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ダンジョンネクスト~人類は適応する~  作者: ARCAIN
第1章:最果てへの道
1/9

001. 世界は残酷で理不尽で

現代ダンジョン配信もの読みたかったので、初心者ながら書いてみたら、なんか全然違った方向に行きました。

一人称や三人称視点の区別が苦手なので、温かい目で読んでいただけると幸いです。


現代にダンジョンができて50年あまり。


世はダンジョン時代である。魔学が科学の1分野として認められ、今や世界は魔学テクノロジーに溢れていた。魔学は横ばいだった科学技術に新たな方向性を与え、魔力をベースとした新しい製品を生み出していた。



★☆★☆★



ーピピピッピピピッ。


「はっ 朝!」


急いで、起き上がり、部屋をでる。


「ママ あさー!!」


「はーい ったく 朝から元気すぎ」


ママの返事を聞きながら、身支度を済ませる。


今日はついに、魔力適性検査の日だ。全国民は小学校1年のゴールデンウィークあとに受ける義務がある。今日は学校の体育館で、それが行われる予定なのだ。


「やっぱり戦う系だよなー いやでもぉ」


魔力適性検査では、魔力に対する適応度に加え、自分自身の能力適性いわゆるスキルを確認する。スキルは俗称であり、ファンタジー作品に出てくるような便利なものではないだが、どこからかそう言われるようになった。能力適性では、自分自身がどういったことに得意なのか、または才能があるのかを見る。自分の将来設計に大きく結びつくとして、子どもとその親にとって関心度が高いイベントであった。


もちろん人間なので、適性が増えたりすることもある。そのため、今回が第一回目であり、進学に合わせて検査を受ける機会がある。


「もう、まだ早いわ 今ごはん作るからね」


「はーい」


卓上についた端末をつける。


『~総理はこの事態に早急に対応する模様です。


次のニュースです。今年も全国魔力適正検査の日がやってきました。~』


「あっ 魔力適正検査!


ママは何が出たらうれしい~?」


「うーん 拓斗にはね~ う~ん うん 普通でいいわ」


「えーー 普通ってなんだよー かっこよくて強い方がいいだろー」


「そうねぇ~」


『今年は何人のS級適正者が出るのか楽しみですね。次は、こちらのニュースです~』


(かっこよくてつよくなって、僕がママを守るんだ)


拓斗には、パパがいない。ママはパパについて教えてくれなかったけど、パパを思い浮かべるママはなんか柔らかかった。


「はい、朝ごはん。ゆっくりたべてね」


「ママ ありがとー」


手早く朝ごはんを済ませて、ランドセルを背負う。


「ママ いってきますっ」


「気を付けてねー」


拓斗は走る。朝の風は、世界が拓斗を祝福しているかのように追い風だった。


(来たな 時代がっ!)



★☆★☆★








世界は残酷だ。人間は生まれながらにして、平等ではないし、不公平だ。


「魔力適正F、能力適正なし」


検査官が告げる。


拓斗は、音を拒否した。思考を拒否した。


「拓斗君、リングデバイスをこちらに」


拓斗は言われるままに、腕を差し出し、機器にセットし記録する。これで、保護者に連絡が行くはずだ。担任が声をかける。


「拓斗君、まだ小学生だから大丈夫。いまから成長していけばいい。ここからだ。」


「・・・うん・・・」


拓斗は案内されるまま、身を流れに任せた。


魔力適性F級。下から2番目であるが、最下級のG級は魔力拒否反応を示すダンジョン時代以前の人類基準であるため、専らこのF級が実質的な最下級であった。


ダンジョンへ行き、高い魔力濃度にさらされる事で、魔力適性を上げることは可能である。しかしながら、元の適正が低いため、魔力拒否反応が出る可能性も高くなる。魔力適性を後天的に上げることは、魔力適性が低いほど難しくなる。


(終わった。これじゃあママを守れない。)


拓斗の意識は依然として、暗い闇のなかにあった。具体的な自分の将来設計なんてなかったが、現実を突きつけられ、いや応なしに考えざるを得なかった。


(ママを守れない?そんな事があっていいのか)


反芻する。


(そんな事はあってならない)


自分に何を求めるのか。何が必要なのか。


(強くなるしかない。強くなるしかないんだ)




★☆★☆★


小学校6年生になった。


あの日から、拓斗は不必要にしゃべらなくなった。


拓斗はママに頼んで、色々習い事を付けてもらった。


時間やお金の都合もあり、3つに絞られた。対魔物武術。対人武術。塾。


対魔物武術は、冒険者から初心者冒険者に教える講習みたいなものであった。最近は、冒険者志望の子どもに対しても開かれており、ここに入れてもらえることになった。


対人武術は、昔ながらの道場に入門して教わることになった。結構有名な冒険者も輩出しているらしい。


塾は、ママの勧めだ。学力も強さだ。


ほかにもいろいろなことに挑戦した。裁縫。料理。キャンプ。植物・鉱物観察。ハイキング・登山。座禅。プログラミング。電子工作。魔工作。造形。陶芸。家庭菜園。天体観測。


