「7話」 いや、父よ待て!
後半は説明が多いですかね? 何気今回は大きな節目な回ですね。
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……それにしてもエラい事に成ったと思う。
事の始まりは数時間前、俺が父に仕事へ行か無いでと、言って直ぐの事だった。
俺の命令の通り、再び家に帰ってきた父はヒマワリの様な笑顔でこう宣言した。
「引越しをしよう!」
世界が硬直したかと思ったね。
実際固まったのは俺と母だけだったが。グレイプは拍手してたな。可愛い奴め。
所で何故父が引越しを宣言したかと言うと、理由は……
「グレイプも産まれてそろそろ家も狭く感じたからね」
との事だ。
いやいや、確かに一部屋しか無いこの家は狭く感じるかもしれないけどさ? 落ち着け父よ、母が泣きそうに成って居る。
「でもお金は在るの? ……まさかこの家を売るんじゃ……?」
母の心配は最もだろう、父も言う狭いこの家に新しく家を買うお金が在るとは思えない。
それにこの家は父と母が二人で建てた家。手放したく無いのだろう。
「お金の事は心配要らないよ、ボクの前の貯えがまだ残ってるからね」
前の貯え……か、父が母と結婚する前。この村の自警団に入る前の財産の事だろうか?
その事に母は苦面した。
「で、でもそのお金は……!」
「大丈夫だよ。“街”の中流の家位なら買っても少しはお釣りが来るよ」
“街”……だと? 俺は司祭様に教えて貰った知識を引っ張り出した。うん、やっぱりそうだ。
“街”……学術都市ウリム。
王都とこの村を挟んだ中で一番大きい街だ。
この辺で街と言うと大抵此処を指すらしい。
ってか家を買ってもお釣りが来るって……父、何者?
「で、でも……」
「この家の事なら大丈夫。自警団の皆に頼むさ、それに……」
俺を一瞥した後に母に耳打ちする父。瞬間、青く成ったり赤く成ったりする母の顔。
おい、父。何を話してる。
「……わかったわ。それでも“街”までどうやって行くの?」
そうだ、司祭様の話だと“街”までは大人の足で2日経ると言う。
子供の俺たちがいたんじゃ尚更だ。
「その事も大丈夫。ボクだって馬車位あるし馬は借り馬を使えば良いよ」
借り馬とは何ぞや、まぁ響きからするも馬を借りるんだろうな。そのままだ。
「…………」
母はもう何も言わなかった。
なんで引越し先が“街”なのかは、二人だけの秘密なのだろう。うん。
☆
と、言う事が在り、今俺は馬車に揺られている。父の所有すると言う馬車は頑丈な作りで、窓が一つ在るだけで飾り気が無い。
けっこう重そうに見えるが馬もそれに見合う大きな馬だった。
……これ、普通の馬ですよね?魔物とか言う類じゃないですよね?
まぁ、そんなこんなで結構な時間馬車に揺られて、お尻が悲鳴を上げかけたころだ。
「ほら、ニア、グレイプみてごらん! 」
興奮した様な母の声に外を覗居て見ると……
そこには、沈みかける日に照らされた“街”の塔が見えた。
うわぁ~~
「きれ~~♪」
「うん……キレイ」
兄弟は、“街”に着くまで、ずっとその景色を見続けていた。
尻は痛かったけどな!
☆
結局、“街”に着いたのは東の方に星が見え始めた頃だった。
まぁ、完全に夜に成る前で良かった。
「ふぅ……!なんとか日が暮れる前に着けたね。後は宿を取るだけなんだけど……」
まぁ流石にこんな時間に家を買うなんてバカな奴は居無いだろう。良かった、父がバカじゃなくて。
今は“街”で17軒ある宿のロビー?だ。値段は下から2番目だが丁寧なサービスで人気なお店なんだとか。
父と母の新婚初夜は此処で過ごしたらしい。……在る意味俺の故郷ですね、わかります。
っと、チェックイン出来たらしい。ふぅ……やっと休める……。
ーー
ここで、“街”こと学術都市ウリムについて説明したいと思う。
ここ、ウリムは13の研究期間と1つの大きな学院が在る。
主に“魔”に研究したり、学んだりするらしく。王国にも不可欠な街らしい。
あ、因みに“魔”には大きく分けて2種類有って、一つが魔術。もう一つが魔法だ。
父の様に魔力によって身体能力を上げたりするのが魔術。
それに対して魔法とは魔力に属性を通す事で、起こり得ない奇跡を行う業だと言う。
魔力を持つ人間の八割は魔術使いで、魔法使いとかカナリ希少な存在なのだ。
時に崇拝されたり、時に恐れられる……ってか人間として扱われない。
それは普通の生き物でも同じらしく、魔力を持った動物や植物は魔物だ。
流れでマブツって言いたく成るがマモノだ。
やっぱり魔物とかいるんだぁ……。
所でこの国では名前の長さで地位の高さが決まるらしい。
言う所の……
個人名・洗礼名・魔法名・守護聖人名・家名 の五つで表される。
父の場合だと プラム・ヴァーミリオン・トゥインクル。
となる。因みに守護聖人名と家名が無い。
この場合だと父の地位の高さは全五等中の第三等。平民の中では高いが貴族では最低ランクだ。
俺が司祭様から聞いた歴史上最も長い名前を持つのは……
アシュツリー・ブラック・スパイラル=サークル・ゲオルギウス=セヴァスティヌス=クリフォロス・クァイエル=トルフォトリア=ミギリアル 。
読み飛ばしても誰も文句は言わない。
“・”は名前の区切り“=”は複数の繋ぎだ。
因みにアシュツリーさんはトリネコとは関係ない。
因みにこのアシュツリーさん、王国の三代目の国王で名前での階級制度を定めた本人だ。
階級は特5第五等。これが最高だ。
蛇足だが俺と同年代と言う王子殿下は特1第五等。魔力名が二つある。
なんでこんな説明を一々したかって⁈
その王子殿下がこの宿に泊まってるらしんだよ!ちくしょう!
父が何者か……それは作者もよくわからない!
次回はお引越しと王子様とかかな?