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「55話」 捻じ曲げたる物

トゥインクル♪


 後に、誰か、有名な詩人かなんかがこう残すことだろう。


 ーー“運命の夜”とーー


 その日の夜は穏やかだった。


 何よりも穏やかだった。


 月の登る夜は長い、例によって俺も、ただひとり部屋の中で暇を持て余していた。


 「暇だ……」


 月明かりに満ちる部屋の中で、俺はベットに寝転がりながらつぶやいた。


 うわぁ、布団気持ち~。


 いや、ゴメン。


 だってさ、この布団羽毛なんだぜ?  前世でもこんな高級品使った事ないわ。


 と、そんなら事はどうでもいいな。


 何よりも夜暇ならば眠れよ。

 と、俺も俺自身に言いに言いたい事なんだが……


 いや~なんかさ、Lv.6に成ってから全く眠たくなく成ったんだわ。


 え?  なんでかって?


 まぁ、おれも詳しいことはわからんけどさ。とにかく、どうやら俺は眠気を感じなく成った。


 うーん、食欲も最近感じないかも。


 そういえば確かに今日とか朝ごはんを食べなかったな。


 3時のおやつは欠かさず食ったけどな。


 だっておやつは村にいた頃からの習慣だ。今更欠かすわけにはいかない。


 お、俺は寝返りをうちかさながらそんなら事をくちのなかでつぶやいた。


 と、俺は一瞬目を閉じる。


 暗闇の中に暗闇が重なる。


 唯一の月光も瞼に遮られた。


 「戦争……か……」


 俺は目を開きながらその言葉を唱えた。


 薄銀色の月の輝きはレースのカーテンを通して雅やかな月影を映し出す。


 しかし、俺にはそれをみて楽しもうという木はおこらかった。


 意外な、信じられない言葉……


 いや、最初から俺にはそんな言葉なんか存在していないか……


 此度の戦争の事とて前もってわかっていた事だ。


 全てはみな運命による予定調和。


 あるがままを望む神々による計算のうちだろうな。

 


 はぁ……


 最近ため息ばかりついている気がする。


 それだけに最近の俺は憂鬱だった。


 うーん、あれだな、たとえならば毎日が月曜日な気分だ。


 そんなんだったら多分俺、仕事にいけなくなるな。


 ごほん、そんな事はどうでも良いんだ。


 問題は……


 「待っていたよ、ネブカドネザル……」


 俺は、寝転んだ姿勢のまま。


 闇の蠢く虚空に向かって言い放った。


 ……反応はない。


 「……なに、()は捕まえない。時が熟してはないからな」


 しかし、それでも動く気配がない。


 だんだん俺もそこにいるのか疑い始めていた。


 あれ?ってことはおれなんにもない空間に延々語りかけてたってこと?


 なにそれ、はずい。


 とか、おれが羞恥心に悶えかけたその瞬間だった。


 「なんで、わかったんだ……」


 突如、天井の暗がりからひとりの少年が現れた。


 としは、グレイプやローレルとは変わらないくらいの子供で……


 やはり……な。


 「なに、お前は俺が造ったんだぞ?気配が読めないわけがない」


 まぁ、いっしゅん疑っちゃったけどね。


 「……オレは、おまえじゃなくて、母さんに作られた!」


 母さん……カミーリャのことか。


 ……へぇ、やっぱりな。


 「おまえ、魂が宿っているな。感情もだ」


 だからこそ、こいつは……


 俺の計画のラストピース。


 運命を捻じ曲げる、最後の鍵か……


 


 


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