「60話」 うんめい!
ヒトは生きる、
生きると成長する、
成長すると細胞が増える、
細胞は増えると、古いものは死んで行く、
そうやってヒトは生きる、
生きて、成長して、そして死んで行く。
世界は生きる、
生きると成長する、
成長すると細胞が増える、
細胞は増えると、古いものは死んで行く、
そうやって世界は生きる、
生きて、成長して、そして死んで行く。
ヒトも、世界も何もかも、
全てのものに制約がある。
食べなければ死んでしまう、
作らなければ、食べ物はない、
作るためには汗みずくにならなくてはいけない。
その最たるものが『“運命”』
時が流れ始めた時からソコにある“原初”の制限。
ヒトも、世界も、神さえも、
この制限には逆らえない。
運命の元に神がいる、
神の元に世界が在る、
そして、世界の元にヒトは存在している。
神も生きている。
生きているからには成長している。
成長しているからには最後には死ぬ。
死ぬけれど必ずソコに在った証は残る。
そうやって後世に伝わって行く。
だけど、運命は生きていない、
だから、運命は成長したりしない、
最初から制限としてそこに存在していた運命
運命は、運命 自身に縛られている。
だから、運命は完璧だった。
運命は乱れなかった。
神も、世界も、なにも知らないヒトビトも、安心していた。
だけど、運命に、起こるはずのないことが起きた。
神々の絶対のシナリオに乱れが起きた。
たった1つのヒトの魂がそれをおこした。
それが、最初の“申し子”
そして、自身に都合のいいように運命を再構築した。
それが、最初の“修正力”
運命は、最初に存在していた形から大きく姿を変えた。
一部の存在からは最早、制限ではなくなっていた。
だから、神々は恐れた。
いつか、運命から自分たちは消えてしまうのではないかと。
運命に名のないものは運命の中ではいけることが出来ない。
神々は完璧ではない。
完璧なものはタダ一つ、運命だけだった。
けれど、その運命も完璧ではなくなった。
だから、神々はおののいた。
運命が此の侭壊れるのを良しとしなかった。
だから、遂に自分たちで運命を動かそうとした。
けれど、無理だった。
運命が壊れた遠因は神々に在ったからだ。
幾つもの世界が運命から名前を消した。
だから、多くの世界の運命は乱れた。
細胞の乱れた世界はすぐにほろんだ。
世界がそれをおこした。望んだからだった。
運命の乱れた世界は生きてはいけなかった。
運命には逆らえないからだ。
運命から除名された者などは存在していない。
何故なら最初からなかったことになるから。
死ぬのではなく、壊れるのでもなく。
ただ、消える。
消えた痕跡も、そこに存在していた痕跡もなにも残さず。
最初から存在しなくなる。
時が流れ始めた時から、その存在はなくなる。
因果の世界の果てにもその魂は消え失せる。
最初から最後まで。
だから、世界は常に正常だった。
神々も、例え仲間の1柱が消えたとしても恐れなかった。
何故なら消えた物などいないから。
運命は、時が流れ始めた時からそこに在った。
運命は、時が流れ始めた時からその姿だった。
乱れることも無く、ただ、時間も空間も因果も関係なく、ただそこに在った。
運命は常に姿を変えるから。
変わり続ける姿のその先に何も存在してはいない。
だからこそ、神々は運命を畏れた。
そして、そんな事とは関係がない変化が、
とある世界の、とある次元の、とある宇宙の、とある銀河系の、とある惑星の、とある大陸の、とある国家の、とある片隅で…………
とある、些細な、なんの事もない、変化が起こった。
その世界に、1人の、神が生まれた。




