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高校生活は異世界人に囲まれて  作者: 出水 彰
第0.5章+10章 恐怖の猛毒蛇!! 深緑の公園に怪蛇ツチノコは実在した!!
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【0.5章 5話】 調査

「許可しよう。相山君がケイさんの保護者としての責任を引き受けてくれのならね」


 ユニットハウスの外で待機していた初老の警察官に、ケイのペットの猫が行方不明で混乱していること、ケイは謝罪したいと思っていること、その為に連絡先を教えてほしいと話すと、簡単に許可が出た。


「その責任というのは?」


「仮に被害者の方々に危害を加えたり、逃げ出したりした場合は相山君が相応の罰を受けてもらう。了承するのなら、ここから出してあげるよ」


 気分転換の為に家を出ただけなのに、クラスメイトの保護者役にまでさせられた。


 即座に初老の警察官の提案に頷きたいところであるが、保護対象はパーソナル情報の一切が不明なケイだ。

 怖いけど、俺が頷かなければ先に進めない。


「わかりました。了承します。ケイならその心配はないでしょう」


「なるほどね。相山君はケイさんのことを信頼しているのだね。良い委員長だ」


「そうですね……」


 信頼はしていないけどな。


 だけどケイはこれ以上の悪目立ちを避ける筈だから、突飛な行動には出ないだろう。

 

 100パーセント普通ではないケイは、自身の世界について頑なに隠している。だからケイは何もしない。何かをすれば隠すべき何かを、今度こそ公開しなければならなくなる。


「では相山君が所持している携帯電話の番号を教えてくれるかな」


「わかりました」と言って初老の警察官に自分の電話番号を教えると、すぐに知らない番号から電話がかかって来た。


「その番号は僕の電話番号だ。何かあればよろしくね」


「はい。すみませんが、名前を教えてもらっても良いですか? 登録名が警察官では味気ないので」


「そうか。僕はまだ名乗ってはいなかったね。【警察官】の【(さかき) 純一(じゅんいち)】だ」


 初老の警察官改め、榊は穏やかな表情を浮かべる。


 先程から何度も見せている表情である。相手に好印象を与えるものだ。だけど俺は知っている。その目の奥が笑っていないのを。同じ目をする人がクラスメイトにいるから分かる。

 

 本当に怖い。勘弁してくれ。


「は、はい」


「それと被害者の連絡先だったね。相山君は誰と連絡を取りたいと思っている?」


「コンビニ店員以外の全被害者です」


「前の2人に関しては電話番号を教えるけど、天坂さんはマネージャーの電話番号を教えてあげるよ」


 榊は携帯電話を操作し始める。その動きが止まると同時に俺の携帯電話にショートメールが届いた。差出人は榊で、メールには3人分の電話番号が記載されている。


「電話番号、届きました。ありがとうございます。それと出来たらでいいのですが、事件の現場を見せてもらうことは出来ますか?」


「構わないよ。付いて来てくれ」


 榊の後を追っている最中、雨井が小声で話しかけて来た。


「ケイさんとも合流できたみたいだし、僕はこの辺りで帰っても良いかな?」


 俺にケイと2人になれって言うのか。そんなもの、精神が死ぬ。絶対に逃がさない。


「ここで帰ったらきっと後悔する」


「しないと思うけど」


「いや、後悔する。何故なら後悔するという言葉はそれだけの重さがある。

 寝る前に今日何があったかと考えた時に、その言葉を思い出す。本当に自分は後悔をしていないのだろうかとね。眠れなくなっても知らないぞ」


「フフ、相山君が何を言っているの? ちょっと良くわからないな」


「それに警察の許可を得て動けるなんて珍しい体験、逃すのか?」


「仕方が無いな。相山君の口車に乗せられてあげるよ。僕にも気になることがあるしね」


「そうか」


 なんとかケイとの2人旅にならずに済んだ。


 そして雨井と話しているうちに、コンビニ店員の三島に話を聞いた場所まで帰って来た。

 

