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ブルータワー   石田衣良

 最近ファンタジー小説に飢えているしんどうみずきです。

 小説家になろうサイト内には星の数ほどあるファンタジー小説ですが、プロの小説家が書いているハイクオリティーのものとなるとなかなか多くありません。

 個人的には宮部みゆきさんの『ブレイブ・ストーリー』なんかが好きですね。

 ファンタジーの世界観そのものに加えてきっちり人間を描けている。そんな作品が書けたら、いいなと思います。



 さてさてそんな私があらすじで選んでしまったのが今回の『ブルータワー』です。

 さっそく恒例のAmazonさんからあらすじを引用しましょう。



平凡な一人の男が、天を衝く塔を崩壊から救う。高さ2キロメートルの塔が幾多の危機を越え、雲を分け聳え続けるのだ。世界を救うのは、夢みる力!魂の冒険と愛の発見の物語。石田衣良の新たな挑戦―心ゆすぶられるヒューマン・ファンタジー。



 とのことです。

 もうちょっと補足説明すると、主人公は余命いくばくかの男性で、体を襲う激痛のため未来にタイムスリップしてしまいます。その未来は致死性の高いウイルスにまみれた空気に覆われており、人類はそれから逃げるため超巨大な塔を建設し、その中で暮らしています。

 しかし塔内部でも格差があり、塔に入れずウイルスに怯えながら暮らしている人々もいて……。

 というのがざっとしたあらすじです。

 世界観としてはバッチリですね。ファンタジーというよりはSFに近いような気もしますが、そのへんは境界も曖昧なので無視しましょう。面白けりゃいいんです。



 石田衣良といえば池袋IWGPなんかが有名ですね。

 平凡な表現をすれば、ざっくりとした文体で登場人物たちを活き活きと描写してくれます。素人のファンタジーに足りないものをぶっこんでくれる作家さんですね。

 個性的で憎めないキャラクターたちが織りなす会話の隅々から石田衣良らしさが感じられます。

 ファンでも、そうでなくても、一読の価値はあると思います。






ーーーーここからネタバレ有りーーーー











 残念ながら個人的に評価は今ひとつです。

 理由は、ファンタジーとしてのレベルが低かったから。

 予言を伏線として使うのはいいんですけど、理由付けを全てそれに頼ってしまうといけませんよね。なぜ主人公の意識は飛ばなくてはならなかったのか。なぜ主人公である必要性があるのか。

 できれば青の塔だけでなくほかの塔のことももっと描写して欲しかったです。

 そう……全体的に語られていないことが多すぎました。

 ある一つの世界をまるまる構築するためにはもっと文量が必要なのでしょう。そこが現実世界を舞台にした小説と大きく違うところです。

 苦労も大きいぶん、成功すれば読者をがっちり引き込める。

 その労力を惜しんではいい作品は作れないと思います。



 いいところもたくさんありました。

 ライブラリアンが人格を持つようになるところとか、女性の体を使って記憶するところとか、なかなかユニークな発想で私には到底思いつきそうにありません。

 石田衣良ならではの技ですね。




 今回は経験値が少なかったということで、次回があれば石田衣良さんのファンタジー小説に期待しています。

 もっとワクワクする世界を作って欲しいですね。

 それでは。

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