四話
突然騎士が来たことにも吃驚したけど、それよりも話しの内容の方が意味が分からなかった。
予言?勇者?…はえ〜
暫く俺達はポカンとしていたが、一早く復帰したシスターが詳しく話を聞いてくれていた。
その時にはもう安全だと分かり、俺含めた子供達全員が元の部屋に戻って来ていた。
突然訪問してきた騎士の人、騎士団副団長のアルフレートさんが言うにはーー
『世界は大いなる災いに覆われる。それを救えるのは勇者のみ。勇者は齢六つになるときまで、力を封印され見つけることは叶わない。その時が来たらこの石が指し示す先へ行き彼の者を迎えに行くのだ。そして災いを払った後、災厄は幾度も勇者に選択を迫るだろう。』
という予言がこの国の建国初期からあって、途絶えることなく語り継がれているそうだ。
この国の歴史は大体二百年くらいなので、それだけの間を
失伝せずに伝えられていたとは、よほど大事な予言なのだろう。まあ、災いに巻き込まれるだろうって言われたら訝しみつつもつい備えるよね。占いの結果をちょっと意識しちゃうみたいな。
そして今日、先祖代々王家に受け継がれてきた不思議な宝石がとある方向へ光りを放ち出すもんだから王宮は上を下への大騒ぎ。
予言を信じず勇者を軽視する者。世界を覆うという災いに恐怖する者。勇者という存在に憧憬を抱く者。まだ見ぬ勇者へ想いを馳せる者。様々な思惑が絡み合うことになるのだった。
そして暫くして混乱が落ち着き、今度は「予言に従い勇者を迎えに行かなければ!」となり、誰を迎えに送るかで一悶着はあったものの、王や貴族からも信頼されて居るアルフレートさんが選ばれたのだった。
その後は、共を何人か連れたアルフレートさんが王から借り受けた宝石の光に導かれてこの孤児院までやって来たらしい。
そして今につながると。
正直よく分からないけどシスターが真面目な顔で聞いていたので、俺も「分かってますよ」という顔をしておいた。
内心は「勇者?もしかして俺か?異世界転生とか転移といえば勇者は王道だよなー。」とか考えてたりする。
そう言えばさっき「勇者を迎えに来た」って言ってたから誰が勇者か分かるのかな。
そう思ってたらシスターとの話が済んだのか、アルフレートさんは懐から紐を通されてネックレスになっている宝石を取り出した。
好奇心旺盛な子供達がその様子を「なんだろう」と見てると、その宝石が突然光り出しやがて収束し線となり、それが差す先には俺ーーの隣にいたレオンがいた。
それを確認したアルフレートさんはレオンの三歩分ほど間を開けた前までゆっくりと歩いて来て、片膝を床につけ頭を垂れた。
「勇者様、どうか我らと共に王城へお越し下さい。陛下がお待ちしております。」
そんな光景を見て「あっ、これなんか騎士っぽい」と場違いにも思ったのだった。
てか、レオン本当に勇者だったのかよおまえー。