君も十分に化け物だな」
(・・・・・・)
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Loadしますか?
►はい/いいえ
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「この力があれば世界など思うままだと思わないか?」
(・・・・・・)
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Loadしますか?
►はい/いいえ
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「おっと、今のは惜しかったな」
(・・・・・チッ)
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Loadしますか?
►はい/いいえ
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「いやあ実に楽しいなあ、君との戯れは。他の人間では戯れにもならない」
(・・・・・・)
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Loadしますか?
►はい/いいえ
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「私はね、人間は嫌いだ。だが君の事は気に入っている」
(・・・・・・)
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Loadしますか?
►はい/いいえ
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「そうだなあ、君の望む国一つくらいなら残してやってもいいだろう」
(・・・・・・・・・・・・・・)
「ふふふ」
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Loadしますか?
►はい/いいえ
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「君とは1300年前に出会いたかったよ」
(・・・・・・)
「私が壊れてしまう前に・・・そうすればまた違った道もあったのかもしれないな・・・」
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Loadしますか?
►はい/いいえ
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何度朝日を拝んだだろう
その度にやり直してはグラシエールと戦って
今では考えなくても体が動くようになっていた
考えなくても自然と攻撃魔法が使えるようになっていた
考えなくても強化魔法を使えるようになっていた
グラシエールを攻撃することは俺にとってごく自然な行為となっていた
拳を振るえばその風圧に耐えられず塔はいとも簡単に崩れてしまう
魔法を使えば山を削り
足を振れば大地を裂き
夜が明ける頃には大陸の形が変わってしまっているような
そんな人外同士の戦いが毎夜繰り返されていた
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そしてその瞬間は唐突に訪れることとなる
「そういえば君の元居た世界はどういう場所なんだい?」
(・・・・・・)
「もう誘導尋問もできないか。素晴らしい」
(・・・・・・)
「私の居た世界は君の居た世界と違って酷かったぞ?」
(・・・・・・)
「君とは元居た世界が違うのかそれとも国や時代が違うだけなのかは分からないが、ここと同じように人間は腐っていた」
(・・・・・・)
「いつの時代もどこの世界も、人間という物は同じだな」
(・・・・・・)
「もしもう一度生まれ変わることがあったとしても、私はまた世界を怨むだろう」
(・・・・・・)
「そうすれば次はもっと上手く世界を---」
(・・・・・・)
(・・・・・・)
(・・・・・・)
(・・・・・?)
気が付けば何も見えない真っ暗な場所に居た
月も星も見えない真っ暗な場所
何も存在しない真っ暗な場所
グラシエールとの戦いは続いていたはず
グラシエールの魔法に飲み込まれてしまったのか
こんな事は長い長いグラシエールとの戦いの中でも初めてだ
(・・・・・?)
やり直そうと思ってLoad画面を開こうとしたが開かない
(・・・・・?)
ずっと考えることを放棄していた反動か頭がまともに働かない
だが俺はこの場所を知っていた
何度か訪れたことのあるこの場所を知っている
そしてこの場所が何処なのかという答えを思い出せた頃
目の前に表示されている文字にようやく気付くことができた
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GAME OVER
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(・・・・・・あれ?)