どれも、極めるほど進めることはできなかったが、エッセンスをつかみ取るくらいには学んだ。


いつしか、ママとの時間は少なくなり、自分と向き合うことが増えていった。


拓斗には、自分が学んできたことに自信を覚えるとともに、自分の才能のなさに情けないと思っていた。自分と向き合う中で、自分が何をしたいのか、何をしなければいけないのか、だんだんと揺らいでいった。


道場の師範の言葉が繰り返し頭の中に響く。


「自分の芯を定めるのだ」


かつて、拓斗は誓ったはずだった。「ママを守る、強くなる」と。しかし、魔力適正の数値は依然として変わらない。それに、「ママを守る」といっても、何から守るのか。子供のころの戯言だったのか。


来年には、中学1年生となり、2回目の魔力適正検査が来る。その時に、これまでどれだけ才能を開花できたかが問われる。できることはやるしかない。だが、拓斗は不安だった。



★☆★☆★






世界は理不尽だ。どれだけ努力しようとも、神のサイコロの前には無力だ。


小学校6年1月。


その日、ママは帰ってこなかった。拓斗はおかしいなと思ったけど、とりあえず自分で夕飯を用意し、翌日の仕度をして寝た。


翌日、とりあえず、学校に行く。学校から帰ってきても、ママはいなかった。拓斗は、不思議に思った。自分がママのことを何も知らないことに。もちろん、好き嫌いは分かる。だが、どこで働いてるのか、そもそも働いてるのかすらわからない。家に帰ってくれば、ママはいたし、いないときは書置きがあった。


拓斗は迷った。110番?学校?連絡はどこにしたらいいのか。お金は?習い事は?


ーープルルルルップルルルルッ


卓上の端末に着信があった。拓斗はすかさず、受信をタップした。


「ママ?」


「もしもし?最城拓斗(さいじょうたくと)君ですか?」


「だれ?」


「すみません。こちらは、東京警察本部生活担当課多賀城一華です。お母さんのことこれからの生活についてお話があり、お電話差し上げました。」


「母になにかあったんですか?」


「拓斗君のお母さん、最城麗央さんは事故でお亡くなりになりました。お悔やみ申し上げます。」


「母は、母は死んだんですか?どこで、どうやって!?ママには会えますかっ!?」


「残念ながら、詳細をお話することはできません。」


「なんでっ!?何があったのっ!?」


「大変心苦しいのですが、今は何もお伝えすることができません。麗央さんは麗央さんの両親とは絶縁関係であるため、われわれ警察の生活担当課と児童相談所が連携して、拓斗君の生活の補助をいたします。」


「どういうことっ!?なんで、なんで・・・」


「明日、わたくし多賀城一華と児童相談所の方がお家を訪問します。明日、10時に伺います。明日は学校に行かずに、お家にいてください。」


「わかった、わかりました。」


「それでは、また明日。ちゃんとお家でまっててくださいね。失礼します。」


「はい・・・」


ーツーツー


電話が切れた。拓斗には、いままで培ってきたものがすべて崩れるような音がした。おぼつかない足で、ベッドにもぐりこみ、寝た。



★☆★☆★



その後、拓斗は対魔部管轄の児童養護施設で生活することとなった。


対魔部はダンジョン反省直後に作られた対魔物対策本部の通称である。その役割は主に、対魔物特殊調査および撃滅部隊である。その隊員育成のためにできたのがこの児童養護施設であった。


施設では、通常の義務教育に加え、ダンジョンに関する座学と実地訓練があった。これまで、拓斗は習い事で基礎を習っていたため、なじむのには容易だった。ただ、ダンジョンでの実地訓練では思う通りに動けなかった。魔力適正のせいである。


この児童養護施設では、将来対魔部訓練生としてエリートになる夢を持ってやってきた子もいて、全体の魔力適正の水準は高かった。拓斗は、実地訓練のときにかぎって、自分の低い能力がとても悔しかった。


施設で、中学生となり、2回目の魔力適正検査がやってきた。拓斗は、せめて能力検査だけでも適正値が上がることを望んだ。


施設の体育館で検査が行われる。検査はどこも一緒で、体育館内部に作られた個室で行われる。検査はリングデバイスに保存された経時データと魔力電磁反応分析器によって行われる。魔力電磁反応分析器は、カプセル内に人体を入れ、魔力と電磁気を照射、それに反応した信号を読み取り、これまでのビッグデータから個体差と魔力適正・能力適正を分解し類似点をAIにより出力するものだ。


「魔力適正E級。能力適正、武術、クラフト」


拓斗は、驚いた。あの絶望的な検査結果から能力が向上したのだ。


特に魔力適正が上がることは、ほとんどない。だがしかし、拓斗の魔力適正は向上していた。6年かけて。この6年間が無駄ではなかったのだ。


(ママ・・・ママはもういないけど、俺つよくなるよ)


このまま、成長していけば、必ず強くなれるはずだ。そのためには、もっと、修行をしなければならない。


拓斗は、志を新たにした。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

この物語は、拙作「対魔物対策本部~ダンジョン時代の幕開け~」の世界観と時代背景を共有しております。

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