↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短くて小さな物語  作者: MMPP.K


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/7

001 自動ドアにはさまれたい

 夕方のコンビニ。


 閉まりかけた自動ドアの前で、タイミングを測るみたいに立ち止まった。


 ウィーン。

 開く。


 閉まる。


 ウィーン。

 また開く。


 店員さんが、こっちを見ていた。


「……何してるんですか?」


 少し笑いながら、レジの奥から声が飛んでくる。


「どうやったら、はさまれるねん」


 店員さんは、吹き出すのを我慢するみたいに下を向いた。


「いや、そこなんですよ」


 レジ打ちの手を止めずに続ける。


「最近の自動ドア、優秀すぎて、人類をはさまない方向に進化してるんです」


 ウィーン。

 またドアが開く。


 半歩近づいただけで、先回りみたいに反応した。


「ほら」

「完全に警戒されてる」


 店員さんは真顔で言った。


「たぶんもう、“要注意人物”として学習されてます」


「店に入れるのは?仕様か?」

「そうなんですよ。入店は許可されてるんです」


 ウィーン。

 ドアが静かに開く。


「でも、“はさまれたい人”としては認識されてない」


 妙に真面目な口調だった。


「たぶん仕様ですね」


 少し間を置いてから、


「防犯より先に、安全対策が優先されてるタイプの世界です」


 そう言った。


「平和と行き過ぎた文明の象徴」


 ピッ。


 商品を通す音だけが響く。


「昔の自動ドアなら、たぶん一回くらいはさまれてたんでしょうね」


 ウィーン。

 また、先回りみたいに開く。


「でも今は、人を傷つけないことが最優先だから」


 少しだけ笑う。


「その結果、自動ドアにはさまれたいっていう、小さな夢まで消えた」

「好き。」


 店員さんの手が、一瞬だけ止まった。


「……はさまれるのが?」

「違う、あなたが」


 自動ドアが開く。

 ウィーン。


 ガン。


「あっ」


 一瞬だけ、店の空気が止まった。


 自動ドアは、なぜか今だけ仕事をサボったみたいに、肩をちゃんとはさんでいた。


 静寂。


「……」

「……おめでとうございます?」


 店員さんが、困った顔で拍手をした。

 


『短い文章が好き。』


 ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


 短くて小さな物語を、少しずつ投稿していきます。

 笑える話もあれば、ちょっと考える話も。たまには、変な話も。


 更新は不定期。


 長い時間はいりません。

 だいたい1分くらいで読めちゃいます。


「それでは、また」 by MMPP.K

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。