「26話」 グレイプと俺!
作者「コンカイハ、ぐれいぷクン ダヨ」
ニア「いくら明日がクリスマスだからってカタコトニなるなよな」
宙に浮かびながら黄金の日の出をみる。
不透明な視点にそれがすぐに夢だと気づく。
14枚の翼が蜂蜜色の陽光に照らされて黄金色に輝いている。
既に、頭上の3重の光の輪は1つに溶け合っている。
そう、太陽が死の世界から這い上がるこの瞬間。
俺は、能力を発動していた。
「『“天界の扉”』:Lv.7『***』……発動」
☆
「んー……!」
俺は、隣でグレイプが起き出す気配で目が覚めた。
時間の頃は6時くらいだろうか?
この世界で生きてきた10年に比べれば遅い方だ。
「あ、兄ちゃん、起こしちゃった?」
起き出した俺に対して、9歳の金髪碧眼美少年が柔らかい笑顔と共に問いかけてきた。
もちろん弟である。
グレイプ自身も起きたばかりなのか、所々金髪がはねている。
第2ボタンまで外されたパジャマが大変な萌えポイントである。
俺は、グレイプの言葉に無言で、首を振る事で返した。
寝起きはいつも舌が回らない。
その事を知っているグレイプは気を悪くししたそぶりも無く、
むしろ、俺に笑顔を向けてきた。
「所で兄ちゃん今日暇?」
俺は暫く思考した。
確か……なんの予定も無かったはず……
俺は首肯した。
すると、今度はグレイプは少し迷うように視線を天井に這わせる。
日が、窓からさしてきた。
綺麗な光が部屋にまう埃を照らしている。
「じゃあさ……」
グレイプは決断したように俺に言った。
「オレに、勉強教えてよ……!」
今度こそ俺は思考停止した。
「……え?……?!」
多分、俺は目を見開いていたと思う。
揺るぎない青い目がよく見えた。
グレイプは、決して頭の悪い子じゃない。
寧ろ、俺よりも飲み込みが早いくらいだ。
しかし、グレイプは勉強が嫌いだった。 ペンよりも剣を振るう方が好きな子だ。
そんな弟が……勉強?
「な…なんで……?」
俺はつい聞いてしまった。
俺からすれば、これは仏教徒が突然キリストを信仰するくらいの衝撃だ。
と、俺が聞いた瞬間 ふてくされる様になるグレイプ。
「べ…別に、良いじゃん……!」
と、怒られてしまった。
そうだな、グレイプだっていつまでも子供じゃない。
勉強だってしたくなったておかしくない。
俺は一人納得した。
それと同時に、成長する弟に寂しさも覚えた。
「わかった……待ってて、着替える」
俺は、着替えるためにグレイプを置いて下におりた。
「言える訳無いじゃん……。
兄ちゃんに、構ってほしいなんて……」
残されたグレイプが一人で呟いているなんて知らずに。
☆
昼前、俺は着替えて直ぐに部屋に戻った。
上では既にグレイプは着替えを終えていた。
この前、俺がオリーブと南区へ行ったときに買った服だ。
薄い若草色のシャツがよく似合っている。
と、いってもグレイプは何着ても似合うけどね。
うーん、それにしてもオリーブも中々良いセンスしてるな。
なんか俺の瞳の色に合わせたとか言ってたけ?
「……べんきょ…する?」
俺は一応聞いて見た。
もしかしたら心変わりしているかもしれない。
しかし、グレイプは一度言った事は守る子だった。
「……魔術を…教えてよ」
強い調子ではっきりと頷かれた。
「ん……?」
魔術?
確かに、知識だけならグレイプよりかは俺はもっているが、
グレイプの場合は多くの魔術師の様に過去の叡智を応用して扱っているのでは無く、
父や、リリーさんからの師事は受けているがほぼ独学による物だ。
そんな、グレイプ流の魔術の使い方なんか俺には教えられない。
「にいちゃが知ってる事……なんでも良いか! 全部……」
ふと、今グレイプが昔の様に俺を「にいちゃ」と呼んだ気がした。
まぁ、どうでいいのだが。
「ん……そこまで、言うなら」
俺は、グレイプに知っている事は何でも教えようと思った。
☆
俺とグレイプは今グレイプの自室で向かい合って座っていた。
「つまり……魔力の有るヒトと無いヒトとでは、あまり大きな違いは、無い」
俺はとりあえず魔力について話す事にした。
この事は深く掘り下げて行けば魔物の起源にも繋がるが、そこまで話すつもり無い。
「でも、決定的に違うのは、その器官……魔力の有るヒトは、身に、魔力の流れる器官が、血管の様に有り巡らされてる」
と、俺が言ったときだった。
グレイプが片眉を器用に釣り上げた。
何か疑問が有ったんだろうか?
「……血管って、なに?」
難しそうな顔をされて聞かれてしまった。
……先ずそこか。
「ヒトには、血が流れてる」
「うん」
俺が取り敢えず前提として言うと、グレイプは間髪おかず頷いた。
そうだな、グレイプはしょっちゅう怪我してるもんな。
「血は、心臓から全身に送られる」
「………うん」
今度は少し間をおいて頷いた。
ふぅ、心臓がわからないか。
まぁ、心臓は魔力の事を話すにおいても重要な臓器だからここで説明しておくか。
俺は、グレイプの手を取り俺の胸に押し当てた。
「ーー……ッ! ? 」
驚いた様な顔をするグレイプ、
……兄弟だから良いだろうに。
「どう?」
「どうって………ドクン、ドクンっていってる…」
目を白黒させながら答えるグレイプ、
未だ幼い、愛おしい弟の所作。
唇がゆっくり弧を描くのがわかる。
そんな俺の笑みを見てか、
顔を赤くさせる。
静かな、兄弟だけの、
ゆっくりとしたお昼前だった。
作者「……明日は、時間が有ったら2話投稿したいです」
ニア「クリスマスイベントか?」
作者「くりすます、なにそれおいしいの」