「まずは猫に驚いて頭を打った女性の話からしようか。

 女性の名前は【寳川(たからがわ) 紗友里(さゆり)】、職業は【キャバクラ嬢】だ。

 彼女の証言はこうだ。


 24時頃に退社。酔った頭を冷ます目的でこの公園に来た。

 公園を歩いていると丁度この辺りで、白いハートマークがある黒猫を目にする。


 撫でようと手を伸ばしたが、黒猫は歩き出してしまう。追いかけようとしたが、このぬかるんだ地面だ。ヒールを履いていた彼女は見事に転び、地面の岩に頭を強打して気を失った。

 それがあの場所だ」


 榊が指差した先は広場の上だ。そこには雑草が生えておらず、むき出しの地面が見える。地面には鉛筆ほどの太さの物でつけられた人型の跡があり、頭部付近に上部が赤黒い岩が置かれている。


「相山君が見ているあの岩が、寶川さんが頭を打ち付けた岩だ。

 次は寶川さんの発見者だ。彼の名前は【清水(しみず) 一郎(いちろう)】といい、化粧品メーカーの【営業】職に就いている。


 清水は仕事帰りに居酒屋で飲んでいた。

 24時ごろ、居酒屋が閉店時間となり清水は店を出る。


 これは居酒屋の店員の証言と、彼が持っていたレシートから確認が取れている。清水は店を出た後、多田篠公園を歩いていると銅像の顔が落ちているのを発見。

 

 そしてその顔を銅像に合わせようと、銅像の台座に登った時に倒れた女性を発見して通報した。その首の折れた銅像があれだ」


 榊の指の先には顔のない銅像が立っている。その銅像は狭い台座の上で、裸体の女性が手を上げているという物だ。台座には『欲望』と書かれている。


「銅像には黒猫の毛と、動物の物と見られる唾液が付着していた。

 おそらく猫が銅像に登った際に銅像の首が折れてしまったのだろう。実は前からあの銅像の首にひびがあると、利用者から報告が入っていた。

 公園の管理者は銅像の処置に関して目下検討中だったらしい。そして最後はあそこだ」


 榊が1脚のベンチを指差した。そのベンチの左後ろには大きな木が立っているので、日中だが日陰になっている。


「アイドルグループ《アイラブ スターズアップ》内の3人組ユニット《プレヤード》所属の【アイドル】、【天坂(あまさか) 厚子(あつこ)】は、多田篠公園傍のイベントスペースにてライブに参加していた。


 彼女は自宅から蛙のぬいぐるみを持ってきていた。ぬいぐるみは楽屋に置いていたのだが、何者かに盗まれる。

 盗まれたぬいぐるみは、切り刻まれてあのベンチの上に置かれていた。

 そのぬいぐるみにも黒猫の毛と、動物の唾液が付着していた。


 以上から、コンビニ窃盗事件、キャバクラ嬢転倒事故、銅像の首を折る器物損壊事件、アイドルのぬいぐるみ窃盗事件は、同一の猫の起こした事件であると結論付けられた。

 

 納得してくれたかな?」


 榊の話が本当ならば全ての事件が繋がっているように見える。

 これだけ関連付けられる証拠が揃っているうえに、その黒猫の飼い主であるケイはだんまりを決め込んでいる。


 この事件の表面だけを見た人は黒猫が起こした事件だと処理をして、他の事件に目を向けるだろう。この事件に被害者はいるが原告はいない。

 赤の他人にとってはその程度の事件であるが、俺は不幸にも関係者となった。


 だからこそ、ケイの声を聞いて行動してやらないといけない。あのクラスの委員長としての、俺の役目だ。


「ありがとうございました。参考になりました。今後、何か聞きたいことがあった場合は榊さんに連絡しても構いませんか?」


「問題無いよ。ただし、全てを相山君に開示することはできない。僕たちにも守らなければならない一線があるからね」


 榊に一礼をすると、ケイの方を見る。


「行こうか」


 ケイは小さく頷いた。

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