宝石の秘密
ドラゴはかすかに眉根を寄せると、ふわりと白をまとう。
「琥珀っていう、樹脂が化石化した宝石があるんだけど…
フウライはどう思う?琥珀は宝石かしら?」
少し首を傾げ、白ドラゴはフウライに目を向ける。
「あっ、そうか。そうだね…。」
フウライは目を上に向け、一番上の姉が大切にしていた琥珀のネックレスを思い出した。
「琥珀には、虫が閉じ込められてることもあるんだよね!」
そして、人差し指を立て、琥珀に閉じ込められていたアリの知識を披露する。
「ふふ…そうね。その宝石も集める時にキノコの上に虫がいたら、
閉じ込められてたかもしれないわねぇ。」
白ドラゴはフウライが手の上で転がす緑の宝石に目線を移した。
「う…それは…!」
フウライは慌てて宝石を指で挟み、四方から虫を探したが、幸いそれは見つからなかった。
「ふふふ…。
さぁ、次を探しましょうか。」
白ドラゴはふうと安堵のため息を漏らすフウライに目を細め、次の宝石探しに誘う。
「よし!行こうか!」
フウライは一瞬砕けそうになった腰を立て直すと、元気よく立ち上がった。
「水と森…となったら次は岩場かしらねぇ。」
白ドラゴは少し遠くに見えるごつごつとした岩場に顔を向ける。
「岩の中にはないって言ってたけど…」
フウライは眉を下げつつ白ドラゴと岩場、交互に目線を移す。
「そうねぇ…中にはないかもしれないけど…
中には、ね。」
白ドラゴは面白そうに言うと、岩場に足を向けた。
「あ、もしかして思い出したとか!?」
フウライは食堂の話を思い出し、ぱぁっと顔を輝かせる。
「ふふ…まぁねぇ…。見つからないはずよねぇ…。」
――宝石だと言っているが、宝石ではないものがあるのだ。
白ドラゴはそんな話を先代がしていたのを思い出したのだ。
――人間のあさましさよ。
そんなことも言っていたのを思い出し、少しだけ苦い気持ちになったのだった。
「どうしたの?」
黙り込んだ白ドラゴを心配したらしいフウライが顔を覗き込む。
「大丈夫よ。ちょっと考えてただけ。あ、ほらこれ。」
岩場の奥、白ドラゴが指さした場所を、フウライは覗き込んだ。
そこには黄色い苔がびっしりと生えている。
「苔だね。黄色ってことは、黄色い宝石なのかな。」
フウライは何か違うところはないかと、苔を見ながら歩き回った。
「なんだか、間違い探しみたいねぇ。」
白ドラゴは楽しそうに体を反らす。
「ドラゴは答え、知ってるんじゃないのぉ?」
フウライは口をとがらせるが、白ドラゴは微笑むと赤をまとった。
「知ってはいるが、答えが欲しいのか?」
ドラゴはずい、とフウライに顔を近づける。
「うーん…。探してみる!」
フウライは少しうつむいて考えたが、すぐに力強くうなづいた。
教えてもらえば楽だが、自力で探したい気持ちが勝ったようだ。
「何か違いが…。んん?あっ、これ!」
しばらくうろうろしたり、立ち止まって首をかしげていたフウライが、岩の一部を指さし、輝かせた顔をドラゴに向ける。
そこには、丸くぽっかりと苔の生えていない岩肌が露出している。
「丸がきれいすぎるし、これじゃない?」
フウライは満足げにため息をつくと、体を反らせる。
「ふふ、いいだろう。」
ドラゴは控えめにフゥ、と火を当てる。
と、何もなかったはずのそこに、小さな黄色い塊がころり、と転げ出てきたのだった。




