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ドラゴとフウライ ― 旅の先にあるもの ―  作者: ナナマル
賢者編
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賢者との邂逅

宿の女将から聞いた、賢者の森へ続くらしい道を進む二人。


「賢者かぁ…

どんな人なんだろうね」


賢者についてはふわっとした情報しか知らないフウライが首をかしげる。


――賢者は何でも知っている


フウライの知識はそんなものだ。


「なんでも知ってるんだろう。」


ドラゴはしかつめらしく、だが木で鼻を括ったような言葉を返す。


「そのぐらいは僕だって知ってると思う…」


そうなった理由とか、そういうのが知りたいのに

などとブツブツつぶやくフウライは口をとがらせる。


「その知識を役立てたことがあるんだろう。

だから賢者と呼ばれる、というだけの話だ。」


知ってるだけでは賢者とは言えないからな

付け足すように言うと、何かを考えているように目線を落とす。


「まぁ、そっか…

すごい知識でだれかを助けてたってことだよね。」


目を輝かせてドラゴを見つめるが、ドラゴは目線を落としたままだ。

どうしたんだろう、と思う間もなくドラゴが勢いよく顔を上げる。

フウライもはじかれたように同じ方向に顔を向ける。

その先には年老いた、というよりももっと年を重ねた男性が視線を落としてゆっくり歩いてくるのが見えた。


「あ、け、賢者かな…」


フウライが胸を弾ませてドラゴを見る。

しかし次の瞬間、ふ、とドラゴが立ち止まった。

フウライは近づいてくる賢者らしき人物とドラゴと交互に目を移すが、ドラゴは微動だにしない。


賢者らしき人物は二人に気づいたのか、つい、と顔を上げる。

次の瞬間、目も口も丸くなるのが分かった。


「おぬし、どうやって…!?」


賢者らしき人物はドラゴを見つめ、後ずさる。


ドラゴはにやりと笑い


「どうやって、とはなんだ。

これに決まってるだろうが。」


フウライにつながった鎖をシャラシャラと振って見せる。


「あれを持てる者がいるとは…」


よほど驚いているのだろう、それ以上言葉が続かないようだった。


「ドラゴ、知ってるの?」


フウライがいぶかし気にドラゴを覗き込む。


「ああ、知っているとも。

この鎖をつないだのがあいつだ。」


ドラゴはカラカラと笑いながらさらに鎖を振る。


「ドラゴを封じた、ってやつ?

魔法使いじゃなかった?」


フウライは魔法使いと激しい戦いがあったという物語を思い出していた。


「うむ、魔法はもう使えなくてな…」


元大魔法使い、現賢者はすこし寂しそうにつぶやく。


「紫の…」


賢者が言いかけた瞬間、ドラゴは白をまとう。


「まぁいいじゃないの。」


白ドラゴは小さな手を振り、賢者の言葉を遮る。


「ど……」


賢者は出くわしたときより目と口を丸くし、白ドラゴを見つめる。


「あら、賢者でも知らないのねぇ。

ま、色変えがあってから白になれたのは我ぐらいだものね。」


胸を反らせ、自慢げにフウライに目を向ける。


「他のドラゴンはなれないの?」


ぱちぱちと拍手をしながら、疑問を口にするのはフウライだ。


「特別な条件があるのよ。」


更に胸を反らせるが


「でもそれは秘密よ。」


指を振りながら、賢者とフウライ二人を交互に見る。


「長く生きたつもりだったが、

まだこんなに知らないことがあるとは…。」


賢者は目じりを下げながら、顔を緩ませるのだった。


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