「62話」神と獣!
ドッキドキの急展開!
神格化……か……
俺は、天界の扉の最終段階を発現して思った。
頭上には3重の光の輪が鳴っている。
ヒトを捨て、神の力を得た俺……
既に、世界は黄金の朝日に照らされ、大地は温められていた。
恵の光は俺とリーフを包む。
俺はリーフに背を向けている状態なのでリーフの顔はわからないが、きっと笑っている。
俺の視線の先には獣が映っていた。
俺は、重たさを感じない14の翼を持ち上げた。
魔力とは違った別の何かの力が俺の体を浮かび上がらせる。
俺のつま先は今は大地からわずか30センチほど浮いているところだ。
光の子……
光から作られた、神々の担い手。
ヰノリの時か……
「リーフ……」
「なんだ?」
例え、完全に俺がヒトではなくなったとしても、それでもなお普通に接してくれる親友が頼もしい。
だから、俺は誰よりも信頼できる彼に、最も残酷な願い事をする。
「『教義』への、魔力供給を止めてくれ……」
時が止まった様に何者も音を発さなかった。
何もかもが、沈んだ様に……
……『教義』への、魔力供給の断絶……
それは、その魔力によって生きるゴーレムやホムンクルスの破壊を意味していた。
唯一の成功体……
俺は、今それを破壊する。
だから……リーフ、おまえは……
返事は無い。
しかし、その代わりに足音が聞こえる。
じゃぐり。
積もった灰を踏む音だ。
リーフは、『教義』へと歩を進めているのだろう。
ゴメン……
だから、おまえに応えるためにも俺は……
「よう、獣 ……」
俺は、翼を引きずる事もなく足を使わずにリベリヲンの元へと赴いた。
いまだに、獣はローレルと
闘う事に熱中しているらしく俺には見向きもしない。
愚かしいな。
「『動くな木偶の坊』」
瞬間、俺の言の葉の前に動きを止めるリベリヲン。
……絶対の命令権。ベウラの宴の力だ。
ローレルが驚いたようにこちらを見ている。
ははは……翼が生えた人間は君の記憶の中にはないだろうな。
なにせ、俺は運命には無い存在だからな。
俺が神の力で縛りをかけると、あっさりとリベリヲンは動かなくなった。
……なんだろう、胸騒ぎがする。
負傷した肩を抑えたまま、ポカンとこちらを眺めているローレル。
その後ろ……
遠くの方……!
っな……!!
「兄ちゃん!!」
ぐ…グレイプ……!!
いけない!今きたら!!
く……
「くるな‼」
何がいけなかったんだろう。
俺の集中力がきれたためか、呪縛から逃れるリベリヲン。
俺がこの世界に生まれた事だろうか?
その体はまるで黒い煙のようになって……まさに、伝承上の砂漠の悪霊……
俺が、グレイプと出会った事だろうか?
気づかぬ俺にユックリと、かつ迅速に迫っていた。
いや…………きっと。
気づいた時にはもう遅かった。
狡知の悪魔、リベリヲンは俺の体をその深き深淵の羽衣で包み込んだ。
そして…………
「兄ちゃーー………………」
俺の意識は、閉ざされた。




