「25話」 パンの正体!
作者「今回はパンくんの正体……だけ!」
ニア「今日程お前をバカだと思ったことはない」
昨日の朝から、俺の悩ませていた原因。
それは、パンの正体に有った。
パンの本名はピン・フロウト・クリフォロス・フツクエ。
フツクエというのは家名だが、
まず真っ先に家名と思う物はいないだろう。
なぜなら、隣国の名もまた、フツクエ国だからだ。
……勘の良い方なら既にお気づきだろう。
そう、パンは……プリムラとスコティカは……
隣国、フツクエ国の、王子と王女だった……
☆
彼らは、父から聞かれたあと素直に話し出した。
彼らは元々は隣国の王子と王女。
その継承権は低いながらも側室であった母親と穏やかな日々を過ごしていた。
2年前までは……
「……母さんは、父の正室に……殺されました」
ーーそう、パンとプリムラ・スコティカのお母さんは、自分の子を王にと望む女王に殺されてしまったのだという。
おそらく、その女王はより確固たる道を築きたかったんだろう。
次は自分達の番だと、幼いながらも聡明なパンは気づいたらしい。
そこで、自分よりも5つしたの双子の妹達をつれて、城から逃げ出したらしい。
もちろん、その後は隣国は揺れたらしい。
が、それも最初の半年程で収まった、
それも、結局その事を良しとした女王が、追跡を打ち切ったからだった。
どっちみち、国へ帰っても殺されるだけだった。
だから、パン達からすれば、その女王の言葉は皮肉にも延命させる事になった。
だが、その2年間の間はあまりにも地獄だった。
その最初の半年は見つからぬ様に人目を忍んで生きてきた。
時には服に泥をつけたり、髪を切り落としたりなど、様々な細工を行ったと言う。
「パン自身はともかく、妹達の事を考えると……」
悔しそうに歪むパンの顔が今でも思い出せる。
なんの当ても無く逃げたんだ、
生計を立てるためには人から物を盗んだりもしたと言う。
バレた時などは、子供だからと言う事で最悪の自体にはならなかったが、腕に鞭をもらった事もあるそうだ。
そして、最終的に流れ着いたのがこの街だったらしい。
イスリアの王都にも近く、多くの人が行き来するために此処を選んだと言う。
まぁ、確かに、な……
「で、それで会ったのがニアくんだ……」
疲れた様に笑うパンは、痛ましかった。
そこで、路上での兄妹3人の生活が始まった。
きっと、元王族である彼らからすればなれない事しか無かっただろう。
時には、盗んだ物を盗まれたと言う事も有った様だ。
さらに、人目につきにくいと言う事で、何度も妹達を狙われたらしい。
パン自身も、王子で有った時から様々な視線に当てられてきたらしい。
そんな事が有ったのでは、と思って妹……スコティカはリリーさんの元へ通うようにさせたらしい。
しかし、プリムラはどうしても兄から離れたくないと駄々をこねたそうだ。
ブラコンですね、わかります。
……仕方が無い、プリムラは自分が面倒をみよう、と、
その時は思っていたらしい。
が、パンには、その、すぐ後、仕事ができた。
そう、俺が『地下聖堂』の錬金課にスカウトしたのだ。
だって、俺一応課長だし。
まぁ、パンからすれば、俺のスカウトはまさに神からの救いだったらしい。
単調な作業で、安い給料。
それでもスリ、盗人まがいの事をするよりかは全然良かった。
住み込みでの仕事で、またささやかに3人で過ごしていることもできた。
それに、その錬金術の作業は思いのほか楽しい物だったらしい。
だから、偶々ーー
「プリムラが……攫われたんだ……」
力無くうなだれる、パン。
プリムラを攫ったのはフツクエ王国の騎士連中らしい。
このことは父が教えてくれた。
「でもなんで祖国の騎士に攫われかけたんだ?」
グレイプの疑問は最もなことだろう。
俺も知りたい。
「ーー父王の、正室の差し金らしい……」
どうやら、そんなようなことをあの騎士たちが言っていたらしい。
母を失い、2人の妹を背負った、幼い少年。
パンが、普段弱音を見せない理由がわかったような気がした。
☆
俺は、“街”の中央通りを歩きながら溜息をついた。
「ーー……はぁ、厄介なことになったなー……」
どうやら、来年、この“街”の学院に、隣国の王子が入学するらしい。
作者「うっそ⁈ 王子様とかがくんの⁈」
ニア「……おまえ、ネタ帳もう一回読み返せ、バカ」
作者「『次回はキンクリ』……?




