「15話」 リリーさん、グレイプ!
作者「今回は短め!」
ニア「ネタが無いから無理やり捻り出した話だもんな」
「ッハァ!」
いっそ、清々するほどの掛け声とともに木刀が振り下ろされる。
同時に聞こえる風を切る音はやはり5歳児が出せる音ではない。
やはり、魔力か……と一人納得する。
「ッヤァ!」
再び降られる木刀、
横薙ぎに降られたそれは周りの雑草を薙ぎさり、俺に向かう。
しかし、その刃も俺には当たらなかった。
正面には、常に動き回って居る為か汗をかき、その自慢の金髪が額に張り付いて居る、グレイプの姿が、有る。
「……兄! よけるな!」
叫びながらも的確に俺の居た場所に木刀を振り下ろすグレイプ。
……今は、グレイプとの毎日の様に繰り広げられている鍛錬だ。
しかし、3年前とは、違うのは俺が木刀を持って居ない事と、
この鍛錬が、グレイプの、魔力制御も兼ねている事だろう。
「無理……」
この、魔力制御も兼ねた鍛錬を始めて6ヶ月、グレイプは、みるみる内に成長して来ている。
これまでは全体に魔力を流し、無駄の多い戦い方をして来たが、
現在では的確に一撃一撃に魔力がこもって居て、重くも成って来ている。
……弟の成長は喜ばしいと同時にやはり少しさみしい物が有る。
ーー
「ふぅ……やっぱり兄はすごいや!」
額の汗をぬぐいながら、白い歯をこちらに向け、笑顔を浮かべるグレイプ。
そんな裏表のない笑顔にこちらの頬も緩むのを感じる。
「はぁ~……今日も兄に一発も当てられなかったなぁ……」
そう言ってしょぼん、と頭を下げるグレイプ。伏せられた体は俺よりも大きい。
やはり、体を動かしているグレイプと、そうでない俺とでは、身体成長に大きな違いがある。
……悔しくなんか、無いもん。
「……もうすぐリリーさん
来る……」
「はーい」
俺とグレイプは、二人で手を繋いで帰路についた。
☆
「おかえりなさい、ニア、グレイプ」
ウチに帰った俺とグレイプは笑顔の母に迎えられた。
母がこんなにも笑顔と言う事は既にリリーさんは来ているのだろう。
母とリリーさんは歳も近いのか仲が良い。 多分、母のこの街での唯一の友人だろう。
その事を考えると、俺はいつも申し訳の無い気持ちになる。
「ただいま……」
「ただいま~!」
ーー
「ん~……ニアくん、二重丸! グレイプくんは……夢の中、かな……?」
リリーさんは、週に一度、家庭教師として家にやって来て勉強を教えてくれる。
最初は俺だけが参加して居たが母がグレイプにもやる様に言い、今ではグレイプも参加している。……と言っても、現状はこうで有るが。
「はぁ……グレイプくんは寝ちゃった……やっぱり、アタシの話がつまらないからかな~……」
はぁ…と、涙目に成って溜息を吐くリリーさんはやはり幼く思えてしまう。
だが、今俺が見ている横顔や、ふとした時の仕草などに、大人の女性として、ある意味完成された艶やかさが有る。
「ねぇ……ニアくん……」
不意に、リリーさんの、妙に張った様な……艶やかな声が耳に届いた。
その声に導かれる様にして、俺が見た物は、拗ねた様に尖らされた唇と、長い前髪から覗く濡れた瞳だった。
ーーその、余りに美しい姿に俺は息を呑んだ。
それ程に綺麗だった。
「キミは……お父さんの…プラムくんの事を、何処まで知ってる?」
「っえ……?」
予想外の質問だった。
まさか、此処で父の事を聞かれるとは思わなかった。
そんな俺は、首を横に降るしかなかった。
何もわからない……
「そっか……やっぱり、言ってないんだ…… ゴメンね、変な事聞いちゃって……」
それっきり、リリーさんは口を閉ざしてしまった。
グレイプの安らかな寝息が、途切れた2人の会話の中に、強く響いた。
不意に気不味くなる、空気。
冷めた紅茶からの香りが寄り、困らせる。
リリーさんもあらぬ方向を向いている。
父には、何か有る。
それが確信づけられた瞬間でも有った。
☆
父の書斎。
元々、肉体労働派である父の書斎の為に一般の様に多くの資料などが置いてあるわけではない。
だけれど、此処にはただの中流の屋敷にも無いであろう資料が有った。
ーー魔力書……
ヒトの体内に流れる魔力の流れや、そのメリット、デメリットなどの記された書。
魔力の無い俺には直接には関係のない物だけれど、それでも俺の愛弟グレイプには重要な話だ。
おそらく、父もその事を考えてこの書を手に入れたのだろう。
そうでなくてはこの世界では貴重な本を手に入れる必要など無い。
ーー……俺は、例えどう有っても護り通す。
作者「 次回は研究機関に入って…その次でまたキンクリかな?」
ニア「あれ?どんな話が見たいかを読者様に聞くんじゃないのか?」9
作者「……だって、返って来なかったらヤじゃん」




